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第12回 【積載効率の向上】出荷遅延と不要な運賃の発生を防ぐ配車手配の早期化とは?

コラム

2026.10.15

【事例で解説】物流効率化の実践アプローチ

配車手配

横展開が期待できる企業・拠点

  • 受注から出荷までの期間が短く、出荷遅れが常態化している製造業や卸売業
  • 出荷量の変動が大きく運賃の割増や運休に伴う保証費用が発生している企業

背景と目的:出荷遅延の防止と追加運賃抑制に向けた配車体制の見直し

 A社は、道路の擁壁や側溝などに用いられるコンクリート製品を製造販売している。取り扱う製品は標準品が主体であるが、一部には特注品も含まれる。道路工事の進捗や内容に合わせて必要な製品を組み合わせ、顧客からの納品依頼に基づき出荷する事業形態である。

 A社では、出荷直前に手配が集中することによる「車両不足」や「出荷遅延」が常態化しており、物流コスト増加の一因となっていた。

 そこで同社では、手配プロセスの早期化によって出荷遅延を削減し、同時に割増運賃等の発生を抑えて運送費用増加を抑制することを目指した。

問題点:出荷直前の手配業務集中と車両過不足に伴う追加費用の発生 

 「出荷までの業務フロー」と「発生費用」の分析を実施した。その結果、出荷直前まで情報が共有されないために手配業務が集中し、適切な配車手配が行えていない実態が明らかになった。

 さらに、この手配不足に伴って事前に準備した車両数と実際の出荷量の不一致が生じ、割増運賃や保証運賃といった無駄な追加費用の発生につながっていた。

配車検討時間が確保できないことによる車両過不足と積載効率の悪化

 A社では、出荷前日に顧客からの「納品依頼」、営業部門の「出荷依頼」、そして物流部門による「配車手配」がすべて集中して行われていた。その結果、物流担当者が運送会社の手配に十分な時間を確保できず、急な依頼で車両が十分に集まらずに出荷が遅れる事態が生じていた。

 さらに、とりあえず確保できた車両に対してその時点で出荷できる製品を載せて輸送していたため、積載効率が低い状態で運行せざるを得なかった。これが、後述する割増運賃やキャンセル料といった追加費用の発生を招く要因となっていた。

積載効率が低い状態

手配車両数と実際の出荷量の不一致による追加費用の発生

 事前に車両を確保しているものの、実際の出荷量が多すぎた場合には、1台あたりの配送件数や走行距離が増えて運転手の早出や残業を招き、基本の料金に加えて割増運賃が発生していた。逆に、出荷量が予想より少なかった場合には、手配した車両を走らせることができず運休状態となり、運送会社へ支払うキャンセル料が発生していた。   

 基本の運賃に加えて支払っている費用(割増運賃、キャンセル料)の割合が総運賃の約5割を占めていた。  

  総運賃 基本運賃  割増運賃 キャンセル料
件数 100 100  20 10
金額 10,000 5,000  2,000 2,000
発生頻度      20% 10%
金額割合 100% 50%  20% 30%

改善のポイント:受注前情報の活用による「集車手配の早期化」と「配車検討時間の確保」

 A社では業務手順の再設計を行い、受注前の先行情報を活用した「集車手配」と、受注確定情報に基づく「配車手配」の2段階に業務を分離・前倒しする改革を実施した。

ポイント1:出荷予定情報を活用した集車手配の早期化

 営業担当者が顧客を訪問し、単価の見積もりや納品の打ち合わせを行うのは出荷の5日前であった。この顧客との打合せ情報に基づいた出荷予定情報を早期に作成し、集車手配に活用する仕組みを作った。受注前の情報を共有化することで、物流部門は出荷3日前の段階で輸送に必要な車両枠を確保できるようになった。

 あわせて、営業、生産、出荷窓口の連携を強めるため、出荷依頼に関する明確なルールを設定した。なお、初期の見込み情報に基づいて手配を進めるため、後から数量や日時に多少のブレが生じた場合の社内連絡や調整ルールもあらかじめ整えておく必要がある。

ポイント2:受注情報に基づく積載効率を考慮した配車体制の構築

 出荷の3日前に受注を受けた段階で納品依頼を待たず、製造依頼、出荷依頼の処理をする形へ業務手順を変更した。これにより、物流部門には実際の出荷日までに配車を検討する時間が確保された。確保した時間を使って、集車手配した車両に対し、積載効率を考慮した配車を検討する体制を構築した。これにより、出荷に先立つ数日前の段階から配車の事前段取りを行うことが可能となった。

積載効率を考慮した配車体制

効果:追加運賃の半減と、生産計画の早期化による労務費10%削減

 手配の早期化と業務手順の見直しにより、出荷遅れの抑制に加えて、運送費用および社内労務費の削減が達成された。   

 割増運賃とキャンセル料の合計額を約50パーセント削減。事前に適切な台数を過不足なく確保できたことで、運休手当の支払い(キャンセル料)や、運転手の突発的な残業(割増運賃)の発生を最小限に抑え込んだ結果である。   

 また、物流部門から生産部門へ出荷情報が早期に提供されるようになった結果、工場の「生産計画の早期立案」が可能となった。これに伴い工場部門における労務費を10%削減できた。

実施上の留意点

 本取り組みを定着させるためには、各部門が情報を連携する意識を持つことが重要である。営業担当者は確定していない見込み情報を他部門へ出すことに慎重になりがちである。情報が変わることで現場の混乱を招くことを懸念するためである。

 しかし、大枠の車両を確保する「集車手配」の段階では、確定前の見込み情報が有効であるという共通認識を持つ必要がある。あわせて、予定情報に変更が生じた際の社内連絡手順や、運送会社との調整ルール(キャンセル規定や調整フロー)をあらかじめ決めておき、情報の早さと正確さの均衡を保つ運用管理が求められる。 

まとめ

 直前に配車手配へ追われる悪循環から脱却するには、業務フローを見直し、物流担当者が事前計画を精査できる時間を確保することが重要である。早期に事前情報を部門間で共有することで、大枠の集車手配と詳細な配車手配を段階的に進めて「運賃増加の抑制」「配送体制の安定化」を実現するだけでなく、工場部門の生産性向上にもつながる。

諸橋 拓弥

dXコンサルティング事業本部
コンサルタント

入社以来、製造現場の生産性向上支援や新物流センターの企画構想・基本設計、適正在庫化、物流体制の改革推進といったテーマのプロジェクトへ中心的に参画。また、製造現場の知的生産性向上・職場活性化支援活動の経験も積んでいる。

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