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新しい食生活スタイルでQOLの向上を!

2020年6月17日

今井 一義
生産コンサルティング事業本部 副本部長 シニア・コンサルタント

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新たな「食生活」のあり方へ

食生活は、生命を維持し、人々が健康で幸福な生活を送るために欠くことのできない営みであり、人々の生活の質(QOL)との関わりが深い。コロナ禍の自粛期間中の食生活は充実していただろうか。テレワークをしながらの家事や内食の増加で、さまざまな課題が浮き彫りになり、新たなサービスも生まれた。

With/Afterコロナ対応、少子高齢化に伴う労働人口減少、共働き世帯の増加、食の多様化、個食化など、環境変化に対応した新しい生活様式が求められている。また、SDGsの観点から環境負荷低減など、社会的側面から生活様式を見つめ直す動きも出てきている。

食は人によって好みや考え方が異なる。時間をかけずに栄養素を確保できればよいとする人もいれば、旬や鮮度の良い食材、できたてを優先する人、味付け・大きさ・切り方・硬さ・温度など自分好みにこだわる人もいる。

また、調理方法では食材を購入しカットから調理まで自分でする人、加工品を購入して調理する人、完成品を購入する人がいる。食材の購入方法では食材をスーパーで選んでレジに並んで購入する人もいれば、ネット購入し自宅まで宅配を希望する人もいる。

食生活を支える購買の新しい形

スーパーでの買い物は、新たな食材やお買得品の発見、食材を評価・選択する喜びがあるが、日常品を購入する目的から考えると、買い回りしたりレジで並んだりすることは、時間活用や感染リスクの側面から見ると、デメリットもある。

一方で、ネット購入による宅配サービスは便利ではあるが、利用者は宅配を受け取る時間に制約があり、事業者は個別宅配の手間や再配達のリスクがあるなど、社会全体の効率を考えると改善の余地がある。物流業界は深刻な人手不足の状況にあり、今後も社会システムとして機能するためにはさまざまな課題を解決しなければならない。

サービスを受ける側の利便性向上を図ることは重要であるが、サービス提供事業者の効率性など、社会全体での最適性を考慮した新しいシステムが必要と考える。

では、QOL向上の新しい食生活スタイルとして、どのような取り組みが必要となるのか。①生活者のニーズ充足度(付加価値)を向上させる、②食事関連コストと社会負荷の最適化を図る、この2つを同時実現する取り組みを考えてみる。

①生活者のニーズ充足度(付加価値)を向上させる

生活者のニーズ充足度は、購入から調理・食事のプロセスにおいて、どんな価値を見出すか。

たとえば、自分好みに対応してくれるカスタム対応した食事や、購入~調理にかかる時間の有効度とリスク低減などが考えられる。食事準備をできるだけ効率化しつつ、つくりたての食事をつくりたい場合は、下ごしらえ済みの食材キットを購入し、自分好みの味付けで手早く調理することで食事レベルを維持しつつ、食事準備以外のプライベート時間を充実させることができる。

②食事関連コストと社会負荷の最適化を図る

一方、ニーズを充足するための食事関連コストと社会負荷をどのように適正化するか。これについては、コストだけでなく環境など社会にどのような影響を与えているかまで考慮することが重要となる。具体的には、物流の人材不足の中で、食品宅配を日常的に活用すべきなのか、食品ロスが発生しにくい食材の購入方法とは何か、環境負荷が低いパッケージ、配送とは何か、ということを考える必要がある。

ネット購入は、スーパーでの感染リスク低減や時間の活用の面では有効なサービスであるが、コスト面と社会負荷面を考えると課題がある。ネットで注文した食材・商品の受取りを駅のロッカーやコンビニエンスストアなどサービス利用者の行動範囲内で受け取れるようにすることで、物流事業者の負荷低減およびサービス利用者のコスト低減を図ることができる。

また、代行購入のサービスだけではなく、近年の共働き世帯の増加や個食化を考慮し、必要な食材を、必要量だけ、要望する状態(下ごしらえ~調理の選択)で提供することで家庭における食品ロスを低減できる。提供方法として専用容器や袋を利用し、提供~回収の循環型サイクルを構築するとともに、容器にICチップを導入することで、効率的な社会システムが実現できると考える。

新しい食生活でQOLを向上させる

新しい時代の新しい食生活スタイル

これからの社会では「顧客ニーズの本質は何か?」を捉えたサービスの提供が重要となる。食生活であれば、購入プロセスにおける感染リスクの低減や時間の有効活用、調理プロセスにおける食品ロスの削減、時間の有効活用、家族を考慮した調理により、自分好みの満足度の高い食生活を可能にするサービスが考えられる。

何でもやってくれるサービスは、コスト面でも社会負荷面においても、ムリ・ムダ・ムラが発生し持続可能な社会につながりにくく、SDGsが重視される今後の社会では通用しないであろう。われわれは、顧客にも事業者にも社会にも好まれる新しいスタイルの食生活を構築することが求められている。

今後の環境変化を踏まえ、既存の社会インフラの利用とIoT技術を融合し、サービス利用者とサービス供給事業者の役割分担を適切な状態にする必要がある。これによる新しい食生活のスタイルでQOLの向上を目指すべきだと考える。

コンサルタントプロフィール

今井 一義

生産コンサルティング事業本部 副本部長 シニア・コンサルタント

2003年 JMAC入社。製造メーカーのコストダウン、製造現場の生産性向上、人材育成のコンサルティングの経験を活かし、農業経営の改革・改善に取り組んでいる。「企業的農業経営が『魅力ある農業』を実現する」を信念に、製造現場の改革・改善手法を農業分野に展開している。製造現場でのノウハウを活用し、現場の効率化によるトータルコストダウンに加え、栽培~加工~販売のフードチェーン全体の最適化を中心に活動。現在、九州農業成長産業化連携協議会 企画委員 IT部会長として、農業経営改革を推進している。

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