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第94回 たえまなき経営改革実現に向けて(3) ~経営改革の場と活性化~

  • 経営改革の知恵ぶくろ

神奴 圭康

たえまなき経営改革を実現するためには、「経営改革の場と活性化」も必要です。今回は、経営改革の場とは何か、その場の活性化の基本について、お話しします。

プロジェクト組織の場

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経営改革の場については、第11回「経営改革を成功に導く場づくり」第12回「J社の経営改革の場づくりに学ぶ」で、お話ししました。「経営力と現場力の連携」、「経営成果と人材開発の同時実現」を可能にする、経営改革の場をつくり、その場を活性化させることに衆知を結集せよ、と述べました。第11回と第12回でお話ししました経営改革の場は、上図のようなプロジェクト組織の場でした。

定常会議の場

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経営改革の場は、必ずしもプロジェクト組織だけではありません。職制組織をまわす定常的なマネジメント会議の場に、経営改革の機能をもたせることも考えられます。この考え方は、経営改革のPDCAをまわす仕組みを組織的に運用する定常会議の場を、経営改革の場として有効活用するものです(上図参照)。

定常会議には、経営各層に応じた「経営会議」、「事業会議」、「部門会議」などがあります。「経営会議」は、トップマネジメントが、経営の重要事項について審議し意思決定する会議です。「全社経営改革SCの機能」をもたせることになります。

「事業会議」は、事業部長と部課長が、事業部門の重要事項についての審議と業績検討を行う場です。「事業経営改革SCの機能」をもつことになります。

「部門会議」は、開発・生産・営業などの部門の重要事項について、審議と業績検討を行う場です。「テーマ別改革部会の機能」をもたせることになります。部門固有のテーマだけでなく、各部門が連携する横断テーマを審議します。

これらの定常会議を経営改革の場として活用して、成功するためには、業務執行(オペレーション)の忙しさに逃げない、経営改革に前向きな体質が不可欠です。たとえば、次のような体質です。

・「仕事=仕事の遂行+仕事の改革」という考えが身についている
・会議を報告や伝達を少なくし、経営改革に時間を割いて審議している
・ITを活用した経営数値の見える化を進め、どうすれば良いかの経営改革に時間をとる
・トップが、定常的な会議で経営改革人材を意図的に育てている
・トップとマネージャーが、経営改革テーマの実現にコミットしている会社   など

一方、日々の経営や業務の業務執行中心の会社は、定常会議の場で経営改革をやろうとしても、なかなかうまくいきません。各部の業績報告や伝達が、定常会議の中心になってしまうからです。業務執行で忙しいとの言い訳が通ってしまい、経営改革が進みません。このタイプの会社は、トップが経営改革の重要性を認識し、改革に前向きな人材を思い切って経営改革に投入することが必要でしょう。

場の活性化は人が基本

プロジェクト組織の場でも定常会議の場でも、場の活性化の主体は「人」です。改革意識と経営改革をやり抜こうとする、一人ひとりの言動が、たえまなき経営改革を実現する基本となります。

経営トップや事業トップは、経営改革のビジョンを明示すると共に、経営改革の場で改革意見が活発に出る改革土壌づくりが重要です。 経営改革テーマの推進責任者は、当事者意識をもつことが不可欠です。経営改革を本気でやり抜く言動が注目されます。会議の場で、情熱をもってトップや関連メンバーの賛同を得ることが重要です。

また、本社スタッフは、全社的な立場から経営改革を促進する役割を担っています。全社的な観点から全社や事業部の経営改革を推進する言動が求められます。本社スタッフの前向きな言動も、経営改革の場を活性化させることに繋がります。


次回は、「経営改革の場のマネジメント」について、事例を通してお話しいたします。

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