経営改革の知恵ぶくろ

第10回 3視点・3局面の組み合わせで経営改革を推進する

3視点・3局面を組み合わせる

経営改革は、経営の全体像を認識して進めることが肝要であることから、財務・事業・管理の3視点から統合的に推進すべきだと、前々回に述べました。また前回は、経営改革にもマネジメント・サイクルがあるとの発想から、マスタープランの策定・具体化・実行評価の3局面を廻して経営改革を推進することの重要性を説きました。
JMACは、企業や事業の全体的な経営改革をご支援する場合、全体最適・永続改革を意図した真の経営改革実現に向けて、財務・事業・管理の3視点とマスタープランの策定・具体化・実行評価の3局面を組み合わせて改革を進めることを、トップマネジメントや改革スタッフの方に推奨しています。この「3視点・3局面」の経営改革を具体的にどう推進するかは、今後の知恵ぶくろの中で触れますが、基本的な留意点を述べておきます。

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長期的な経営ビジョンを確認せよ

「3視点・3局面」の経営改革は、中期(3ヶ年)をメドに推進することが多いのですが、ここで留意すべき点は、企業や事業の長期的なビジョンの確認です。経営ビジョンは、経営理念・行動理念と将来の事業領域から構成されますが、特に、将来の事業領域と経営改革との関連を確認しておく必要があります。企業や事業の長期的なビジョンが明確である場合は、その方向に沿って戦略や施策を策定し実行すれば良いということになります。しかし、企業や事業の長期的なビジョンがない、もしくは見直す必要がある場合は、経営ビジョンの策定や見直し自体が、経営改革の一つのテーマになる可能性があります。

自社独自の経営改革プロセスの全体像を共有化

「3視点・3局面」の経営改革フレームワークは、全体最適・永続改革という真の姿を目指した経営改革プロセスの全体像を抽象化したモデルです。トップマネジメントは、経営改革スタッフと共に、自社独自の改革推進プロセスの全体像を、具体的に描き実行する必要があります。ここで大切なことは、トップマネジメントも改革スタッフも、自社における全体最適・永続改革を意図した真の経営改革とは何かを確認し、改革の進め方の全体像を共通認識しておくことです。企業や事業の置かれた状況はそれぞれです。財務状況が安定した企業では、事業面や管理面で、積極的な戦略・施策を打ち出す経営改革プロセスを描くことが可能です。一方、財務面が脆弱な企業では、財務戦略や事業戦略の再構築、組織風土改革に重点を置いた経営改革プロセスの全体像が必要かと思います。財務・事業・管理の3視点から、自社の経営改革の重点課題を設定し、経営改革のマネジメント・サイクルを廻していただければと思います。

経営改革は魂とスピードが求められる

自社独自の経営改革プロセスの全体像が描けても、改革に「魂」を入れなくては、前に進みません。全体像は、あくまでも経営改革の進め方の枠組みを示したものです。重要なのは、トップマネジメントのリーダーシップ発揮によって、「魂」を改革の枠組みに入れることです。それは、ビジョンや経営改革の重要性を明示し、財務成果だけでなく顧客満足や改革人材の実現も同時達成する「志」を発信することなのです。

また、経営改革はスピードをもって遂行し、次の経営改革に向かうことが求められます。経営改革のマネジメント・サイクルを廻すということは、経営改革を継続して実行できる体質づくりを目指していますが、これは経営改革スピード力の向上にもつながると考えています。私は、このマネジメント・サイクルを十分に廻しきれていない企業は、経営改革マスタープラン(中計)策定に4~6ヵ月、その具体化(年計)に3~4ヵ月かけている印象をもっています。また、逆にこのマネジメント・サイクルをうまく廻している企業では、経営改革マスタープラン(中計)は3ヶ月、その具体化(年計)も2ヶ月と短く、満足できるアウトプットを生み出しています。そして、そのような企業は、実行に早く着手でき、検証しながら是正するスピードも速いと思います。経営改革マスタープランやその具体化に費やす時間が短くても、十分なアウトプットが生み出せないのも困りますが、経営改革のマネジメント・サイクルを意識して、スピード力をつけていただければと思います。


次回は、「経営改革を成功に導く場づくり」についてお話しいたします。

(シニア・コンサルタント 神奴 圭康)