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第7回 自社の市場地位と競争余地を知る(1)~マ-ケットシェアは、カバレージとウィンドシェアに分けて考えよう~

  • 営業・マーケティングの知恵ぶくろ

笠井 和弥

エリアによるシェアのバラツキ

顧客構造(プロポーション)を把握したならば、次はマ-ケットシェア等を通して自社の市場地位をしっかりと認識しなければなりません。市場地位が高いか低いかで、戦いに臨む基本スタンスおよび後から検討する製品戦略や価格戦略等がまったく異なってくるからです。

このように戦略の根本に影響するマ-ケットシェアですが、一般的に、このシェアの見方が大雑把過ぎます。たとえば、全国平均シェアで戦略を考えるなどは、この一例です。エリアによってシェアがかなり異なる、あるいは、ライバル自体がエリアによって異なることも珍しくないからです。

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たとえば、上図を見て下さい。これは加工食品AおよびBの首都圏と近畿圏における各社のマ-ケットシェアを図示したものです
食品Aの場合は、首都圏と近畿圏で、A社とB社の1位、2位が入れ替わっていますし、食品Bでは、両エリアの3位、4位のメーカーの顔ぶれが異なっています。これだけ、エリアによってシェアが異なれば、単純な全国平均シェアでマーケティング戦略を考えたのでは、現実に存在しないシェアでものを考えることになり、過ちを犯しかねません。

マ-ケットシェアはカバレージとウィンドシェアの積

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マ-ケットシェアが「カバレージとウィンドシェア(W/S、店内占有率)の積、あるいは、カバレージと競合勝率(ライバルと競合して勝つ割合)の積」であることをご存じでしょうか。
すなわち、販売店に対して商品を売る場合のような継続的取引であれば、シェア(M/S)=ストアカバレージ(S/C)×ウィンドシェア(W/S)ですし(上図参照)、

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建設機械や自動車のようなユーザー直販の非継続的な取引であれば、シェア(M/S)=商談カバレージ×(競合比率×競合勝率+無競合比率)となります(上図参照)。

前項で「エリアによってマ-ケットシェアが異なることに注意しなければならない」と述べましたが、マ-ケットシェアがほぼ同じでも、カバレージとウィンドシェアに分けて見ると市場の構造がまったく異なることに気がつくこともあります。

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たとえば上図は、ある食品メーカーG社の首都圏市場と近畿圏市場における販売店のカバレージと店内占有率(ウィンドシェア)および両者の積としてのマ-ケットシェアを示したものです。
これによれば、製品Aの両市場におけるマ-ケットシェア自体にそれほど大きな開きはありませんが、市場の抑え方には相当の違いがあることが判ります。すなわち、首都圏はストアカバレージは高いレベルまで達していますが、店内占有率はまだまだです。
一方、近畿圏は店内占有率はそこそこの成績を納めていますが、ストアカバレージアップの余地はかなりあります。したがって、同じようなマ-ケットシェアの両市場ですが、それぞれに対する打ち手はまったく異なってきます。すなわち、首都圏は店内占有率を高める深耕作戦を中心に活動し、近畿圏はストアカバレージ(取引店率)を高める新規開拓活動にウェイトを置くというように、戦力の投入の仕方が大きく変わってきます。

市場地位の分析は競争余地発見の第一歩

カバレージと競合勝率の場合も同様に考えます。商談カバレージが低いのであれば、商談をキャッチする情報ネットワークの充実や営業マンの増員を図ればよいでしょうし、競合勝率が低いのであれば、製品力や価格あるいは営業マンの腕前に改善余地があるかも知れません。もし、皆さまの会社の営業形態が直販であるならば、「営業日報」に、どこと競合したかも含めて、勝敗ごとの競合の有無を記入させ、このような分析を試みることをお勧めします。

つまり、競争余地(拡販余地)がどこにあるのかの問題であり、拡販余地の大きい所へ資源を重点的に投入することがポイントです。たとえば、成長期にはウィンドシェアアップよりもストアカバレージアップに力を注ぐべきだと言われますが、これも成長期にはストアカバレージアップの余地の方がウィンドシェアアップの余地よりも大きいからなのです。

(小林 裕)

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