SMDGで実現する工場DX改革 ~経営と現場をつなぐ全体最適志向~
生産・ものづくり・品質

製造業のサービス化とは、「モノ+サービス」から「価値競争」へシフトしていくことだとお話しました。製造業のサービス化を論じる前に、これまでのサービスについての捉え方を確認していきます。
今日、私たちはさまざまな場面でサービスという言葉をつかいます。「大盛りサービス」であれば無料といった経済的な価値、「お届けサービス」であれば機能的な価値、「接客サービス」といえば情緒的な価値、「補償サービス」であれば機能的な価値に加え、安心感のような情緒的な価値も含んでいるのではないでしょうか。このように多様なつかい方をされるサービスという言葉ですが、そもそもサービスとはどのようなものなのでしょうか? たとえば、有識者や辞書には以下のような記述がみられます。
具体的な形のあるものに加え、サービスも製品に含まれる。サービスとは、販売のために行われる活動や提供されるベネフィットのことで、本質的に無形であり、長期的に所有されることはない。広い意味では、経験、人、場所、組織、情報、アイデアといったものも製品に含まれる。[1]
売買の対象ではあるが、物理的実体はないもの。[2]
サービスは、「本質的に無形で所有権を生じない行為またはパフォーマンス」であると定義されているが、これ以外にも「活動」「便益」「プロセス」などさまざまな用語が用いられている。サービスは無形であるが故に、製品(有形財)と異なり概念規定をするのが極めて難しい。[3]
このように、サービスという言葉はやはり多様な意味を含み、その概念や定義を明確に表現することが難しいといえます。しかし共通してみられる考え方もあり、これらはおおむねモノとの関係においてサービスを定義しようとしていると考えられます。モノとの対比において語られるサービスとは、「本質的に無形であり、顧客満足ために行われる活動や提供する価値のすべて」というような整理ができると考えます。
モノとサービスという分け方をした場合、サービスにはいくつかの特性があると考えられてきました(下図)。
有形のモノに対してサービスとは無形のもの。たとえば、旅行会社が販売している旅行という商品には形がない。
旅行という体験(=商品)は、その都度生産され、その場で消費されるというように、サービスには製造→在庫→納品といったプロセスがない。
今日では機械やシステムによるサービスも増えてきたが、サービスの提供主体は人であることが多い。
ヘアサロンは結果としてのベネフィット(=ヘアカット)だけでなく、提供プロセス(顧客との会話や室内環境)も商品となる。
ヘアカットしたい場合、ハサミを購入すれば「モノ」の所有権そのものが移行するが、ヘアサロンという「サービス」を利用するということ求めるベネフィットのみを購入することになる。
レストランの雰囲気など顧客そのものがサービスの一部を負うことがあるとともに、相談しながら要望を形にしていくヘアサロンのように顧客と共同でつくり上げるという特性がある。
従来のサービスはこのように特性を語られてきました。そして、この特性によってモノとは異なるマネジメントのポイントが確立されるようになっていきます。
経営コンサルティング事業本部
シニア・コンサルタント
1996年 JMAC入社。CS・マーケティング領域におけるコンサルティング活動に従事。主にCS経営推進、CRM、サービス競争力強化、サービス生産性向上、オペレーション・業務改善、顧客接点人材育成といったテーマで企業の変革を支援している。長年にわたるサービス業のコンサルティング経験を活かし、近年は製造業のサービス化について注力している。共著に『仮説検証型マーケティング(リックテレコム)』『サービス産業におけるサービス品質向上(日本科学技術連盟)』『お客様対応業務における品質管理(日本能率協会マネジメントセンター)』など。
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