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第23回 R&Dイノベーションフォーラム

2019年6月10日

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「第23回 R&Dイノベーションフォーラム」は2019年5月24日(金)に東京コンファレンスセンター・品川で開催、約200名のお客様をお迎えし、大盛況の内に幕を閉じることができました。

今年の大会は、"「R&D」×「生産性」 ~未来を見据えた生産性向上へのチャレンジ~"を基本コンセプトとし、自社の将来を見据えてR&D部門の生産性向上に果敢に挑戦していらっしゃる方々にご講演いただきました。

参加者の方々からは、「非常に参考なった」「有意義であった」といった声が数多く聞かれました。講演者と参加者、また参加者同士の積極的な交流を通して、多くの気づきと学びが得られた一日となりました。

なお、次回(第24回)は2020年5月22日に開催します。

フォーラム(第23回)のプログラムについて詳しく(PDF) >

基調講演

ニューロマネジメントから導くイノベーションに挑戦させる人づくりと組織づくりの変革
スリーエム ジャパン株式会社 執行役員 大久保 孝俊 氏

rd_keynote_2019.jpgイノベーションはマネジメントできるのか、とくにどういった人づくり・組織づくりが必要なのか、このような難しい課題について、一般的な経験則や体験談を伝えるのではなく、変えられない人間の本質と、それを生み出す脳(ニューロン)の科学的な知見に基づいたアプローチでご講演いただきました。

前半は、さまざまなシチュエーションを会場に投げかけながら、なぜ人間はそのような選択をするのか、なぜ感情が論理に勝つのか、ドーパミンを制御する報酬回路など、脳の仕組みをもとに、人間の本質を説明いただきました。後半では、人間の本質を踏まえ、『やる気』・『ひらめき』・『自主性』をいかに設計するのか、脳科学に基づいたご説明を通じて、マネジメントに生かせる数々のヒントをいただきました。

普段よく体験するものの、「なぜなのか」までは説明できない人間の思考や行動に対し、科学的な視点に立って、言語化してご説明いただいたことで、聴講した方の納得度は非常に高かったことと思います。

また、大久保氏の著書について、事前に受け付けた参加者からの質問に対するご見解を随所に織り交ぜていただきました。理想とするマネジメントを実現する環境がない、共感してくれる上司もいない、といった悩みに対しては、自分がコントロールできないことは脇に置き、自由意志でコントロールできることに集中するべき、といったメッセージをいただくなど、双方向での意見交換ができ、たいへん有意義な時間を過ごすことができました。

Aセッション:研究・開発成果を事業成果に変える

『研究開発成果の事業化を加速する~社内技術の見える化と技術カタログづくり~』
株式会社日本能率協会コンサルティング R&Dコンサルティング事業本部 技術戦略センター
チーフ・コンサルタント 山中 淳一

A_1.jpg近年早期の事業成果を期待されるようになっている研究開発部門においては、周囲の関心をひきつけるマネジメントが必要になってきています。

そのための取り組みとして、社内技術を整理し、その特徴や強みの理解を深める『技術の見える化』、技術を対外的にわかりやすくPRし、新たな協創を促すための『技術カタログ』という2つの活動をご紹介しました。

このような取り組みとともに、研究者、管理スタッフ、経営層それぞれが、自身の立場ですべき役割を鑑みて適切に行動することが、事業成果を加速するためには重要であることをお伝えしました。

味の素グループにおけるオープンイノベーション活動~クライアント・イノベーション・センターの設立~』
味の素株式会社 バイオ・ファイン研究所次長 宮地 保好 氏

A_2.jpg味の素グループで取り組まれている、企業間連携のオープンイノベーション活動についてご講演いただきました。

同社のオープンイノベーションは、ただ単純に技術を外部とやり取りするだけではなく、自社とパートナーそれぞれの強みの技術をぶつけ合うことにより、社会に貢献する新たな価値の創出を目指されています。

そのためには研究者が主体となって活動することが必要であり、具体的な活動として、技術を把握するために行った技術棚卸の経緯や、自社技術を"出前"するツールとして、価値をわかりやすく伝えられる『技術カタログ』をご説明いただきました。さらに、顧客と共に新たな価値を考えるための空間である、クライアント・イノベーション・センターについて、コンセプトや特徴をご紹介くださいました。

同じような取り組みを目指している参加者の方々からも活発な質疑があり、非常に充実したセッションとなりました。

『技術を核に新たなビジネスを創出するMOTの実践展開』
株式会社日本能率協会コンサルティング R&Dコンサルティング事業本部 技術戦略センター
チーフ・コンサルタント 小田原 英輝

A_3.jpg技術を核に新たなビジネスを創出するMOT※の実践展開について、その必要性や企業内で展開する際のポイントについてご紹介しました。

新たなビジネスを創出するためには、技術力に加えて事業開発リーダー人材が不可欠ですが、多くの企業で事業開発リーダー人材が不足していいます。そのため、事業開発リーダーを発掘/育成しながら、技術を核に新たなビジネスを創出するMOTの実践展開が必要であることを課題として提起しました。

MOTの実践展開のポイントとして、①実テーマを題材として人材育成と新ビジネス創出を同時実践すること、②事業化の成功確率を高める支援をしてリスクを許容すること、③事業化への想いの醸成も重視した手ごたえのある展開を行うこと----といった点について講演をしました。

※MOT:技術経営:Management of Technology

『事業成果創出に向けた矢崎流MOTによる人材育成』
矢崎総業株式会社 技術開発室 リソースセンター 教育評価部 リーダー 平井 亮子 氏

A_4.jpg同社で取り組まれてきた人材育成活動についてご紹介いただきました。
同社では将来を担う技術人材を必要としており、開発部門の技術シーズと顧客ニーズの融合を図り環境変化に即したビジネス展開ができる人材育成活動に取り組んでおられます。

過去11回、370名を超える受講生を輩出してきた "矢崎MOTカスタマイズ研修"について、そのねらいや内容、継続的な改善への取組みなどを具体的な事例を交えてお話いただきました。実践的なMOTのスキルを習得するために、座学だけではなく、実テーマを題材とした開発提案書の作成まで実践することを特徴としていることや研修効果を高めるさまざまな仕掛けなど、本研修のポイントをご紹介いただきました。
質疑応答の時間では、同様の人材育成活動に悩みを抱える企業の方からのご質問もあり、有意義な意見交換がなされました。

Bセッション:技術部門の業務効率化

『技術部門の業務効率化』
株式会社日本能率協会コンサルティング R&Dコンサルティング事業本部
開発・設計マネジメント革新センター シニア・コンサルタント 渡部 訓久

B_1.jpg技術部門の業務効率化を図る上でのポイントについて、ご紹介しました。
業務を開発設計などの本来業務と突発対応や共通業務などの付帯的な業務に分類し、改善によって本来業務のウェイトを増やすことは、業務改革活動でよく取り組まれています。しかし、ウェイトを増やすだけでは、効率化成果はほとんど得られず、生産性は向上しません。なぜなら、設計のやり方が旧態然としている状態では、また新たな手戻りロスを生むからです。

したがって、設計の質を高める施策を展開することが重要です。設計の質を高めるには、ベテラン設計者や有識者の設計手順を見える化し、伝承することが求められます。数多くの経験知を普遍化し、本質理解を促すことが出来れば、若手・中堅クラスの設計検討の質は大きく向上するはずです。

この取り組み事例もグローブライド様の講演(下記)の中で紹介されるので、ご期待ください。

『小規模 多テーマ開発における設計業務改革』
グローブライド株式会社 ロッド製造部 設計管理課 課長 大田 勲 氏

B_2_1.jpgB_2_2.jpg同社において、事業成長を図る上で付加価値の高い新商品を創出することが重要課題となっており、そのリソースを捻出するための業務効率化活動事例を紹介していただきました。

活動ポイントとして、①「年間500を超える設計アイテムに対して各改善施策をどう展開するか」、②「設計検討の質を高め、手戻りロスを削減するための足元固め」、③「改革活動をリードする人材育成と参加者全員の意識改革」----の3つについて考え方と事例を紹介していただきました。

とくに②については、実際にその効果を体感された若手設計者の方に登壇いただき、具体例や自身の気づきについて話をうかがい、多くの参加者の方々に共感を与えることができました。

質疑応答においても、改革人材育成、設計標準化、若手の参画意識などについて活発に意見交換が行われ、活動の勘所についてより深く理解することができました。

Cセッション:異質な知の統合で革新の壁を乗り越える

『スピードUP時代のイノベーション生産性向上~革新のドラマを生み出す異質な知~』
株式会社日本能率協会コンサルティング R&Dコンサルティング事業本部
R&D組織革新・KI推進センター チーフ・コンサルタント 大﨑 真奈美

異なる知の融合はイノベーションの基本的な考え方ですが、R&D現場を見ると知識をもつ人同士の間に心理的な壁が存在していることを問題提起しました。

心理的な壁を越えるためには、人が"元気"になる必要があり、自己理解と他者尊重を本質的に深めていくことが、どんな環境でも効果を発揮するマネジメント視点であることをお話しいたしました。

"元気"を出すためには、従来のマネジメントに加えて、自己の感情を表出し他者と共感する場をつくっていくことをご提案いたしました。その場の一例として、"12歳の息子に送る手紙"という形で、仕事でのチャレンジを語る、というシーンを体験していただきました。

『計算科学における情報技術活用の実際と人材育成における課題〜R&Dの生産性を革新するデジタル技術の最先端〜』
日本女子大学 理学部 数物科学科
分子物理計算研究室 准教授 村岡 梓 氏

C_2.jpg昨今、スパコンによる超高速・大規模計算が話題となるなかで「計算科学」という分野に注目が集まっています。村岡先生には「計算科学の位置づけ」や「量子論と計算科学の歴史」「量子論による物質デザイン」「計算科学分野における人材育成」についてお話しいただきました。

実験、加工・合成といった第1の科学、解析・分析といった第2の科学、理論、数学的モデル化やシミュレーションいった第3の科学、ビッグデータ、普遍的な原理原則の創成といった第4の科学と分類できます。「計算科学」は実験で得られない領域を予測し、第1と第2、そして第3と第4をまたぎつなぐ役目をなすということでした。今後、計算科学がR&Dの生産性向上に寄与するためには、幹となる専門分野に加え幅広い専門分野を学び統合し、実際の現象と理論をつなげていける人材が求められるというお話が印象的でした。

『データ駆動型材料開発の社内普及に向けた取り組み~サイエンスにおける"データと人の目"の融合を目指して~』
コニカミノルタ株式会社 開発統括本部 要素技術開発センター
価値創造室 マネージャー  荒井 健夫 氏

C_3.jpgサイエンスとデータ科学の融合による開発プロセスの革新への挑戦についてお話いただきました。

大幅な開発加速・成功率の向上を目指して、技術面でマテリアルズ・インフォマティクス(MI)の活用で実現したい開発のあり方、またその実現に向けてMIを理解し、データ駆動型開発を牽引する人財・組織をどのように育成されてきたかのポイントをご紹介いただきました。

MIのような新しい分野や取り組みに積極的に協力する人財をボトムアップ型で育てるには、開発競争に取り残されるといった危機感を喚起したり、新しいやり方に挑戦し、これまでとは違う成果を得る!という意欲を呼び起こすなど、「動機に訴える」ことに加え、一方、身近な成功例や明確な理論の裏づけなど、安心して「続けられる理由」を示すことが重要であり、これらの要素を踏まえたさまざまな仕掛けが必要であることをお話しいただきました。

『小規模チームで多様な仕事に立ち向かう!~ある新任課長の組織変革チャレンジ』
三菱商事ライフサイエンス株式会社 戦略企画部 マネジャー 宮垣太郎 氏

C_4.jpg新規分野への取り組みや協業体制の強化に向けて、新任課長としてリーダーシップを発揮し、組織変革にチャレンジした事例をお話しいただきました。

事例の一つとして、小規模チーム制への移行に関するお話しいただきました。人に複数テーマが紐付いていたこれまでの体制から、テーマに複数の人を紐付ける小規模チーム制に移行したことで、日常的な協業が促進され、技術継承が効率化した事例、また短期集中で課題を解決できるようになったことで、新規分野への取り組み強化につながった事例などをご紹介いただきました。

パネルディスカッション

パネルディスカッションでは3名のご講演者と「R&Dに携わる、人・組織の課題」について意見交換しました。また、会場の皆さまにもお手持ちのスマートフォンからアンケートシステムにログインしていただき、リアルタイムで会場の意見を反映した双方向のセッションといたしました

意見交換では、たとえば「なかなか成果が出ず自信を失いかけているメンバーに対して、A:自己効力感を重視する、B:成果創出を重視したかかわりをする」という問いに対して、会場からは「A:62.9%、B:37.1%」といった回答をいただきました。

パネリストからは「長期的成長を見据え、若手の達成感を重視して育成するという理由からAを選択した。一方で、成果が出せるような仕組みを整えてあげることがマネジャーの重要な仕事のひとつである」というご意見がでてきました。最後に、Cセッションの気づきを五・七・五の句にまとめてシェアしました。

今回のパネルディスカッションでは、会社の壁を超えて、人・組織変革の取り組み方についての志や悩みが共有でき、互いに勇気と元気を与え合えるような良い場となりました。

※講演者の所属等は講演を行なった時点のものです。

R&D生産性アンケート

「第23回 R&Dイノベーションフォーラム」のコンセプトである、「R&D」×「生産性」に基づき、来場者に簡易アンケートを実施いたしました。来場者からはR&D生産性に関する現状認識や悩みごとなどについてご回答をいただきました。

生産性向上に取り組まれている企業は80%に上るものの、半数近くの企業で成果が出ていないと認識している結果が得られ、業務が忙しく取り組む時間がない、活動の目標設定や測定が難しい、メンバーの改革マインドが低い、といった悩みが多く挙げられました。

アンケートの集計結果を読む >