素材・化学:S社

企業概要

化学メーカーS社は、優位性のある先進技術をベースとした素材・部品を開発・製造している多事業展開を行う企業です。

活動の目的・ねらいと成果

 S社の特徴は、創業当初から行っている基盤事業に加え、常に固有の先端技術開発に基づく新規事業を展開し、数十の事業により収益率の向上を図っていることにあります。基本として事業別のサプライチェーンを構築し運営していますが、事業特性がそれぞれ異なることから、会社として共通したものづくりの方向性を描けないでいました。
 本社主導で進めてきたサプライチェーン改革にも、事業部がなかなかついてきてくれないという状況が数年続きました。JMACに相談があったのはちょうどそのころです。悩みの1つは、「全社一丸となった改革をどのように進めればよいのか」というものでした。われわれは、次のように答えました。「これまで本社主導でやや強引に進めてきた弊害が出てきているのではないでしょうか? ここは、一番大変そうなモデル事業を中心に、パイロット的に支援してみたらどうでしょうか?」
 恐らく、各事業部からしてみるとねらいや目標は理解しているものの、具体的な課題や解決方法が見えてないため、困っていると考えたからです。そこで、基盤事業の主力となる事業所で過剰在庫と欠品の問題が起きている事業を選定し、サプライチェーン改革の構想立案、実行計画の作成支援を行うことになりました。
 まず、取り組んだのはサプライチェーンの見える化です。原材料、容器、製品のモノの流れと情報の流れ、そしてお金の流れを定量的に捉えました。これまでは結果として発生している在庫金額は管理していたものの、在庫を期間として捉えることや在庫を発生させているプロセスについては、ほとんど定量的に把握できていませんでした。また、在庫管理は購買担当者、生産計画担当者の経験と勘に頼り、属人的な運用となっていました。
 そこで、次に在庫管理の基本ルールを設定しました。現状の調達ロットサイズ、製造ロットサイズやリードタイム、販売計画精度などの値に基づき、現状の実力に見合った基準在庫を設定し、在庫計画に基づいて管理するようにしました。その結果、総在庫は30%削減、容器コストも20%削減、業務コストも15%削減できました。
 属人化⇒見える化⇒標準化の取組みは、サプライチェーン改革の第一ステップとして重要な取組みといえます。その後、この活動が全社に注目され、浸透していったのは言うまでもありません。