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JMAC品質経営研究所だより Vol.12
あるロシア沿海地方の事情(1)

  • 生産・ものづくり

宗 裕二

ロシアで積極展開する品質管理・品質保証活動紹介セミナー

縁があってロシアの日本国領事(外務省)が設置した日本センターが展開するセミナーで、講師を務めることになり、3年が経つ。ロシア沿海地方のビジネス界の皆さんに、日本企業が行っている品質管理・品質保証活動をご紹介するセミナーである。
日本、及び日本企業を気に入っていただき、お互いの将来の経済活動に資することを目的としている。もちろん私共には守秘義務があるので、具体的内容はお話できないが、現場を知っている者として生々しいお話をすることができる。

 vol12-1.jpg沿海地方とは、極東ロシアの日本海沿岸にある地方で、ウラジオストック、ハバロフスク、といった都市が含まれる。
夏はとても良い季節で過ごしやすいのだそうだが、その時期は、東方経済フォーラムが開かれる時期で、日本からは総理大臣をはじめ、多くの政治家、財界人が訪れるために、沿海地方のお役人が忙しく対応できない。そこで、私が訪問する時期は、夏を外した季節となる。もちろん寒い。
 写真はハバロフスクから夜行列車で少し北に上がったところにある、コンソナムールスク・レ・アモーレという町にある工科大学である。入口にその日の温度が表示されているが、マイナス12℃となっている。実はこの日はとても暖かく、過ごしやすい日とのことであった。通常はマイナス25℃~マイナス40℃ほどになる。

バロフスクから飛行機で1時間ほどの場所であるが、私を含め一般人は大抵の場合、夜行列車を使ってここまで移動する。つい最近までは外国人の立ち入りが禁止されていた政府肝いりの工業都市で、製鉄業、鉄道事業などがあり、戦闘機を作っているスホーイ社の工場もある。
この工科大学はそうした工業を支える人たちを輩出しているのであろうと思う。外は寒いが中は快適である。外の移動中は毛皮のコートなどの身を包んでいるが、コートを脱ぐと薄着である。日本の春着くらいのイメージだ。

 集まってこられる方たちは、何方も大変に熱心である。丸2日間連続でお話をさせていただくのだが、登録された名簿から若干の欠席はあるものの90%近い出席率であり、2日目を欠席する人もほぼいない。聞きたいことが山ほどある様子で、質問も盛んだ。こちらか質問を投げかけてもいろいろな意見を出してくれる。ディスカッションは大好きなようだ。日本の改善についてもよく勉強をしていて、大変多くのことを知識として知っている。
ただ、社会的、経済的背景が異なることから、その知識を応用することへの戸惑いがあるようだ。政府肝いりの工業都市のビジネスマンや大学の先生であるからかも知れないが、「直ぐに追いつかれる」予感を十分に感じる。

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