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戦略・営業・オペレーションを再定義する「2026年の変革シナリオ」

コラム

2026.01.05

JMAC EYES

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AIエージェントの自律と連携がもたらす新たな競争優位

2025年は「AIエージェント元年」と称されるように、AI技術の進化と企業での活用が飛躍的に進んだ年となった。2026年以降も、この潮流は加速度的に増していくものと予想される。 経営コンサルティング事業本部では、「経営・事業戦略」「マーケティング・営業」「事務業務・バックオフィス」「オペレーション システム」の各領域を主軸にコンサルティングを展開しており、これら各領域におけるAI活用の今後の展望について語る。

企画系部門の役割の軸足が大きくシフト

経営戦略・事業戦略領域におけるAI活用は、人間の思考の偏見や既成概念を排除し、他社との差別化を実現する独自の戦略追求が重要になると言える。それに伴い、経営企画部門や事業企画部門に期待される役割の重点が変わると考えられる。

1.戦略は異質性重視へ

AIは学習データ内の偏見を内包するため、真の偏見排除は困難であり、結果として独自性を欠く最大公約数的戦略に収束するリスクがある。そのため、競争優位性の鍵は、将来予測の分析粒度・切り口の独自性と、自社の強みをこれまでと異なる新しい視点で捉え直す発想力が必要とされる。

2.組織は愚直性重視へ

AI活用を推し進めると、現実離れした実行不能な戦略が導かれるリスクがある。過去に成功事例のない戦略を社内で合意形成するのは難しいため、会社の存在意義と深く向き合い、組織やマネジメントの変革にこだわり、模範となってやり切る覚悟が不可欠と言える。

3.管理は関係性重視へ

AIへの過度な依存は、人間の貢献価値の希薄化や仕事への無力感を生み出すリスクがある。組織のキーパーソンの個々人の性格や気質と向き合い、戦略を実践する人間のモチベーションや動力を刺激し合える関係性が重要視される。

AIによる示唆の独自性と人間の動機付けを念頭に、いわゆるこれまでの常識からの脱却と組織的な歴史観のバランスを取ることが求められる。そのためにも、AIを活用しつつも依存しすぎず、人間の本質的な価値を見極められる企画部門が重宝され、刺激し合える関係性が管理の重点と言える。

営業DXの次は「営業AIガバナンス」へ

2025年は、Copilot、ChatGPT、Geminiといった汎用AIの導入が多くの企業で始まった。しかし、現状は個人の情報収集や業務効率化に留まり、営業現場への本格的な浸透に課題を抱えている企業が多いと認識している。

ここで陥りがちなのが、情報収集、提案書作成、見積書作成といった個別業務へのAI活用という発想である。これでは戦略や提供価値が一貫性を欠き、場当たり的な改善に終始してしまう。AI活用によって真の成果を追求するためには、「営業AIガバナンス」という概念の確立が不可欠である。

営業AIガバナンスとは、営業活動におけるAIと人間との役割・責任範囲の明確化、意思決定の分担、そしてもっとも重要な、AIを活用した新しい時代の営業の思考様式(Operating Model)へのアップデートを意味する。具体的には、

  • ルールが明確な定型業務においては、AIの判断による意思決定をおこなう
  • AIが関与する定型業務でトラブルが発生した場合でも、個人の責任を不問とする
  • 提案活動においては、AIを強力なインプットツールとして活用しつつも、最終的な付加価値の高い創造的部分には人間が介在する
  • これに伴い、提案件数といった量的な評価から、提案の質を重視した評価体系へと人事評価を組み替える

といった施策が求められる。

マーケティング戦略がシンプルで明快なコンセプトを求めるのと同様に、AI活用においても、企業独自の、シンプルかつ明確な「自社の営業AIガバナンス」を確立できるかが、2026年の競争優位性を決定づける重要な経営課題となるであろう。

AIエージェントの「連携」がもたらす業務変革

現在、データ分析やカスタマーサポートといった特定業務でのAIエージェント活用が先行している。2026年度にかけてはこの流れがさらに加速し、バックオフィスからフロント業務まで、あらゆる現場でAIエージェントの活用が進むだろう。

しかし、単体のAI活用では個別業務の最適化に留まる。真のパラダイムシフトはその先にある「AIエージェント同士の連携(マルチエージェント)」にある。 

例えば営業事務の現場では、「受注受付エージェント」が注文内容を解析・登録し、即座に「在庫・価格確認エージェント」へ自動照会する。さらに「納期回答エージェント」が配送リソースを確保した上で、担当者へ最終確認を促すといった一連の流れが想定される。これまで人間が複数の部署やシステムを跨いで担ってきた「情報の橋渡し」を、AI同士の自律的な対話を通じて完結させることができるようになるでしょう。 

ここで重要なのは、AIエージェントを単なる「人の代わり」と捉えないことである。定型業務を自動化するRPAとは異なり、自律的に判断を下すAIに業務を丸投げすることは、プロセスのブラックボックス化を招き、予期せぬトラブルへの対応力を失わせるリスクを孕む。

オペレーション設計において不可欠なのは、AIにどこまで自律的な意思決定を許容し、どの段階で人間が介在するのか、「AIの自律性」と「人間の判断」の境界線を明確に引くことである。あわせてAIの活動を監視するモニタリング体制を構築し、ガバナンスを効かせる必要がある。この2つを設計することこそが、AIエージェント活用を前提とした業務プロセス改革の要諦である。

まとめ

2026年に向けて、戦略・営業・オペレーションの各領域において、AIは個別業務での活用がさらに進む。そして、領域を跨いだ「自律的連携」へと進化するだろう。マルチエージェント時代の到来は、単なるツール論ではない。「AIが導く戦略解にどう独自性を与え、AIが連携し合うプロセスをどう設計し、その活動をどう統制するか」という、戦略・組織オペレーションそのものの再定義が求められる。この構造変革を完遂できるか否かが、次世代における企業の持続的な競争優位性を左右する鍵となるだろう。

2025年(AI導入期)vs 2026年(AI変革期)の対比

領域 2025年:AI活用の現状
(個別最適)
2026年:AI変革の行方
(全体最適)
経営戦略 AIによる効率的な市場分析・予測 異質性・独自性の追求と人間による合意形成
営業 汎用AIによる個別業務の効率化

「営業AIガバナンス」に基づく組織的思考

オペレーション  特定業務(分析等)の単体エージェント 「マルチエージェント」による自律的連携
価値の源泉 作業スピード・生産性の向上

AIの統制力と人間の本質的な判断力の融合

梅田 修二

経営コンサルティング事業本部
シニア・コンサルタント

システムエンジニアを経験後、2008年JMAC入社。以来オフィスワークの生産性向上(業務効率化、業務品質向上)を專門領域とし、本社管理部門にととまらず、ネット企業、金融、不動産、シェアードサービスなど幅広い対象を支援。専門テーマは、業務改革、業務プロセス改善、働き方改革、情報システム導入、マニュアル作成・活用など。

北村 大輔

経営コンサルティング事業本部
シニア・コンサルタント

入社以来、製造業を中心としたコンサルティングに従事している。専門領域は、ビジョン・中期計画策定、管理会計・原価管理、事業再生・収益改革等。現在は、総合一貫型のコンサルティングを志向しており、戦略立案から実行まで幅広くコンサルティング活動を行っている。

熊谷 真

経営コンサルティング事業本部
シニア・コンサルタント

顧客接点部門(営業・サービス・小売・顧客接点支援・コールコンタクトセンター部門)における、働きがい向上、業務改革、サービス品質・生産性の向上、CS調査等をさまざまな業界において経験している。特に、 ES向上・働きがいがある職場作り、CSと効率を同時実現する業務改革に関するコンサルティング・研修の経験が深く、各研修においては、実務に即したプログラムと内容で評価をいただいている。

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