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実践的BCPの策定・見直しで次世代に対応できるリスク対応企業を目指せ!

2020年6月 8日

大谷 羊平
取締役
経営コンサルティング事業本部 本部長 シニア・コンサルタント

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新型コロナの感染拡大の影響もあり、改めてBCP(事業継続計画)の見直しを検討している会社も多いのではないだろうか。コロナ以前の日本のBCPの感染症対策は、2009年の鳥インフルエンザの流行以降に定められたものがほとんどで、残念ながらその後見直しがなされていない企業が多いと推察する。

その当時に定めらたBCPでは、従業員が一定比率(30%から40%程度)で感染し(または感染の恐れがあり)、出勤率が下がることを前提としている。一定の人数だけが出社できる状態を想定し、その状況でどの業務を継続すべきか。という前提で定めているものがほとんどである。ただし、業務の優先度や必要工数を明確にして、その後見直しを進めている会社は少ないのではないだろうか。

BCPで描くニューノーマルの世界

このタイミングをチャンスと思って、策定済のBCPの見直しを進めてほしい。もしBCPの策定をしていない場合には、改めて考えていただきたい。

非常事態宣言を経験したこれからは、出勤率を80%程度低減する前提での見直しが必要だ。製造現場などリアルで作業する必要がある現場以外は最大限リモートワークを前提としつつ、出勤が必要な業務の最小化を図るとともに、出勤せざるを得ない業務の対応者の安全性強化を検討する必要がある。

Afterコロナのニューノーマルは、働く場所を自由にする。法的な制約のない紙を使う業務(申請・稟議対応、請求書対応など)はオンラインで行うようにして、完全ペーパレスを前提とした出勤率の目標を設定する必要がある。在宅で制約のある社員のためにシェアードオフィスなどリモートオフィスを設定する必要もあるかもしれない。リアルで作業するべき現場も、ソーシャルディスタンスを維持できるような距離感を取れる現場レイアウトや換気の確保などが必要になる。

これらの計画や実施は短期的には実施が難しいかもしれない。それでもこの機会をチャンスととらえ今から考え進めていくことが重要なのだ。大手のBCP先進企業も時間をかけて対応をしてきている。10年近くかけて工場の耐震強化や建て替えを進めていたり、委託先やその部品供給先の所在地の洗い出しなどを進めてきていたり、製品や原料・部品、設備の標準化を進めてきている。

活きたBCPで変化に強い会社になる

今回を機会にBCPの見直しをしようと考える際には、コロナなど感染症の対策だけでなく、今一度自社のBCPの想定災害や、実施済の対策について確認しておくことを推奨する。日本は災害大国でもあり、数年おきに何らかの大きな災害が発生している(下図)。それは地震だけではなく、最近では水害も多くなってきている。感染症も5年程度おきには発生している。日本にいる限り、災害と共存し、しなやかに乗り切っていくための対策が必要なのである。

近年の災害の歴史と災害想定の広がり

また、災害対策も一度定めたから大丈夫という訳でもない。たとえば、東日本大震災前の地震では津波は想定されていないケースがほとんどだった。東日本大震災後は、津波の想定や可能な範囲での対策が現実化している。各拠点での水害への対応もこれから実施していく企業が多いだろう。また、この先の環境変化や社会変化を想定すると、製品やサービスの環境対応力そのものが企業のリスクになることも想定される。

私は、災害対応力の高い企業は、変化対応力の高い企業であると考える。標準化と汎用化、多能工化など、代替性の強化に真剣に取り組むことになるからだ。何かあった場合に対応できるように、製品や工程の標準化を進め、他工場や他工程を支援できるように人材を育成することは、将来的な製品や事業の大幅な見直しへの対応力を高めることになる。また資金も資産も効率化が求められる時代ではあるが、いざという事態に対応するための一定のキャッシュ枠の設定や確保も検討していただきたい。

自社を守り、自社を必要としてくれる顧客や社会を守るためにも、災害対応力の強化に取り組むべきである。先に述べたように、BCPの対策は短期的にできるものだけではない。長期計画に折り込んで、ぶれずに着実に進めていくことで、レリジエンス性の高い継続力の高い企業に近づくことができるのである。

コンサルタントプロフィール

大谷 羊平

取締役
経営コンサルティング事業本部 本部長 シニア・コンサルタント

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1993年日本能率協会コンサルティング(JMAC)に入社。大手・中堅を含め、多数の業種業界における経営課題解決コンサルティングを支援。収益改革やBPR、情報システム構築、働き方改革やKPI管理、リスク管理など幅広い分野を支援している。

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