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サステナビリティの「停滞感」を打破せよ!2026年問題を超える企業文化の育て方

コラム

2026.04.20

2027年3月期からの有価証券報告書でのサステナビリティ情報開示義務化と、それに伴う2026年4月からの実績データ収集開始した。いわゆる「サステナビリティ2026年問題」を前に、多くの企業が開示に向けた準備を進めている。しかし、新たな仕組みを導入しデータを集めるだけの「義務対応」や「チェックリスト化」に陥ってはいないだろうか。

単なる制度対応だけでは、市場競争における真の優位性は生まれにくい。本コラムでは、最新の実態調査から見えてきたサステナビリティ経営の「停滞感」を紐解き、それを事業成長の駆動力へと変える「企業文化変革」の重要性について解説する。

現場に広がる「停滞感」と当事者意識の課題

JMACグループが実施した第3回「サステナビリティ経営課題実態調査」から、日本企業の現在地として一つの課題が見えてきた。それは、取り組みの「停滞感」である。

経営層の思いとは裏腹に、管理職層の当事者意識は約3割に留まり、一般職層に至っては2割を切る水準となっている。数値目標の設定は当たり前になりつつある一方で、投資回収期間の明確な基準を持たない企業が約半数に上るなど、経営側の優先順位が現場に伝わりきっていない実態がある。

さらに、当事者意識を高めるための施策も「社内の取り組み周知」や「社内研修」といった内向きなものに偏りがちである。現場の従業員や中間管理職にとって、サステナビリティが「既存業務に上乗せされた余計な仕事」として捉えられてしまえば、実務への定着は難しくなる。

経営企画とサステナビリティ推進

競争優位の源泉は「見えない氷山」にある

制度やルールを整えるだけでは各社似たような対応となり、真の差別化要因にはなりにくい。市場から高く評価され、PBR1倍超を実現している先進企業は、戦略や仕組みという「水面上の氷山」を整えるだけでなく、水面下に広がる巨大な基盤、すなわち「企業文化」の変革を最重要課題と位置づけている。

企業文化という見えにくい資産こそが、他社には真似できないプレミアムな価値を生み出す源泉となる。開示義務化という波を「やらざるを得ないコンプライアンス対応」と捉えるか、「社会課題に適合した新たな事業成長への好機」と捉えるかが、企業の未来を大きく分けるのである。

見えない氷山

変革を加速させる3つのアプローチ

では、具体的にどのように企業文化を変革していけばよいのだろうか。それには現場の従業員を巻き込み、以下の3つの視点からなる好循環を生み出すことが鍵となる。

1. 変革の「Why」の浸透と自分ごと化

「なぜサステナビリティに取り組むのか」を上意下達で伝えるだけでなく、双方向の対話が不可欠である。抽象的な社会貢献の理念を、従業員一人ひとりの「自分の仕事=社会課題解決」という具体的な実感へと変換し、業務の目的を再定義していくことが求められる。

2. 人的資本の最大化

多様な人材の能力を活かし(DE&I)、働きがい(ウェルビーイング)を追求する。さらに、日々の取り組みに対して感謝や称賛を送り合う文化を根付かせることで、社会課題から新たな事業戦略を発想できる「変革リーダー」を生み出す土壌をつくる。

3. 継続的な「挑戦」の奨励

新たな価値創造には失敗と学習のプロセスが伴う。失敗を恐れずに挑戦できるマインドセットの醸成と、失敗から学んでレベルアップしていくことを組織としてサポートする仕組みが必要である。

おわりに

サステナビリティ経営が真に深化したとき、社員は自社やその事業に対して強い「誇り」を持てるようになる。

自社の取り組みが本質的なものかを見極める一つのチェックポイントとして、「もし明日、サステナビリティ推進部門がなくなったとしても、今の取り組みは現場主導で継続されるだろうか?」と問いかけてみてほしい。

見えない企業文化を磨き上げ、社員の誇りを事業成長のエンジンとする。2026年問題への対応を単なるデータ集めで終わらせず、社会から選ばれ続ける企業へと進化するために、今こそ自社の「企業文化」を見つめ直してみてはいかがだろうか。

  

(※本コラムは、2026年4月9日に開催したJMACセミナー『サステナビリティ経営の「真価」と「深化」』の内容をもとに再構成したものです)

蛭田 潤

経営コンサルティング事業本部
シニア・コンサルタント

入社以来、CS・ES&働きがい向上や業務改革を目的とした全社活動支援のコンサルティングに積極的に取り組む。CS向上と業務効率向上の同時実現による事業競争力向上を目指して、営業・コンタクトセンター・アフターサービスなどの顧客接点部門の業務改革・人材育成に取り組んでいる。とくに一人ひとりの意識・行動革新を促進し、企業文化・組織風土改革を実現するコンサルテーションに数多くの実績がある。

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