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第18回 急加速する脱炭素への道(1)

パリ協定、ESG投資、SDGsに関連する動きは非常に大きなうねりとなって世の中を変えようとしていますね。私はクライアント企業の環境・サステナビリティの中長期ビジョンや中長期目標/実行計画づくり(たとえば下図)を支援する中で、その重要さを日々肌で感じています。

中長期目標/実行計画づくりの例

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このようなサステナビリティに関する動きは、ますます加速している感があります。また、その加速の方法は、従来のように企業単独のガンバリに頼る方法から、NGOが企業を巻きこみネットワークを構築して行動促進する方法に変わってきています。みなさんもよくご存知のSBTi(Science Based Targets Initiative)やRE100(Renewable Energy100%)など、次元の違う高いレベルの二酸化炭素削減を要求するイニシアチブがありますが、これらに参加表明する日本企業はどんどん増えてきています。こういったイニシアチブとそれに賛同する企業のネットワークが国政に働きかけ、さらなる脱炭素化への動きを加速させています。そしてさらにこれらのイニシアチブ同士が連携して、さらに巨大なネットワークを構築し、パリ協定の実現を後押しする構図が明らかになってきています。

気候変動イニシアチブ(JCI)に100の企業・自治体が参加

日本においても、ついに2018年7月6日「宣言 脱炭素化をめざす世界の最前線に日本から参加する」を表題に掲げ、「気候変動イニシアチブ(JCI:Japan Climate Initiative)」が設立されました。設立当初から国内約100の企業や自治体が参加しており、海外のネットワークと連携しながら、パリ協定が求める脱炭素社会の実現に向け、世界と共に最前線で挑戦しています。

気候変動に関しては、もはや政府が将来の方向付けや制度構築を明確にできない中、こうしたNGOと企業の連携ネットワークが事実上の推進をする時代になったのでしょうね。従来からNGOやネットワークの重要性は叫ばれていましたが、本格的に実効が高まっています。

環境省が本腰で取り組む「脱炭素経営による企業価値向上促進プログラム」

一方、国政における気候変動に関する議論があまりに乏しいなか、環境省は2018年6月27日「脱炭素経営による企業価値向上促進プログラム」を発表しました。これは環境省が企業の脱炭素経営を支援するプログラムであり、それを中川環境大臣自らが発表するなど、環境省の意気込みを感じました。SBT、RE100、スコープ3、TCFDシナリオ分析、インターナルカーボンプライシングなど脱炭素経営に関する現在のキーワード(手法)をほぼカバーする内容になっています。

現在、私にもこうしたキーワードに関する支援依頼が増えています。JCIや環境省のプログラムが日本企業の脱炭素化行動の底上げになることを期待しています。

<参照ページ>

気候変動イニシアティブ 参加の呼びかけ 

環境省 脱炭素経営による企業価値向上促進プログラムについて 

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