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「トランスナショナル的アプローチを持ったコンカレント・エンジニアリングの実践」

1990年代から日本企業はコンカレント・エンジニアリング・アプローチを通じて、早く、良い商品を市場に投入する努力を続けてきた。

コンカレント・エンジニアリングは当初、新たな開発プロセス革新アプローチとしてアメリカから逆輸入され、各社で様々な工夫を取り入れ、ブラッシュアップされてきた。

日本市場が飽和し、かつ少子高齢化が進む今日、各企業はM&Aも必要に応じて駆使しながらグローバル拠点を立ち上げ、拠点間連携を実現しようと努力されている。

    このようなグローバル・アプローチには、
  • マルチ・ドメスティック戦略
  • トランスナショナル戦略
    の2つのアプローチがあるといえる。

前者は日本の開発部門でコア技術、プラットフォームを開発し、各拠点で市場に合った仕様を取り入れ、開発を進めていく。後者は世界の各拠点で得意な技術を持ち、それをキャッチボールしながら各拠点で連携して開発を進めていくというアプローチである。

グローバル・マーケットに舵を切った企業のトップはトランスナショナル的なアプローチをふまえたコンカレント・エンジニアリングの推進、準備を各部門に求めていることは言うまでも無い。

トランスナショナル的なアプローチは、異なった文化を持った他企業・拠点、他国メンバーとのビジネス推進が求められるため、開発・製造プロセスが異なる、品質マネジメントシステムが異なる、育ってきた文化が異なる、仕様・品質に対する考え方が異なるといったリスクが挙げられる。

よって、商品開発・製造における品質保証の考え方を統一、企業間、拠点間で揃えていくことが求められ、品質に対する教育はもちろん、連携プロセスの整備、品質マネジメントシステムを必要に応じて多言語での検討が必要である。

これらは一筋縄ではいかない。よって中長期的に企業間一丸となって、取り組みを計画、実行していく必要がある。

コンサルタントプロフィール

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グローバル開発革新センター長 
シニア・コンサルタント 野元 伸一郎

東京理科大学大学院修士課程経営工学専攻修了後、1993年にJMAC入社。一貫して研究・開発分野のコンサルティングを実施。設計品質向上をベースにした開発プロセス革新/コンカレントエンジニアリング、プロジェクトマネジメント、技術ロードマップ構築等を数多く推進している。2012/3に北陸先端科学技術大学院博士後期課程で知識科学博士号を取得。2016/3までJMAホールディングス ASEAN推進センター長を兼任し、AEC(ASEAN経済共同体)以降を見据えたASEANビジネスのあり方、各地域別に求められる製品品質・サービス品質について、研究、事業化を行っている。

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