経営改革の知恵ぶくろ

第16回 経営改革の3視点・3局面と技の適用

第8回において、経営改革は財務・事業・管理の3視点から統合的に行うことをご説明しました。また、第9回では、マスタープランの策定・具体化・実行評価の3局面をまわすことが肝要だと述べました。
そこで、今回は、経営改革の3つの技を、改革の3視点・3局面と関連づけて考えたいと思います。(下図)

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3視点に「管理技術」「固有技術」を活用せよ

3視点からの経営改革とは、「経営は、財務面・事業面・管理面の3側面から見るとその全体像が見えてくる」という考えに基づいたアプローチです。そして、この3側面は、「管理技術」の知識とスキルを必要とします。前回述べたように、「管理技術」は、コントロール技術ではなく、「経営を意味するマネジメントの技術」を意味し、「経営技術」と表現しても良いでしょう。この「管理技術」には、さまざまなものがありますが、経営改革の3視点に沿って、特に次の技を身につけておくことが有効と考えています。
  ・財務面 ... 財務数値を読みとり目標を立てる技
  ・事業面 ... 事業戦略策定の技と戦略を実行する事業プロセス改革の技
  ・管理面 ... 組織・人のマネジメントと経営管理システムに関する技
経営改革は一人で行うわけではありませんが、改革を推進する立場にある方は、「管理技術」に関心をもち身につけるようにしていただきたいと思います。

また、「業種・業態と業務に関する知識・特性」を指す「固有技術」についても、経営改革の3視点に沿って適用することが必要と考えています。製造業とサービス業では「固有技術」の違いがあり、財務・事業・管理の面で経営改革のポイントが違ってくるからです。同じ製造業でも、財のタイプ(生産財と消費財)や産業のタイプ(プロセス産業と加工組立産業)によって、やはり経営改革の要諦が異なります。たとえば、生産財企業と消費財企業では、経営体質も異なり、改革のポイントが違ってきます。さらに、生産財企業の中でも、業態(オペレーションのタイプ)面から、個別受注生産企業と見込生産企業では、事業プロセスの内容となる開発・生産・営業の業務連携のポイントが違うのです。

3局面における「課題解決技術」の重要性

では、経営改革の3局面の技はどうでしょうか。改革活動を有効かつ効率的に推進していくためには「課題解決技術」が重要となります。私は、この「課題解決技術」には、大きく2つの技があると思います。

一つは「思考行動力」です。分析力や総合力、仮説検証力、本質把握力、3現(現実・現物・現場)主義や重点主義など、一人ひとりが身につけたい技です。もう一つは「推進技術」です。JMACでは、「展開技術」と言ったりしますが、その代表的な技にプロジェクト・マネジメントがあります。課題解決の立上げ~計画~実行~評価~終結のプロセスをマネジメントする技です。経営改革の場づくりや人づくりの技がポイントといえます。

また、人と人との意思疎通を明るく楽しく前向きに行う「コミュニケーション技術」も欠かせません。コンサルティングの現場でいえば、インタビュー技術、プレゼンテーション技術、ファシリテーション技術などがあります。経営改革が実行段階に入ると、改革が有効に行われ成果を出しているかどうかを実行評価する「モニタリング技術」も重要になります。

経営改革には「IT有効活用の技」が欠かせない

経営改革は、改革プランを策定し実行に移さなくては意味がありません。人が主体となって経営改革を実行しますが、その手段として「ITの有効活用」が欠かせない時代になっています。IT(コンピュータと情報通信の技術)の経営への導入は、単なる省力化目的から部門間や企業間の業務改革へ、さらに経営改革に役立てる時代にあります。私は、経営改革とITの有効活用を「経営の見える化とIT活用」、「事業競争力強化とIT活用」、「業務効率化とIT活用」の3つに領域を分けていますが、経営改革の3局面を意識して活用することが肝要だと考えています。

(シニア・コンサルタント 神奴 圭康)