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SDGs体感型カードゲーム研修「サスマネ」って何?

SDGs体感型カードゲーム研修「サスマネ」

SDGsを自分事と受け取って理解し、経済、社会および環境という3つの側面のバランスをとりながら事業戦略や経営戦略を考えることが求められている。こうしたSDGs推進の流れのなか、大倉工業が新任管理職研修の一環として「事業活動とは何か」「SDGsとは何か」を深く理解し、事業とSDGsのバランス感覚を養う講義を開催。そこでJMACの開発したSDGs体感型カードゲーム研修「サスマネ」を採用した。研修会の模様を取材し、その実感を「サスマネ」採用に関わった役員や事務局の方々、さらに参加者の生の声を聞いた。

※「サスマネⓇ」は日本能率協会コンサルティングの登録商標です

大倉工業の課題

持続的な成長/長期的な企業価値向上/社会要請とソリューション提供の循環/管理職研修

全国に広がるサステナビリティマネジメント研修の要望

管理職を対象とするサステナビリティマネジメントに特化した研修会は、SDGs推進の機運が高まるごとに全国各地の企業で注目度が増し、いまや必須の存在になりつつある。こうした時流を受けJMACは、SDGsと事業経営の関係性を「おもしろく・楽しく・真剣に」学ぶSDGs体感型カードゲーム研修「サスマネ」を開発。多くの企業研修に活用されている。

ゲームの内容は、プレイヤーは企業の経営者となり、事業を行いつつ、効果的な投資で「環境・社会ポイント」を高めて「応援される企業」を目指すというもの。

ステークホルダーから応援される優良企業と認められるには、売上だけでなくSDGsへの取り組みも必要という課題を受けて、遊びながら経済的側面と環境・社会的側面の両立の重要性について深く理解することを目指している。この「サスマネ」をこのほど、管理職研修のプログラムに初採用したのが香川県丸亀市に本社を置く合成樹脂フィルムなどを製造する加工メーカー・大倉工業だ。

同社はSDGsという言葉が広く知られる以前からサステナビリティへの取り組みを積極的に行っている企業のひとつ。取り組み方や「サスマネ」研修の採用理由などを聞いた。

同社のサステナビリティへの取り組みを説明するのは、取締役常務執行役員であり、コーポレートセンター、総務広報、人事、サステナビリティ推進、DX推進担当兼サステナビリティ委員長の田中祥友さん。

取締役常務執行役員・田中祥友さん

▲取締役常務執行役員・田中祥友さん

「当社では持続的発展可能な社会づくりへの貢献を目指すことが、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上へ繋がるものと考えています。当社のサステナビリティへの取り組み、考え方をまとめたのがこの図です。

大倉工業グループのサステナビリティへの取り組み

この図のポイントは、われわれが注目しているのは循環だということです。製造企業である私たちの仕事は、まずインプットがあり、次にプロセスがあって最後に製品やサービスをアウトプットするという流れが基本的な事業活動です。SDGsやESGの社会的要請をニーズとして取り入れて、新たな製品やサービスを開発、創出し、これを社会にソリューションとして提供する。この循環を継続することで、われわれは企業として10年先、50年先、100年先、永続できるのではないかという展望を持っています。ただ現実的には、こうした取り組みには大きなコストがかかります。この『コスト増』の部分だけ注目して社内の空気が消極的になってしまうと、良い循環は生まれません。社員一同、社会の要請であるサステナビリティへ取り組むことが、新たな事業の機会、チャンスに繋がる、と。これがわれわれの基本的な考え方です」

単に製品やサービスの提供に徹することを良しとする考え方を捨て、豊かな社会形成への手掛かりとして社会貢献という発想も経営の中に組み込む必要がある。ただし時代のニーズは理解できても、それを実践するのは簡単ではない。

対策や光明を探すには「事業活動とは何か」「SDGsとは何か」と、知識や事例を深く理解しバランス感覚を養う必要がある。サスマネ研修が急速に広がっているのはそのためだ。

KEYWORD①

「サスマネ」研修のポイント

  • 事業活動とSDGs貢献活動の両立の難しさを学べる
  • 対象は経営層~新入社員、学生など幅が広い

サスマネ

私たちが「サスマネ」を選んだ理由

執行役員であり、コーポレートセンター、サステナビリティ推進部長兼サステナビリティ推進部環境管理部長の葛岡英一さんはJMACの「サスマネ」研修を採用した理由を話してくれた。

執行役員・葛岡英一さん

▲執行役員・葛岡英一さん

「マネジャークラスにもっと理解させて、従業員につなぐ必要があります。レベルの高い研修プログラムを探して、適当なのがありませんでした。そんなところにこれまでもお付き合いのあったJMACさんにちょうどいいのがあるじゃないか、と。話を聞いてみると一般的な知識教育に留まらず事業に結びつける実践的な研修でコスパもいい。じゃ、まずはやってみようという感じですね。簡単に言えばそういう流れです」

コーポレートセンター、サステナビリティ推進部、法務・知財部兼環境管理部の近藤美穂さんもゲーム方式に関心を寄せた一人。

近藤美穂さん

▲近藤美穂さん

「単にSDGs教育といっても、他にいろいろとコンテンツがありましたし、ご提案もいただきました。ところが今の企業に求められる、SDGsとビジネスの関係、両者のバランス感覚など、私たちのニーズに合ったコンテンツは見つかりませんでした。(JMACのサスマネは)さらにカードゲーム方式で楽しみながら行えるという、SDGs、ビジネス、遊び心という要素が三つそろっているのが決め手になりましたね」

こうして採用が決まり、開催日を迎えたこの日、コーポレートセンター、人事部の小山真弘さんは体感型カードゲーム研修「サスマネ」に次のような期待を寄せていた。

小山真弘さん

▲小山真弘さん

「研修参加者は本社や各地の事業所や工場から集められた20名です。新任管理職の若手を中心に選抜しました。今回の選抜者は、いまは受講者ですけれども、何年後かには送り出す立場になる。先輩から後輩へたすきを渡していくみたいな流れができればいいですね。ただ今日があったから、いきなり何かが変わるわけではありません。今日という日がまず第一歩。他所の部署の人と交流を持ち、連携を取り合うことを繰り返していくうちに、自然と知識が深まればよいなと願っています」

こうした期待を持って研修会はJMACのコンサルタント・河合友貴の指導のもと、次のように開催された。

JMAC河合友貴の司会でカードゲームスタート

▲JMAC河合友貴の司会でカードゲームスタート

【当日のタイムスケジュール】

時間 実施事項
9:00-9:50 50分 SDGsに関する基礎理解セミナー
9:50-10:00 10分 小休憩(ゲーム準備)
10:00-10:20 20分 ゲーム&振り返り演習の説明
10:20-11:40 80分 ゲーム実施(1回目)
11:40-12:00 20分 振り返り演習&発表
12:00-13:00 60分 休憩
13:00-14:20 80分 ゲーム実施(2回目)
14:20-14:40 20分 振り返り演習&発表
14:40-14:50 10分 小休憩
14:50-15:50 60分 SDGsアクション案の検討と共有
15:50-16:00 10分 まとめ

【プログラム】
9時から始まり16時まで。ランチを挟んで午前と午後に1回ずつ、計2回のゲームが開催される。

【目的】
プレイヤーは経営者となり、企業を運営する。一流企業として認められるには売上だけでなくSDGsの取り組みも必要。事業を行いつつ、売上を効果的に投資することで「社会ポイント」と「環境ポイント」を高め、応援される企業を目指す。

【プレイヤー】
今回は1グループ4人で組み、5グループに分かれて得点を競う。

【各ラウンドで行うこと】
プレイヤーが各ラウンドで検討するのは次の2点。

  1. 事業活動
    「社内のどの部署に」「何人」割り当てるかを検討する。割り当てる人数や部署によって効果が変わるところが事業戦略のシミュレーションに。
  2. 改善活動/SDGs活動
    事業活動で得た資金を活用し「どの活動を実施するか」を検討する。何も実施しないという選択も可能。事業活動とのバランス感覚が悩みどころに。

ゲーム研修01

ゲーム研修02

ゲーム研修03

▲各グループで熱い議論が交わされた

KEYWORD②

「サスマネ」研修のポイント

  • SDGs活動の最新事例をカードで学べる
  • カリキュラムは座学(3時間)、ゲーム(3時間)~

サスマネカード

リアルな展開で活気ある研修会に

ゲームが実施されると、初見のゲームということもあり、戸惑いながらのはじまりとなったが、次第に慣れてくると議論の声が大きくなる。電卓を抱えながらさまざまな可能性を探すグループ、ホワイトボードにシミュレーションの数字を書き込んでみんなでにらめっこするグループなど、スタイルはさまざまだが研修会は活気でみなぎってきた。せっかく順調に来ていたところにラウンドが変わると配られたカードの指令によって次の事業展開に頭を抱える、あるいは追い風になるグループ。シミュレーションとは言え、リアルな展開に没入していく参加者たち。ちなみに指令に出される事例は実際に起こったことを基にしている。

およそ100分経って終了。各グループの「社会ポイント」と「環境ポイント」を挙げる。マイナス点で終わったグループもあり、その難しさがうかがえる。「社会ポイント」と「環境ポイント」の各1位、それに総合1位が称えられると、そのあとはゲーム展開の振り返りが行われる。 

グループごとに反省点や気づいたことを発表

▲グループごとに反省点や気づいたことを発表

反省点と可能性、傾向など、さまざまな角度からの気づきを促す司会のコンサルタント・河合。本研修は、カードゲームを「実施する」という以上に、そのあとの振り返りや自社事業での採用実現性のディスカッションが研修としての有用性を高めるポイントのひとつでもある。

グループごとに経過や気づき、反省の発表を行い、参加者全員で情報を共有する。他者のケースは他人事では済まされない。誰もが発表に耳を傾ける。
想定しない出来事が起きると、誰だって人は戸惑い、進路を見誤ることはある。しかし、一度でも想定したことがあると、対応力は高い。SDGs体感型カードゲーム研修「サスマネ」は、未知なる困難や課題を乗り越えるべき、考える力を与えてくれるのだ。

盛況のうちに午後の2回目のゲームも終わり、合成樹脂事業部、大阪支店から参加した業務課・課長の岡田千恵さんの感想を聞いてみた。

岡田千恵さん

▲岡田千恵さん

「研修がゲーム方式と聞いていて、実は来る前は不安でした(笑)。どうなんだろうって。でも実際やってみると、楽しみながら学ぶって私は良かったと思います。有意義だったのは、1回目と2回目でグループをシャッフルしたこと。全然違う部署の方たちと連携してみると、みなさんの考え方や作戦が違う。それがわかったっていうのが、私にとっての大きな収穫です。改めて自分の会社の引き出しの広さ、能力の高さ、可能性、頼もしさみたいなものを実感しました」

同じく合成樹脂事業部、大阪支店から参加した営業一課・課長代理の貴志宣浩さんも研修を終えて手ごたえをつかんだようだ。

貴志宣浩さん

▲貴志宣浩さん

「研修をカードゲームでやるって聞いて、不安と期待の両方ありましたね。新任管理職が集まった中で自分の無知なところが出て恥をかくんじゃないかとか(笑)。その一方でどんなゲームなんだろうという好奇心もありました。ただやってみると率直に面白かった。サステナビリティとビジネスの問題ってとっつきにくいところがありますが、それがゲーム方式にしたことで受け入れやすくなり、(ゲーム中は)正直、ここまでガチになるとは思いませんでした。意外と真剣にやっちゃいました(笑)。来てよかったです」

葛岡さん

▲締めの挨拶をする葛岡さん

葛岡さんは研修会の締めの挨拶としてこのように結んだ。
「カードゲームの研修がどういう展開になるのかと多少の不安はありましたが、まずはみなさんが楽しくやられている様子を見て一安心しました。それと、ただ楽しむだけで終わっては困ると思っていましたが、さすがはJMACさん。最後の総論で、今回の学んだことと事業への展開というところの気づきを与えるようなまとめにしていただきました。今回の学んだことを継続し、実際のビジネスのところで 実現してもらいたいというのが私の願いです」

研修が終わって、ゲーム戦況の振り返りを話題にする者、握手を交わす者、また会おうと約束する者、誰もがほっとした表情で、笑みを浮かべながら健闘をたたえ合った。

今日のことで明日いきなり何かが変わるわけではない。ただ、企業として10年先、50年先、100年先、永続するために今日という日はその第一歩。大きな可能性を参加者全員が感じたはずだ。

※社名・役職名などは取材当時(2022年7月)のものです。

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