経営改革の知恵ぶくろ

第11回 経営改革を成功に導く場づくり

経営力と現場力の連携を目指す

経営改革の基本姿勢は、経営力と現場力の連携によって推進することだと述べました。言いかえると、戦略力と実行力をうまく噛み合わせて経営改革を推進するということです。私は、この基本姿勢を具現化するには、以下2つの点に留意して、経営改革の場をつくる必要があると考えています。一つは、トップ・ミドル・第一線担当者の3層による連携推進です。トップダウンとボトムアップを可能にする経営改革の場を考えることです。もう一つは、トップ・ライン・スタッフの三位一体推進です。トップマネジメントと事業ラインに、改革事務局機能としてのスタッフを加えた経営改革の場を目指さなければなりません。

経営成果と人材開発の同時実現を

また、真の経営改革は、「経営成果と人材開発の同時実現」が重要だと述べました。私は、このためには、たとえば、次のように現ポジションよりワンランク上をめざした経営改革人材を開発する必要があると考えています。

 ・現事業経営者 →全社的視点に立った統合的経営改革人材へ
 ・部長クラス  →事業経営視点に立った部門・企業間横断改革人材へ
 ・課長クラス  →部門長の立場で課・部門横断改革人材へ
 ・第一線担当者 →組織リーダーとしての問題解決力を身につけた人材へ

この実現には、企業は、経営改革人材を育てる場づくりを進めながら、意欲ある人材を経営改革の場に投入することが求められるでしょう

経営改革の場づくりに知恵をだせ

経営改革の場づくりに知恵をだす。これは、「経営力と現場力の連携」、「経営成果と人材開発の同時実現」を可能にする経営改革の場をつくり、さらに活性化させることに衆知を結集せよ、ということです。トップダウンだけでは、経営改革はうまくいきません。ミドルによる現場からの改革意見の吸い上げと主体的な活動がないと、活性化もしません。また、経営改革は、改革人材を育成する絶好の機会です。トップには、この経営改革を人材開発の大きな目標として、期待する人材を積極的に投入していただきたいと思います。大企業の事業部や関係会社、もしくは中堅企業で経営改革を推進する場合に、JMACが提案する推進体制のモデルを、ご参考までにご紹介します(下図)。

mg11_1.jpg

「経営改革SC(ステアリング・コミュニティ)」は、トップマネジメントや事業責任者を中心とした経営改革全体の方向づけ、事業戦略・財務戦略など基本戦略の審議、経営改革の実行評価と阻害要因除去の機能を持ちます。事業責任者によって全社的立場から担当事業の位置づけがなされ、事業戦略の提案と実行評価が問われる場となります。同時に、横断的な経営改革テーマを実際に担当する部課長クラスのリーダーも参画し、その内容を発表しトップマネジメントから助言を受ける人材開発の場ともなります。

「各部会」では、横断的な経営改革テーマに関連する各部門メンバーが連携チームを形成し、改革を推進する役割を担います。具体的には、(1)経営改革案と実行計画の作成、(2)改革案の実行と評価、(3)改革成果の実現、以上の3つを推進します。 ここは、横断テーマの責任者となる部課長クラスが、経営改革リーダーシップを発揮する場となります。また、第一線改革リーダーが、現場の改善業務について発表し、改善力を高める場ともなります。なお、この部会は、大企業の場合、事業部単位で経営改革を推進することから、「事業部経営改革部会」を設けて推進するケースが多いかと思います。また、「グローバルSCM競争力部会」や「本社競争力部会」など、重要テーマ別に部会を設ける場合もあります。

そして、「経営改革事務局」は、全体的な立場から経営改革を促進する役割を持ちます。経営改革プランのまとめ、SCの企画と運営、各部会の改革支援が主な機能です。 事務局に身をおく責任者やメンバーは、全体最適で経営改革を促進する立場にあります。この役割が果たせるよう、様々な指導を受けることになるでしょう。事務局メンバーは、経営企画・事業企画・業務改革・IT部門・財務・人事などの部門から、事業ラインの経験をもった人が選抜されることが多いようです。

なお、経営改革の場づくりは、その企業の置かれた状況や経営改革の体質・風土、経営改革人材の質量などによって、その推進体制は異なると思います。いずれにしても経営改革の成否を左右しますので、衆知を結集して経営改革の場づくりを進めていただきたいと思います。

(シニア・コンサルタント 神奴 圭康)