経営改革の知恵ぶくろ

第15回 経営改革の技について考える

経営改革の技とは?

前回まで、経営改革の考え方と進め方について述べてきました。今回からは、経営改革に必要な技、身につけたい技をご紹介していきます。「経営改革の技」とは、経営改革の各種手法に関する知識やスキル、経営改革の発想法、基本的な課題解決技術を主に指しています。経営改革には、改革対象となる企業や事業の業種・業態と業務に関する知識も必要ですが、これらについては、別途「業種・業態別の経営改革」でお話したいと思います。また、経営改革の実践技術としてのIT(コンピュータと情報通信の技術)も不可欠な時代であり、この「経営改革とIT活用」についても、別の機会に、触れたいと考えています。

管理技術・調査技術・固有技術

私は、JMACの諸先輩から「技術には、『管理技術』『調査技術』『固有技術』の3つの技術がある」と聞かされました。
「管理技術」とは、コントロール技術という意味ではなく、「経営を意味するマネジメントの技術」を意味しています。「経営技術」と表現しても良いかと思います。つまり、各種マネジメントに関する知識やスキルです。具体的には、研究開発管理、購買管理、生産管理、販売管理、在庫管理、財務管理、人事管理といった企業の機能領域から、経営全体の領域における経営管理まで、「○○管理」といわれるものです。

「調査技術」は、昔のJMAC内で、コンサルティングのことを「調査」と言っていたことからきた言葉です。私はJMAC内では「コンサルティング技術」、一般的には「課題解決技術」と言い換えて活用していますが、どんなテーマでも課題解決に必要な基本技術を指しています。具体的には、分析力・総合力、仮説検証力、本質把握力、プロジェクト・マネジメント技術、インタビューや対人関係といったコミュニケーション技術などがあたるでしょう。コンピュータの世界で言えば、「管理技術は、様々な経営領域で活用されるAS(アプリケーション・ソフトウエア)」であり、「課題解決技術は、個々のASを動かす基本的なソフトウエアであるOS(オペレーティングシステム)」と言えます。

「固有技術」は、モノづくりに必要な固有のエンジニアリング技術をはじめとしたテクノロジーを意味していますが、私は、経営改革においては「企業や事業に固有の業種・業態や業務に関する知識」と解釈して活用しています。

3つの技術の相乗力発揮

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経営改革にあたっては、前述の「管理技術」「調査技術」「固有技術」の3つの技術が必要と考えられます。我々コンサルタントは、顧客企業と一緒に経営改革に取り組みますが、その際お互いの強みを活かしましょうと、次のような話をしています。

まず「管理技術」に関しては、昔は、この技術に関する海外情報や経験を持つコンサルタントが、企業の方より優位な立場にありました。しかし、今は、企業の方も数多くの本にめぐまれ、その上国内外の情報を検索・収集できるネットワーク社会にあります。コンサルタントは「管理技術」の適用限界は知っていますが、「管理技術」についての知識やスキルは、コンサルタントと企業の方は同等の水準にあると考えています。

「調査技術」は、「管理技術」の適用を含めた課題解決技術が中心となりますので、知識というよりは経験量がポイントになるかと思います。経営改革に取り組んだ事例の質量においては、コンサルタントが企業の方より優位な立場にあるでしょう。

では、「固有技術」については、どうでしょうか?コンサルタントは、様々な業界の経験をもっている強みはありますが、「固有技術」については、一般的に企業の方が業界の知識や経験においてコンサルタントよりも優位にあります。

以上3つの技術においてコンサルタントと企業の方がお互いの強みを活かせれば、経営改革は成功するとお話していますが、いかがでしょうか?

冒頭に述べた「経営改革の技」は、主に「管理技術」と「調査技術」を指していますが、経営改革においてよく活用する改革の手法や発想法、課題解決技術を中心に、次回以降に述べたいと思います。

(シニア・コンサルタント 神奴 圭康)