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タレントマネジメント(Talent management)

 90年代後半に米国で提唱された人材開発戦略の考え方。米国の人材マネジメント協会(SHRM)は、タレントマネジメントの定義を「現在および将来のビジネスニーズを満たすのに必要なスキルと才能を有する人材を惹きつけ、育成し、維持し、活用するプロセスを改善することによって、職場の生産性を向上させるようデザインされた統合的な戦略または推進すること」としている。

 「Talent」という言葉で人材を表現する場合、単なる「ヘッドカウント(人数)」ではなく、人材が持つ「能力・才能」に焦点をあてるニュアンスが強くなる。企業として、個々人の「能力・才能」をどのように発掘し、どのように高め、どのように企業の競争優位につなげていくかという戦略がタレントマネジメントの根幹であるといえる。

 日本では2000年代に入り、タレントマネジメントの考え方に関心が寄せられるようになった。背景には、日本企業のグローバル化の進展がある。「グローバルで活躍できる有能な人材をどう育成するか」という課題に取り組む必要性に迫られた日本企業は、国内のみならずグローバルの単位で社員のデータベースを構築し、海外拠点におけるリーダー人材を国籍に関係なく発掘・育成に取り組むプロセスのなかで、タレントマネジメントの考え方に向き合うこととなった。

 一般的には、以下のような4ステップで「タレントマネジメント」は進められる。具体的には、

①人事評価制度を通じて、メンバーのパフォーマンスやバリューに基づく行動を適切に判定する
②タレントレビューにおいて、メンバーの成長課題や今後の育成方針について協議する(※タレントレビューとは、部門単位で、部門長、マネージャー、人事担当がメンバーの人事評価の検証、強み・弱みに基づく課題設定、本人のキャリア志向の確認、今後のアサインメントの検討などを行う会議体のこと)
③異動やプロジェクトへのアサインと上司によるフォローを実施する
④能力開発のための教育プログラムの提供とフィードバックを行う
というものである。

 タレントマネジメントの目的と対象は企業によって異なっているのが実態である。現状では、「卓越した能力を持つ優秀人材」にフォーカスし、優秀な個人のリテンションやサクセッションプランに活用されているケースが多く見られる。しかし、このケースは、タレントマネジメントの第一段階である。本来的には、タレントマネジメントの対象は「全員」であるべきで、企業の中でマジョリティである平均的なパフォーマンスの人材一人ひとりに目を向け、それぞれの人材の可能性を引き出していくべきものである。言ってみれば、「選抜」と「全員底上げ」の二兎を追うことを追求する取り組みが、今後めざすべき「タレントマネジメント」である。

(文責:中村文生 コンサルタント)