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社会価値向上に向けたJMACの取り組みと思い

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サステナビリティ経営推進センター

JMACの「サステナビリティ経営推進センター」のコアメンバーは18人。うち6人のコンサルタントがその役割と展望について語った。 

サステナビリティ経営推進センターとは、企業および社会の持続的成長に貢献するために、社会価値創出型コンサルティング、ビジネス開発を行う専門家集団である。各領域からコンサルタントを結集し、総合的なコンサルティングを行うとともに外部ネットワークとの協働によるソリューションインテグレーターの役割も果たす。

サステナビリティに興味を持った背景

茂木 今回の『ビジネスインサイツ』は「持続可能な社会に向けた新たな挑戦」がテーマで、JMACにはまさに「サステナビリティ経営推進センター」があります。私たちは、さまざまなジャンルの専門コンサルタントでありつつ、持続可能な社会への課題解決を手がけてきたメンバーになります。今日は、それぞれのバックグラウンドや今後の展望などをお話しください。その前にまずサステナビリティに関する時代の流れを簡単に整理します。

※JMACが発行する広報誌。本稿は73号より転載


茂木

茂木 龍哉 (もぎ たつや)

生産、物流機能領域を中心に、在庫適正化、生産管理システム導入、コストダウンなどのコンサルティングを行う。サプライチェーンマネジメントの視点から幅広く改革・改善活動を支援。自律的改善が継続できる職場づくり、そのための教育プログラム開発など数多くのプロジェクトのリーダーを務める。


日本能率協会が発足したのは1942年ですが、経済成長にともない公害など環境に関する問題が表層化しました。80年代に入ると国際的気候変動への取り組みが始まり、92年の地球サミットでアジェンダ21を採択。そして97年のCOP3、京都議定書を経て現在のSDGsへと遷移しています。JMACでも80年代以降、環境関連テーマのコンサルティングを数多く手がけてきました。

山田 そうですね。1972年出版の『成長の限界』が原点となり、1987年に環境と開発に関する世界委員会が「持続可能な開発とは何か」とサステナブル概念を初めて提唱しました。私は1991年のJMAC入社ですが、あるとき妻が壊れた9千円くらいのファンヒーターを「もったいないから8千円かけて修理する」と言い出しました。この行為の意味を深めてみたいと、コンサルティングをしながら環境問題を扱うNGOに入りました。企業や有識者の方々と議論していくうちに環境問題に深く興味が湧いてきて、約20年前に、このテーマのコンサルティングをライフワークにすると決めました。


山田 朗 (やまだ あきら)

中長期サステナビリティ戦略立案支援、環境マネジメントシステムの高度化、LCAを活用した環境負荷の定量化と削減、資源生産性向上、SDGs 推進マスタープラン策定支援、TCFDシナリオ分析戦略策定、脱炭素ビジョン・中長期目標設定支援等をライフワークとしてリーディング。趣味は自転車、トライアスロン。

山田


増田 私は大学院が環境系の専攻で、出産後復帰した2008年に、MFCA(マテリアルフローコスト会計)の普及事業を経済産業省から委託され、事務局を担当したのが最初です。それから2011年まで大型の普及事業が続き、ノウハウが蓄積されました。

茂木 私も増田さんや山田さんと一緒にCO2削減プロジェクトに入りました。当時「紙まで計算するのか」と驚きながら、サプライチェーン全体を捉えた環境コストの見える化の必要性を感じていたことを思いだします。

山田 私は2000年ごろにドイツにあるヴッパータール研究所に派遣され、そこでの地球環境やエネルギーの研究に大いに刺激を受けました。当時は環境経営やECOという言葉が独り歩きしている印象で、環境をテーマとしたコンサルティングプロジェクトも大手企業やMFCAのように国からの委託事業中心でした。

茂木 JMACは先進先端を掲げて推進していましたが20年ほど早かったですかね(笑)。しかし、世の中も変わって、クライアントの経営者の方がおっしゃるように、今や社会価値への取り組みは経営の肝になってきましたよね。

増田 私はMFCAの普及事業がひと区切りついた2012年ごろ、ある企業から女性活躍プロジェクトの依頼を受けました。女性活躍推進法が成立する前だったのですが、そこでの支援をきっかけに、それまで手がけてきた環境テーマが、エンゲージメントなど人材のサステナブル課題に広がっていきました。


増田 さやか (ますだ さやか)

入社後すぐに、研究開発部門でのプロセス改善、設計品質改善に取り組む。マテリアルフローコスト会計(MFCA)プロジェクトの中心メンバー。子育てをしながらコンサルタントを続けている自身の経験も踏まえ、働きがいや働き方再構築支援、また組織開発や人材開発など多面的なアプローチでダイバーシティ推進を支援。

増田


茂木 大野さんは学生時代からサステナビリティに興味があってJMACに入社されましたよね。

大野 はい。大学1年生のときにバリ島の児童養護施設に3カ月滞在したことが原体験です。そこから国際協力や社会問題に興味を持ち研究を続けていたところ、サステナビリティは複合的な問題が絡み合っており、企業への影響度がもっとも高いと気づきました。そこで、企業の意思決定に多少なりとも携わることができるコンサルタントを職業に選びました。


大野

大野 晃平 (おおの こうへい)

生産性向上を主軸に収益改善、新工場建設支援プロジェクトに従事。エコアクション21構築、スコープ1・2・3算定、TCFD戦略策定支援、脱炭素・カーボンニュートラルロードマップ策定、SDGsビジョン策定実行支援など。大学ではインドネシアの農村の開発と環境問題などを研究。


茂木 河合さんは中途入社ですが、どんなきっかけですか?

河合 私はメーカー出身で、温暖化など環境に悪いものを売っていたのですが、売らなければ会社が持続できないというジレンマを感じていました。そのときに環境と事業を共に発展させていくためには何をすればいいか、と考えはじめたのがきっかけです。


河合

河合 友貴 (かわい ゆうき)

大手メーカーにて実務を経験後、JMACに入社。製造業を中心に、現場改善からサプライチェーン全体のコンサルティングに従事。サステナビリティ分野では、GHGプロトコルスコープ3排出量算定、ワークショップ型のマテリアリティ策定の支援や、SDGsカードを用いた経営シミュレーション研修の開発を行っている。


茂木 柳沼さんは農林水産省とも連携するアグリ&フードプロジェクトのメンバーですね。

柳沼 はい。私は祖父の実家が農家で、朝早く麦踏みをしたり馬を連れて耕すなどの話を聞いて育ちました。大学では稲の研究をしていたのですが、それらの研究が実際の農業問題に効いているかどうかのイメージが持てなかったのです。そんなときJMACが農業で収益性を高める改善を行っていることを知り、入社しました。


柳沼 草介 (やぎぬま そうすけ)

大学では稲の根の角度の違いと収穫量の変動について研究。製造業における現場作業改善や生産管理方式改革などのコンサルティングメソッドを生かし、農業生産法人の経営支援を推進。農業の収益向上に向けた農林水産省の「農業生産性向上ワークショップ」の講師も務める。

柳沼


茂木 コンサルタントという職業を通じて農業問題に貢献したいということですね。JMACのコンサルタントは企業経営のお手伝いを数多くしていますが、私たちのノウハウは社会課題の解決にも役立っていますよね。

山田 そのとおりです。これまでは環境と経営はトレードオフの関係のように考えられてきました。しかし生産性最大の状態が、環境負荷が最も小さいわけですから本当はトレードオンになるはずです。そう考えると、JMACの活動は、社会価値向上にダイレクトにつながっているはずです。

これからの課題 未来の話

茂木 では今後の取り組みやJMACのノウハウの活用などをお聞かせください。

山田 私はやはり気候変動が最大の問題だと思っています。脱炭素・カーボンニュートラルに取り組む中で、CO2削減量を売買する時代になりました。CO2の見える化はその削減のカギになります。この服や椅子をつくるのに、どれくらいのCO2を排出しているか当たり前にわかる、すべての活動のCO2が測定できている、そんな世界を目指します。また、工程ごとに理論エネルギーを算定し現状とのギャップを埋めていくような徹底した省エネ推進への支援も継続します。加速するには、他の専門家とどうパートナーを組むか、その体制づくりも考えなければなりません。

環境経営への挑戦

2003年に環境経営の書籍を出版

茂木 JMACの持つコンサルティング技術に他領域の技術も融合させながら、より広く社会課題の解決に取り組んでいくということですね。

増田 私はやはり「人の能力発揮」に軸足をおきたいです。〝やる気、働きがいを高めるエンゲージメント”という言葉のように、JMACの社名にある「能率」は人についてはその能力を活かし切るという状態を指しています。しかし現在の組織構造では、個性の発揮とマネジメントの両立は難しいという会社が多いように伺います。女性や外国人人材の活躍など働き方改革を含めてダイバーシティの推進をどう具体化していくか。その人が今活躍できる能力は何かという視点で、手間を惜しまず個人単位で光を当てる。個の発揮が会社の経営に良いことにつながるような社会を実現したいと考えています。

セミナー

製薬会社の女性リーダー育成研修

茂木 人材育成の基本は、個と向き合うことですから、より突っ込んだ対話がポイントになりますね。河合さんはいかがですか。

河合 日々のコンサルティングプロジェクトの中で感じていることですが、「循環型サプライチェーンを構築する」「持続可能なサプライチェーンに取り組む」と言ってもそれぞれの関係者がその重要性を感じないと構想だけにとどまってしまうので、たとえば今回開発したSDGsカードゲームで経営シミュレーションを体験して、どれほど身近な問題なのかを自分事化していただきたいと思っています。

SDGsカードゲーム

事業×SDGs貢献を目指すゲーム

茂木 皆さんに知識も意識も持っていただいて、多くの人に参画してもらおうということですね。

河合 はい。SDGsは単なる社会貢献ではなく、サステナブルな社会への企業活動でもあることを、社会人だけでなく学生さんにも知っていただきたいです。

大野 この社会価値向上には、多くの企業が、外部圧力を起点として取り組み始めたのではないでしょうか。であれば、「わが社はなぜ取り組まなければならないのか」を明確にして施策に落とし込むプロセスが必要だと考えています。いわゆるサステナビリティ経営のビジョンや、マスタープランづくりです。またそこで取り上げた社会課題の解決は1社だけでは限定的である場合が多いのが現実です。そこでJMACの役割として、これまでの特定機能に対してのコンサルティング経験を活かし、そこで培ってきたノウハウを再度業界全体や地域の枠で捉えなおして、さまざまな社会課題にアプローチしていきたいと考えています。

SDGs

SDGs起点で企業活動を支援

柳沼 私は、農業こそ持続可能であるべきだと思います。JMACアグリプロジェクトのリーダーは、実家が青森のりんご農家で「農業を継ぎたい」と言ったら父親に止められた経験から、農業を食べていける事業にしたいとJMACのコンサルタントになりました。アグリプロジェクトメンバーは、農業が魅力的な仕事になり、大事な仕事なんだと社会的地位を高めたいとの思いを持っています。しかし、農業を「経営」に持っていくにはかなりの課題があり、今それをひもといている段階です。たとえば年間で安定した雇用を維持するためには、収穫期の繁忙期や閑散期の波に対応する必要があります。農業機械のシェアリングや人材の流用化などのアプローチを含めて課題解決の道を探っているところです。

農業

農業生産現場に入り込み改善

茂木 私たちが通常コンサルティングで行っている物流センターも同じような特性です。そのノウハウが水平展開できますね。

柳沼 はい。JMAC自身が農業を行ってみるという案もありだと思います。自らやってみたらどうなのか、農業人材の育成の場としてもチャレンジしたいです。

茂木 JMAC農園ですね(笑)。私たちコンサルタントはクライアントを支援するという黒子的な立場ですが、サステナブル課題に対しては、機会があれば自ら能動的に取り組みたいですね。

山田 サステナビリティを考えると、ワークライフバランスもテーマになってきます。自転車でちょっとした小旅行に行くのは、健康にもいいですし、CO2も排出しない。そういうことも、自ら実践すればよいと思います。

茂木 社会課題は多岐にわたって存在しますが、一方でJMACには機能別のスペシャリストが多数います。業界によって、あるいは地域課題によって機能別の専門家が集まって、チームになる。そうすることで解決できる課題がたくさんあると思います。まさに、このサステナビリティ経営推進センターは各領域の専門家が集まって、それらの課題に向かっていくという体制ができていますので、今後も内外の専門家を巻き込みながら、多様な社会課題に対応したいと考えています。

※本稿はJMAC発行の『Business Insights』73号からの転載です。
※社名、役職名などは発行当時のものです。

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