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【072原価管理】 過去の結果だけで操業度の基準を決めるべからず

  • 生産管理のべからず集

製造原価を設定する際の基準となる操業度は、先の販売計画の情報を加味して設定することで、原価差異原因を減らすことができる。

ねらい:コスト
キーワード:操業度、販売計画

操業度を製造部門の都合だけで決めてはいけない

 製造原価の内訳である材料費は、
  材料使用量×材料単価
で計算され、労務費は、
  その製品をつくるのにかかる工数×賃率
 経費を中心とする間接費は、
  工数×製造間接費配賦率
で計算される。
 ここで出てくる賃率は、
  年間でかかる総労務費÷基準操業時間
で計算され、製造間接費配賦率は、同様に
  年間でかかる総製造間接費÷基準操業時間
で計算される。
 つまり、操業度の設定が、製造原価に直接影響するということである。
 ここで例をあげて考えてみよう。ある会社では、来期の販売計画を立てたところ、市場環境の悪化により今期に比べて販売数量が下がっていたとする。にもかかわらず、製造部門は今期の操業実績を元に来期の予想操業時間を設定してしまった。すると、実際には販売計画のように実際生産する量は少なくなってしまうため、結果として実際の賃率は高くなり、最終的に会社の損益が悪化してしまう、ということになりかねない。

販売計画情報を活用した操業度設定の仕組みをつくる

 本来であれば、販売計画の情報を製造部門が共有し、来期の販売予測数量に応じた生産体制(稼働時間や配置人員など)をあらかじめ計画し、利益が出るように計画しなければならない。
 このように、販売計画情報を活用した操業度設定をするためには、生産側が販売計画をどのように活用して、操業度に反映するかを明確にする必要がある一方で、営業側の販売計画の精度を高めるということも大切になってくる。しかし、実態としては、年間の販売計画は努力目標であり、できなくてもしょうがないという意識で設定している営業部門も多々ある。
 製造部門と営業部門がお互いに計画の活用方法およびその重要性を理解し、設定した計画に対して責任を持って行動していくことが大切なのである。

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