森永乳業株式会社
「実践できる人」を増やす! 全社員を巻き込むDX人財育成

事例
2026.07.04
株式会社新寿堂

(左から)
生産管理本部 進行管理部 工務グループ 主幹・山田勝豊さん
同部 主任・角舘愛美さん、代表取締役社長・雲野正夫さん
生産本部 第1製造部・渡辺涼介さん、同部 課長・原田匡樹さん
東京・板橋区の板橋第一工場で
1950年の創業以来、手帳製造を専門に手掛けてきた新寿堂。日本能率協会マネジメントセンターとともにビジネス手帳(能率手帳:現NOLTYシリーズ)をはじめ、400種を超える手帳をつくり続けている。手帳ならではの複雑な工程をスマートマニュファクチャリング構築ガイドライン(SMDG)の導入でどう変わるのか。現状の課題と今後の期待について伺った。

大企業から中小企業まで、スマート化プロジェクトのリーダー役を担う管理職と経営層の手引書に
製造現場におけるDXは、効率化や安全面の観点からも急務となっている。手帳製造を手掛ける新寿堂も同様の悩みを抱えつつ、手帳特有の複雑な製造工程のDX化に手をこまねいていた。
「一般的な製本であればひとつか2つのラインで完結できますが、手帳はカスタマイズが多く、工程を追い越したり、同時進行で4つの機械を使い分けたりと流れが複雑です。仕様書も細かく、機械のスペックに合わせて作業を割り振るなど、独自の進化を続けてきました。長年の経験で判断するといったアナログ管理になっているのが現状です」と話すのは、生産管理本部の山田勝豊さん。
そんな中、SMDG勉強会の機会があった。社長の雲野さんは「スマート化は意識していたものの、わが社ではまだ遠いという認識でした。しかし、自分たちの立ち位置を改めて認識できたのが一番の手応えでした」と語る。
まずはガイドラインを読み込み、個々が課題だと思うところを洗い出すところからスタート。 「現場はどうしても難しく考えてしまい、最初は簡単ではないという印象でしたが、次第に『製造ラインがこう変わっていくといいね』という議論ができるようになりました」(原田さん)
変革課題の実現レベル
「マニュファクチャリング変革課題マップ*を見ると、悩みがわかりやすく言語化されていて、どれも当てはまると思えるものばかり。自分たちにはどれが一番近いのかを選んで各自発表し、会社の方針に照らし合わせて絞り込んでいきました」(角舘さん)
とくに意見が集まったのは、「多様な製品バリエーションを効率的につくれる仕組み(品種が多すぎてどの工程経路・設備で製造するのが効率的かわからない)」や「人のスキルに依存しないものづくりの仕組み(現場はまだ手作業が多い)」といった変革課題だという。
「ディスカッションは、現場担当はもちろん、営業、総務、購買の担当者も出席して意見交換しました。最初は何も意見が出てこないような状態でしたが、徐々に『こうしたらいいのではないか』と、意見が活発になりました。個々で課題だと思っているだけだったのが、マップがあったおかげで共通言語化することができたと思います」(雲野さん)
製造ラインのDX化も進めたいところだが、データ類はいち早く着手したいと話す。
「エクセルで管理・運用しているのが実情。計画も手入力。手帳は仕様が細かく、チェックする人数も多い。自動化したいと感じている従業員も少なくありません」(雲野さん)
また、生産本部の渡辺さんは「他社の工場を見学に行くと、すべて携帯端末で管理・運用されているところも増えてきています。当社の日報は手書きで、それを生産管理がPCで入力。当然、製品の動きがリアルタイムで把握できないということも。現場はそれでも動くことができますが、タイムラグで差異が生まれることもあります」と課題を感じている。角舘さんは「当社では、ひとつの工程のみを行う単独の設備と、複数の工程を1台でこなす大型設備が混在しています。そのため、複数の工程をまとめた設備を使った際に、どの工程の実績としてデータを入力すべきかという判断が難しく、管理が煩雑になっています」と話す。また、手帳ならではの特殊な悩みとして「半製品の在庫管理」があるという。半分まで制作し、残りはカスタマイズして仕上げるというものだ。

手帳特有のあまりに複雑な製作工程をシステム化するのは神業。とはいえ、これまでのアナログ管理や属人化を解消し、数字はデータとして活用したい
「すべての在庫をエクセルで管理していますが、実在庫と理論在庫に差異がでてしまいます。慌てて生産を止めてしまうこともあり、現場のがんばりがムダになりかねません」(雲野さん)
「作業日報で気づけないこともあります。しかし、SMDGを知ることで理想形が見えてきました。やはり機械と連動して、生産数が自動でシステムに取り込まれて実績が積みあがっていくところまで行けたらと思います」(山田さん)
煩雑な手入力や、起こってしまうミスで正しい数字が把握できない現状は「みんなのがんばりがわからないと、評価するのも難しくなってしまう」と雲野さんは懸念する。しかし、これまでは無理だと諦めていた空気は、できるんじゃないか、という流れに変わってきていると話す。
変革課題の実現レベルも現状はせいぜい1ぐらいだと分析。しかし、「2~3は目指せそうだ」と手応えを感じ始めている。また、データが整理されれば投資ポイントも見えてくると期待を寄せた。

新寿堂は日本能率協会マネジメントセンターのNOLTY(ノルティ)手帳のメイン工場
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