第8回 【積載効率の向上】同業他社との共同配送を成功させて配送トラックの積載効率を向上させる方法とは?
調達・物流・SCM


総合工事資材メーカーであるA社では、繁忙期を除くと10トンの大型車両を満載にできず、自社分のみでは十分な物量がまとまらないため、積載率は低水準であった。
首都圏に物流センターを持ち、東日本全域へ商品を配送。首都圏には大口取引先が多かった。
A社が直面していた一番の障害は、自社手配車両の積載率の低さと、それに伴う運賃経費の慢性的な高騰であった 。現場における実際の配送実績と車両の稼働状況は、以下の図表の通りである 。
| 車種 | 日あたりの平均運行台数 | 平均積載率 |
| 4トン中型車 | 20台 | 60% |
|---|---|---|
| 10トン大型車 | 15台 | 65% |
毎日合計で35台もの運行車両が走行していたが、荷台には多くの空きスペースが存在していたことが一台あたりの運行費用効率を低下させる要因となっていた。また、A社の物流コストは売上に対して8%という高い割合を占めており、特に、燃料価格上昇に伴うチャーター車輛上昇により過去2年間において物流コスト全体が約10%上昇していた 。
A社では、同業他社との共同配送を成功させるため、以下の2つのポイントを中心に改善を推進した。
共同配送では、荷物を1箇所に集めるための拠点間移動費(横持ち費)が新たに生じる。その横持ち費用を差し引いてもなお全体コストが下がるのかを検証するため、事前の費用試算を行う必要がある。
費用試算を行うには、自社の配送先データや物量実績といった内部情報の開示が不可欠となるため、「自社拠点から近く同一納品先への物量が多いこと」に加えて「取扱商品が異なり競合リスクが低いこと」が選定の条件とした。
これらの条件を満たすB社を選定し、互いにデータを持ち寄って費用を試算した。その結果、横持ち費用が発生しても全体で約15%の運行経費削減が可能であると双方で確認ができたため、「物流領域では競争しない」という方針のもとスムーズな合意に至った。
共同配送を定着させるには、運用開始前に現場の業務設計をし、将来発生し得るボトルネックをあらかじめ特定・解消しておくことが不可欠である。共同配送では現場作業の負担増が主な課題の一つとなるが、本事例でも「自社商品と他社商品の混在による積み合わせ作業の煩雑化」が仕分けミスや作業遅延を引き起こすことを解消する必要があった。
そのため、A社ではシステム導入と運行管理の整備を行った。具体的な運行手順は以下の通りである
毎日の流れとして、出荷日前日13時までにB社から出荷指示を電子受信し、同社倉庫で前夜までに総量一括仕分けを完了させる。仕分け済み貨物は10トン車でA社首都圏拠点へ翌朝までに拠点間輸送する(走行1時間程度)。
A社拠点では自社・B社商品を1台に効率良く積み合わせるが、積込実務を迷いなく行うためB社専用の仕分札と配送一覧表を出力するシステムを導入した。また、費用負担の自動配分ルールを定め、基本運賃は「重量×距離」で配分し、拠点間移動費は折半する明確な取り決めとした。
共同配送体制により、A社の平均積載率は60%台から約80%へと向上。その結果、一社の自助努力では達成できない年間運行費用の抑制を果たし、A社とB社はそれぞれ配送コストを約10%削減した。
本取り組みは、個別企業だけでは解決が困難であった積載率の低迷と配送経費の高騰を、同業他社との運行網共有によって克服した事例である。
成功の要因は、互いのデータ開示や同一納品先といった「共同化の成立条件を組み込んだパートナー選定と事前試算」、そして運用開始前に「現場のボトルネックをあらかじめ特定し、それを解消するシステムや運用ルールを構築」である。
法改正への迅速な対応が求められる中、荷主企業には単なる単独での部分改善を超え、競合他社とも手を取り合う物流協調体制の構築が求められる。
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dXコンサルティング事業本部
コンサルタント
入社以来、製造現場の生産性向上支援や新物流センターの企画構想・基本設計、適正在庫化、物流体制の改革推進といったテーマのプロジェクトへ中心的に参画。また、製造現場の知的生産性向上・職場活性化支援活動の経験も積んでいる。
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