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人手不足時代を生き抜く!「人が活きる」工場マネジメントとは

コラム

2026.06.24

労働力人口の減少が続き、少子高齢化の影響により今後さらに深刻な減少トレンドへ向かう見通しの中、すでに9割以上の企業が人手不足を感じているのが日本の製造業の現実である。

とある時点で人手を確保できたとしても、数年先には再び不足に陥るリスクがあり、この課題に終わりは見えない。単に不足分をマンパワーで補おうとするだけの対症療法では、企業の持続的な成長は望めない。

本コラムでは、最新の実態調査から見えてきた人手不足がもたらす恐ろしい連鎖と、それを断ち切るための工場マネジメントの3つの柱について解説する。

現場を蝕む「負のサイクル」と忍び寄る業績悪化の影

人手不足は、突然会社の売上を奪うわけではない。実態調査によると、まずは残業・業務負荷増加や従業員満足度低下という形で現場に影を落とす。これが離職率増加や応募者数低下を招く「負荷蓄積サイクル」へと連鎖していくのである。

 この状態を放置し、現場がキャパオーバーに陥るとどうなるか。やがて製品の品質低下(QCDの悪化)を引き起こし、最終的には売上減少や、利益減少という致命的な「業績悪化サイクル」へと突入してしまう。現在業績が悪化していなくとも、負荷蓄積の症状が出ている企業は業績悪化の予備軍であり、早期の対策と成果創出が急務である。

人手不足による負のサイクル

人手不足による負のサイクル

未来からのバックキャスト「ミニマム人員設計」による生産性向上

このサイクルから脱却するには、将来の生産システムのあり方を見据えた「生産性向上」が必要不可欠である。ものづくりの自動化やDXが進んだ将来において、人が担う仕事は定型的な作業から、判断やチェックといった「非定型(思考)業務」へとシフトしていく。

人手不足の中では、人がやるべき仕事を見極め、より付加価値が高い仕事のみを行う仕組みを作り上げなければならない。そのためには、需要見通しや将来構想を踏まえたうえで、標準作業に基づき必要人員を極小化する「ミニマム人員設計」を描き、設備の自動化や作業の改善へと投資していく視点が重要である。

最大の防衛線は「エンゲージメント」と「適材適所」

生産性の向上と同時に、優先すべきは今いる人材の流出防止、すなわち人材の定着化である。従業員が辞めない組織をつくるには、組織と従業員が互いの成長に貢献し合うエンゲージメントの高さが求められる。

 そこで鍵となるのが「人パフォーマンスの最大化」である。従業員自身の「やりたいこと(WILL)」と「できること(CAN)」、そして会社が「やるべきこと(MUST)」の3つを一致させるよう話し合い、適材適所の人員配置を行うことが重要である。

JMACが支援したある製造業の事例では、現場の意識改革を掲げ、上司と部下の「1on1ミーティング」の実施や、管理監督者向けの「リーダーシップ・コーチング研修」などを推進した。こうした不満や悩みを吸い上げ、教育体系とキャリアパスを連動させる仕組みづくりが、結果として従業員の仕事への誇りやエンゲージメント向上に直結している。

おわりに

将来のあるべき姿を実現する生産性向上で付加価値の高い現場(現場の負荷を下げる)を作り、人を惹きつける魅力度を高め、人の能力(能率)を最大発揮する人材有効活用のサイクルを回し続けることが、労働力人口減少を克服する工場マネジメントになると考えられる。

この工場マネジメントを実現するために「人が足りないから採用する」という発想から抜け出し、労働環境と利益構造そのものを変革していくことが求められる。数十年先も市場で生き残り続けるために、今一度、自社の工場マネジメントを見直してみてはいかがだろうか。

  

(※本コラムは、2024年9月9日に開催したJMACセミナー『人手不足時代の工場マネジメント』の内容をもとに再構成したものです)

角田 賢司

生産革新コンサルティング事業本部
シニア・コンサルタント

1998年 JMAC入社。IEをコア技術として収益向上のコンサルティングに取り組んでいる。これまでに自動車(部品)、化学プラント、樹脂成型、建材、食品など、多くの業種で収益向上の支援を実施してきている。支援テーマは製造部門も対象とした現場の生産性向上、品質向上をはじめとし、調達コストダウンや在庫削減など多岐にわたり、かつ複数のテーマを同時に展開、実行マネジメントの支援を行っている。現在は日本製造業のグローバル化に伴い、日本国内のみならず、日系企業のタイ製造拠点の支援として、生産性向上や品質向上の成果実現と併せ、マネジメントの仕組みづくり、ローカル人材育成を現地で実践している。海外製造拠点の支援に際しても単なる個人の指導ではなく、JMACのグローバルネットワークを活用(日本人と現地コンサルタントが連携)した組織的な支援を展開している。

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