【改正物流効率化法】26年10月末提出の「中長期計画」単なる義務対応で終わらせないために企業が今すべきこととは?
調達・物流・SCM


物流の構造的課題に対し、「物流関連2法」が改正された。2025年度からの段階的な施行により、年間9万トン以上の貨物を扱う企業は「特定荷主」として指定され、物流統括管理者(CLO)の選任や中長期計画の作成、そして定期報告が義務付けられる。
特定荷主に該当する企業は、26年5月末の特定荷主の届出を終え、現在は10月末の中長期計画の提出に向けた計画策定に取り組んでいることだろう。
しかし、これを単なる「義務」として淡々と処理するだけでは、物流コストの増大や輸送力不足といった本質的な事業リスクの解決にはつながらない。本コラムでは、法対応を自社のサプライチェーン強化の好機と捉え、実効性のある計画を策定するための要点を解説する。
改正法において特定荷主に求められるのは、主に「荷待ち時間の短縮」「荷役等時間の短縮」「積載効率の向上」の3点である。これらについて定量的な目標を定め、具体的な改善策を中長期計画として2026年10月末までに提出しなければならない。
取り組みが不十分とみなされた場合、勧告や社名公表といった措置が取られる可能性もある。しかし、制度対応の真の目的はペナルティの回避ではない。自社の物流の非効率を正確に把握し、改善への道筋をつけることこそが重要なのである。
参照資料:国土交通省 「物流効率化法」理解促進ポータルサイト
実効性のある中長期計画を策定するためには、客観的なデータに基づき、以下の5つのステップで推進していくことが求められる。
仕入から出荷、工場間移動、廃棄に至るまで、サプライチェーン全体のモノの流れと運送契約の主体を整理し、正確な貨物重量を把握する。
経営層からCLOを選任し、事業部横断の実務ワーキンググループ、そして現場の実行部隊という3層の体制を構築する。
対象拠点におけるトラックの待機や作業時間を実測し、時間がかかっているボトルネックを特定する。
輸送ルートや便構成をマップ化し、「輸送重量は大きいが積載効率が低い」といった優先的に改善すべきターゲットをあぶり出す。
把握したデータに基づき、国の判断基準に沿った具体的な改善措置(パレット化、バース予約システムの導入など)と目標を設定する。
改善策を検討する際、物流部門や現場(工場・倉庫)を中心に進めがちである。しかし、国の判断基準を紐解くと、積載率の向上や荷待ち時間の短縮において、大きな役割を担うのは実は「営業」と「調達」であることが見えてくる。
受注締め時間の前倒し、納品時間の分散、発注ロットの適正化といった商習慣のコントロールは、顧客やサプライヤーと直接対話できる上流部門の協力が不可欠である。
一方で、生産や物流部門は、パレット化の推進や荷役機器の適正配置など、現場の作業を効率化する実行部隊としての役割を担う。営業・調達が「条件」を整え、生産・物流が「作業」を磨き、CLOのもと全社でその「継続」を支える体制づくりが求められる。
物流効率化法への対応は、企業にとって待ったなしの経営課題である。新たなシステムの構築や設備導入において投資が必要な場合は、国が用意している各種補助金(共同輸配送に向けたデータ連携促進や、テールゲートリフター等の導入支援など)を活用することも有効な手段となる。
自社の物流の実態を正しく可視化し、部門の壁を越えて変革を進める。2026年の期限に向け、単なる義務対応にとどまらない、全社横断での物流マネジメント構築に取り組んでみてはいかがだろうか。
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dXコンサルティング事業本部
チーフ・コンサルタント
SCM改革、在庫適正化のテーマを得意としている。生産・物流現場における改善等、現場に根付いた活動を推進し、会社の収益改善と人材育成を両輪で進めて成果を出すことも注力してきた。生産管理システム構築時の課題整理から業務改革シナリオ策定、導入効果の高いシステム運用へ向けた支援も行っている。
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dXコンサルティング事業本部
チーフ・コンサルタント
物流・製造を中心にサプライチェーンやロジスティクス全体の改革構想の立案、物流・製造現場の生産性向上、情報システムの構築など幅広いテーマのプロジェクトに参画。「現場」「現物」「現実」の原理原則に基づき、現状調査を実施し、問題および課題構造を明らかにしてそれぞれの会社の特性を加味した上で、実効性ある改革、改善プランを立案、実行支援を行う。
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dXコンサルティング事業本部
コンサルタント
前職の鉄鋼商社では自動車部品メーカーへの営業活動とデリバリー業務を行い、在庫管理や物流改善を経験。JMAC入社後、物流を中心にコンサルティング支援を行い、直近では物流効率化法への対応について支援を行っている。
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