日本製造業の「真の再生」を懸けて
DX/デジタル推進


今、日本の製造業は歴史的な転換点にある。人手不足、サプライチェーンの再編、そしてGX(グリーントランスフォーメーション)への対応。こうした幾多の困難を乗り越え、次なる成長を描くための鍵として「デジタル」を語らない日はない。
2026年年頭にあたり、長年現場の泥にまみれ、共に汗をかいてきたJMACだからこそ、今あえて皆様に共有したい「変革の覚悟」をお伝えしたい。
DXの取り組みが一巡し、すでに多くの企業の皆様も、実感を伴いつつお気づきのことと承知しているが、デジタル技術がどれほど進化し、生成AIが日常のツールとなっても、それを受け入れる組織のあり方、現場のオペレーション、そして価値創出のプロセスそのものが「変革(X)」されなければ、真の成果を得ることはできない。
2025年4月、JMACは新たに「dXコンサルティング事業本部」を立ち上げた。「d」を小文字に留めるのは、お客様の組織の中に深く根ざした「伝統」と「変革する人の意志」こそが主役であり、デジタルはその可能性を解き放つための「触媒」に過ぎないと考えているからである。(※1)
なぜ「d」は小文字なのか。それは「デジタル(Digital)以前に、トランスフォーメーション(Transformation=変革)にとことんこだわる」という信念の表明である。
データ管理費用に関する統計からも、ここ20年で企業のデジタル化施策は確実に拡大している事、そして今後も拡大の一途であることが見て取れる。
その一つとして既にあるいは今後、DXの取り組みとして多くの企業が取り組む施策として、「ビッグデータとAIエージェントによるデータドリブン経営の実現。」があげられる。これは意思決定の迅速化という大きな「功」をもたらし、すべての企業が目指すべきムーンショットと呼べるべきものかもしれない。現在、製造業の多くはDXの取り組みの一つとして、「AIレディ(AI-Ready)」な状態を目指し、データ基盤の構築を模索している。
一方で、冷徹な視点で見れば、進め方を間違えると深刻な「罪」を生むリスクを孕んでいる事は容易に想像ができる。それが、出口戦略のないまま無秩序に蓄積され続ける、不要なデータのゴミ(私たちは「デジタル上の新たな産業廃棄物」と称している)の発生である。
こうした事態に陥らないために、一つの統計を見ながら賢いdX(≠DX)の推進について改めて皆様との議論を深めさせていただきたい。
過去20年の推移:10倍以上に膨れ上がった管理負担
IT市場のリサーチデータによれば、企業が管理するデータ量は過去20年間で指数関数的に増加した。2005年頃、企業のデータ管理コスト(ストレージ、バックアップ、セキュリティ、管理人件費の合算)は、IT予算の約10〜15%程度。 しかし、2020年代に入ると、クラウドシフトとIoTの普及により状況は一変した。2025年時点でのデータ管理コストは、2005年比で実質12倍以上に膨れ上がっていると推計される。
将来予測:2030年、IT予算の半分が「データの維持」に消える
現在のペースで無秩序なデータ蓄積が続けば、2030年にはデータ管理コストが現在のさらに2〜3倍に達するという予測がある。 Badシナリオでは、「IT予算の50%以上が、ただデータを維持・保管するためだけに費やされる」という事態が起こり得る。これは、新しい価値を生むための「攻めの投資」が、活用されないデータの維持という「守りのコスト」によって食いつぶされることを意味する。
「いつか何かに使えるはずだ」という安易な蓄積は、今この瞬間も、将来の投資余力を奪い続けていると言える。
維持コストの増大に加え、活用されないデータはカーボンニュートラル経営における「環境負債」にもなり得る。データセンターの電力消費は莫大であり、価値を生まないデータの保管は、企業のESG評価を毀損するリスクさえ孕んでいる。
これは決して他社ごとではなく、重軽あれど今後すべての企業が直面する課題である。これからの製造業に必要なのは、闇雲に集める「収集の技術」ではなく、「価値を見極め、捨てる力」ではないかと、われわれは考える。
例えば
そして何よりも
こうした取り組みが、「負の遺産」を生み出さないためのdX戦略の一つの側面であると我々は考える。
このような取り組みを実践していく第一歩としてまずは3つの心構えを提唱したい。
私たちは、単なるITベンダーでも、綺麗なレポートを書くだけのコンサルタントでもない。
お客様の組織の中で化学反応を引き起こし、結果が出るまで現場と共に走る「変革の実行者」であることだと自負している。
経営と現場をつなげるマネジメントエクセレンスの構築:単独組織ではなく事業全体を通してのボトルネックを解消する。現場と経営が一貫化されたデータで連動する。
「現場起点」のトランスフォーメーション: 技術ありきではなく、職人技や現場の知恵をどうデジタルで増幅させるか、という視点を貫く。
「産業廃棄物」を出さないデータ基盤構築: 将来的なコスト負債を最小化し、AIが真に機能するための、高純度なデータ循環構造を設計する。
自走するための組織醸成: コンサルタントがいなくなった後も、お客様自身の力でデジタルを使いこなし、改善を回し続けられるよう、組織能力(ケイパビリティ)の強化に尽力する。
日本のものづくりには、世界を席巻した「カイゼン」のDNAがあります。そのDNAの本質は、無駄を削ぎ落とし、価値を最大化するストイックなまでの姿勢にありました。 その精神を今こそ、デジタルという新しい領域でも発揮すべき時であると考えます。
不要なデータを削ぎ落とし、真に価値ある変革(X)を導き出す。 そのプロセスは決して楽なものではありませんが、やり遂げた先には、世界に誇れる「デジタル武装した日本型製造業」の再興が待っていると疑いません。
「d」を手段とし、大きな「X」を共に創り上げる。 2026年、皆様にとって真の変革が実を結び、持続可能な未来へと踏み出す素晴らしい一年となりますよう、私たちdXコンサルティング事業本部は全力で邁進してまいります。
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dXコンサルティング事業本部
シニア・コンサルタント
生産戦略と呼応した生産システム再構築を領域とし、新工場建設、生産プロセス再設計領域で活躍。TP(Total Productivity)マネジメント手法や、IPS(理想目標コスト)手法によりものづくりの収益性向上を支援。JMACスマートファクトリー研究会でIoTをコアコンセプトとした今後のものづくりのあり方を研究。
自立・自走できる組織へ
信頼と実績のJMACが、貴社の現状と課題をヒアリングし、解決策をご提案します。