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第12回 プロジェクト推進時のよくある課題「Phase6 導入」

コラム

2026.01.27

業務改革を同時実現する『基幹システム再構築』推進

前回(第11回)のコラムでは、基幹システム再構築プロジェクトの『Phase5 開発』推進時のよくある課題を紹介した。今回は、『Phase6 導入』推進時のよくある課題を紹介する。

『Phase6 導入』では、新旧システムの並行稼働を行って新システムの定着化を図り、最終的には本番稼働の判定を行う。加えて、新システム稼働後の運用・保守業務の設計や役割分担定義も必要となる。

このPhaseでは、システムユーザである自社の実施タスクが中心となり、システムベンダーは後方支援的な役割に移行していく。特に、これまでの工程にあまり関与していなかった、システム利用者・実務担当者の関与も多く求められることから、当該Phaseならではの問題・課題を解説する。

推進上の課題①:稼働前教育の不足で、新システム利用方法が浸透しない

導入フェーズにおいては、新旧システムの並行稼働を行い、新システムを使った実業務の予行演習を行うことで、新システムの本番稼働前に定着化を進めていく。

ただし、並行稼働にあたっては、社内キーマンから新システムの利用者(エンドユーザ)に向けて、新システムの利用方法に関する稼働前教育を行う必要がある(※稼働前教育は第11回で紹介した「Phase5開発」 の中で遂行する)。この稼働前教育と新旧システムの並行稼働を通じて、システムの利用者が、目指す姿の業務のやり方と新システムの利用方法を学び、本番稼働後のトラブルを未然に防ぐことが求められる。

しかし、ユーザ企業自身が稼働前教育を適切に推進できずに、並行稼働を経ても新システム利用方法が定着せず、稼働後のトラブルに見舞われることが散見される。

特に、稼働前教育に用いる教育用のコンテンツ・文書整備が充分でなく、教育・定着化がうまく進まないという問題はよく発生する。例えば、新システムを使った業務マニュアルの未整備によるものである。一般に、新システムの操作マニュアル作成業務は、システムベンダーの受託範囲となることが多いが、自社の新業務に落とし込んだ業務マニュアルの整備は、ユーザ企業の責任範囲となることが多い。

そこで、システムベンダーから提供される新システム操作マニュアルのみを使って稼働前教育を行うと、システム利用者にとって、どの業務でどのシステム機能・画面を使うのか理解が進まず、新システムの定着化を遅らせてしまう。よって、稼働前教育~並行稼働のスムーズな推進のためには、新システムを使った業務マニュアルの整備は重要である。前回取り上げた受入テスト工程の中で、業務マニュアルの目次構成の整備や、画面キャプチャ等の取得を予め行っておくと、マニュアル文書作成作業がスムーズに遂行でき、推奨される。

次に、新旧システム並行稼働に伴う業務負荷増に対し、担当者(システム利用者)のリソースの確保が追い付かず、定着化の機会を逸してしまうことがある。先述の業務マニュアル整備や稼働前教育を含め、導入フェーズでは上流のフェーズで活動にあまり関与していなかった担当者にも影響が及ぶことから、稼働前教育への参加や並行稼働への協力を、早期に伝えておくことで、新システム定着化の働きかけを行うことが必要となる。

推進上の課題②:あいまいな運用設計とランニングコスト増のリスク

運用設計とは、新システム稼働後の運用業務(定常業務)と保守業務(改修等の非定常業務)を設計し、それぞれについてユーザ企業とシステムベンダーとの役割分担・責任分界点を決議する工程である。

この工程は、コラム第8回「RFP策定」 で取り上げた「To-Be業務プロセス設計」におけるポイントを踏まえて、目指す運用業務・保守業務プロセスを設計することが重要となる。運用設計工程を軽視してしまうと、システムベンダーへ委託する業務範囲が適切に設定されず、運用業務の支援費用・改修等の保守作業費用が肥大化してしまうリスクがある。稼働した新システムは、10年スパンで利用継続することを考慮すると、イニシャルコストだけでなく、ランニングコストの適正化にも目を向け、運用設計工程を推進することが望ましい。

今回をもって、基幹システム再構築プロジェクトのPhaseごとのよくある課題の紹介を終える。次回以降は、システム領域・ソリューションカテゴリ別の導入ポイントの発信・紹介を予定している。

新藤 直人

経営コンサルティング事業本部
チーフ・コンサルタント

2016年JMAC入社。以来、業務プロセス改革を専門領域として、販売管理や生産管理、新商品開発業務など、機能・組織横断的な業務プロセスと情報システムの改革を支援している。近年は、DX化・データ利活用の促進に関する支援テーマも手がけている。

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