経営改革の知恵ぶくろ

第1回 あらためて問う、経営とは何か?

会社をつぶさない

経営改革全般の考え方を発信するに当って、「経営とは何か」について、触れておきたいと思います。 私は、企業の経営改革をご支援する立場にありますが、経営改革は何のために行うのか、経営改革の価値は何かを考える時があります。 それは、私自身「経営とは何か」を再確認する機会にもなります。

私は、「経営とは何か」と問われた時に、企業の経営環境は良い時も悪い時もありますが、「会社をつぶさないこと」と単純に答えています。言い換えると「会社を継続成長させること」ですが、このためには二つの側面から経営の在り方を見る必要があると考えています。その一つは「社会における経営の在り方」であり、いま一つは「企業内部における経営の在り方」です。

企業の社会的存在価値を向上させる

「社会における経営の在り方」という側面からは、「経営とは企業の社会的価値を向上させること」と考えています。これは、CSR(Corporate Social Responsibility)経営と呼ばれ、企業は次のような社会的責任を遂行し、社会から信頼を得ることが求められます。

・自社の事業活動を通じて社会に有益な商品・サービスを提供し、社会に必要とされる
・自社の事業規模や事業特性に応じて、人材の雇用と開発の責任を果たす
・事業活動を通じて一定の利益を確保し、納税や株主配当の責任を果たす
・社会において企業市民として、倫理感を持った活動や法令遵守を徹底する
・文化活動などにより社会貢献度を高める
・地球市民として、環境問題に積極的に取り組む   など

企業の成長・発展と事業価値の向上

「企業内部における経営の在り方」という側面からは、「経営とは企業の成長・発展を促し、事業価値を向上させること」と考えています。この側面においては、企業は次のような経営を行うことが重要と考えます。

・事業の創造と成長・発展
・顧客の創造と技術革新
・経営の各領域における生産性の向上(一人当り付加価値の向上など)
・経営資源のコアである人材の開発と活性化
・ブランドやノウハウなど無形価値の向上
・経営体力の源である資金の蓄積と活用
・有効な経営管理技術の適用   など

2つの経営の在り方と経営改革

mg01_1.jpg

「経営とは何か」について、「社会における経営の在り方」と「企業内部における経営の在り方」という2つの側面があることを述べましたが、この2つの経営の在り方をバランスよく両立させる必要があります。私自身は、「社会における経営の在り方」を第一とし、その実現手段として「企業内部における経営の在り方」を位置づけることが重要と考えています。企業内部の論理を追求しすぎると、企業は社会から信頼を得られずに成長・発展が止まる、場合によってはつぶれることもあるからです。我々コンサルタントは、「企業内部における経営の在り方」の側面から、会社の経営改革をご支援することが多いのですが、「社会における経営の在り方」を忘れてはいけないと自戒しています。

(シニア・コンサルタント 神奴 圭康)