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R&Dに求められる「ワクワク」のマネジメント ~ワクワクを成果のドライブにするために必要なこととは~

コラム

2026.04.02

R&D業務におけるワクワクの重要性

私はここ最近、R&Dを中心とした人材育成や組織の活性化に取り組むお客様と多く議論させていただいている。その中で決まって話題に上がるのは、単に人材や組織としての能力をいかに高めるかだけでなく、「ワクワク」をどのようにして醸成するか、という課題である。

不確実性が大きく、同じ業務の繰り返しがほとんどないR&D業務においては、ワクワクというのは単なる感情やモチベーションの一要素ではなく、目標実現に向けた大きなキーファクターであると言えるだろう。ワクワクしているから挑戦に向けた一歩が踏み出せ、結果がたとえ想定と違っていても、そこから気づきを得てまた次の挑戦に踏み出せる。そういった取り組みを日々重ねていくことは、単にR&D業務を「仕事」としてとらえるだけでなく、ワクワクをもって取り組むからこそできることだろう。

「ワクワク」とは何か

では、この「ワクワク」という概念は何を指すのだろうか。「ワクワク」という言葉の語源は諸説あるものの、その1つは「湧く」と「沸く」という日本語から生じているようである。この2つの言葉を起点にワクワクについて考えてみたい。

まずは1つ目の「湧く」という漢字。これは、「温泉が湧く」などのように、中から外に水などが出てくることを指す。ここから類推すると、ワクワクというものはその人の内面にある何かが湧き出てくるものであるといえる。それは、近年よく聞かれる表現だと「Will」に該当するようなその人自身の希望や成し遂げたいことかもしれない。あるいは、これまでの経験や価値観から自身が価値を発揮できると思える何かかもしれない。

その内容は人さまざまで、実験などの試行錯誤そのものにワクワクする人もいれば、成果を資料にまとめ、プレゼンをして他の人に伝えることにワクワクする人もいるだろう。ここで大事なのは、ワクワクの源泉はこうであると決めつけたり、押し付けたりしないことである。あなたにとってのワクワクの源泉が、他の人の源泉と同じであるとは限らない。ワクワクは押し付けるのではなく、各人が何にワクワクするのかをお互いに発信しあい、互いに尊重しあうこと。そして自分のワクワクの源泉はこれでいいんだと思えることが、ワクワクを湧き出させ、止めないために重要ではないだろうか。

そして、2つ目の「沸く」という漢字。これは、「水が沸いて湯になる」というように、温度が高まることを意味している。これも類推すると、その人の意欲が高まり、行動しようというエネルギーが高まっている状態であるといえる。前述した「湧く」が意欲の源泉に気づくことであるならば、「沸く」はその意欲が満たされる期待や実感だと考えられる。

「沸く」において大事なのは何だろうか。以前、私がとある若手技術者と会話をしているときに、以下のような発言を聞いたことが強く印象に残っている。

「上司や先輩は私達若手をいかにワクワクさせようかと考えているようですが、そもそも上司や先輩がワクワクしているように見えないのに、おかしいですよね。」

大事なのは、当人のワクワクを直接的に高めようとすることではなく、周囲の環境を変えてワクワクを高められるようにすることである。これは実際の「沸く」と同じで、熱は伝播するものであるから周囲の環境によって上がったり下がったりする。それを応用すればよいのである。皆さんが対象者の熱量を高め、ワクワクさせたいという時に、その周囲の熱量はどうなっているだろうか。「どうせダメ」といった言葉を発していたり、創意工夫の余地なく細かく指示したりしていないだろうか。

以上のように、ワクワクを「湧く」と「沸く」だとみなし、適切に源泉と熱量をマネジメントできる職場づくりが求められる。

ワクワクとは「分かること」

もうひとつ、別の観点からワクワクとはどういうことか考えてみたい。R&Dの業務特性もふまえて考えられる「ワクワク」の重要な一面は、「分かる」ことではないかというものである。

分かるということは何かというと、未知のものが既知に変わるということである。人類を生物学的に見ると、未知のものには危険やリスクがあると考え、対処しようとする性質があるらしい。対処の仕方には未知のものを避けて遠ざけるということもあるが、別の対処法として、未知のものを調査して本当に危険かどうかを確かめるという手段もある。これを人は「発見」と呼び、この発見を積極的に進めることで人類は発展し、今の豊かな生活に繋がるイノベーションも多く実現してきた。

この未知のものを既知に変える行動は生物学的に見ると危険を排除する取り組みであるといえ、それが人間にとって報酬のように実感できると言えるのではないか。「分かる」と「ワクワク」の語呂が似ているというのはいささかこじつけが過ぎるかもしれないが、「分かる」という期待や「分かった」という実感がワクワクに関連するというのは、多くの方にとって実感があるのではないかと思う。

そうすると、仕事においてワクワクを高めるために大事なのは

  • 「未知」を恐れずに明らかにしようと取り組むこと
  • 些細なことでも「発見」すなわち「気づき」に光を当て、皆で「分かった」を味わうこと

であるように思われる。

これはまさにR&Dにおける仕事の本質であるとも言えるだろう。前者はテーマを進める上で問いを立て、それを検証していく取り組みといえる。後者は日々の業務の中で個人だけでなく、チームとして振り返りを実施して発見や気づきを共有する場をつくることといえる。いずれも言葉にすると当たり前のことに思えるが、短期的な効率や目に見える成果のみにとらわれると、「分かる」に焦点を当てたチームマネジメントができていないことも多いのではないだろうか。R&Dにおいては中長期視点での大きな成果に向けた取り組みが大事だからこそ、日常における「分かる」を積み重ねることを大事にしてはいかがだろうか。

ワクワクさせたいなら、まずは自分から!

以上のように、ワクワクとは「湧く・沸く」や「分かること」であるという視点に立って、R&Dにおけるワクワクの捉え方について述べてきた。まとめると、R&Dにおいてワクワクは成果につながる重要なファクターであり、職場としてワクワクを高めたいなら、まずは皆さん自身がワクワクして見せ、互いのワクワクを尊重するということである。そして、日々の中での「分かる」すなわち発見を大事にし、それを職場で味わう場をつくることである。

仕事に人生に、ワクワクを味わっていきましょう!

盛田 悠平

R&Dコンサルティング事業本部
チーフ・コンサルタント

大手食品メーカーの研究開発職を経て、JMACへ入社。技術者が活き活きと働ける職場の実現を目指して幅広い領域のコンサルティングテーマに従事している。様々な観点や発想を提供しながら、技術者が自律して仕事に向き合えるような働きかけを意識している。近年は、若手技術者の育成や活性化の探究・実践にも取り組んでいる。
身体を動かすことが好きで、学生時代はボート競技に身を捧げた。現在はマラソンに取り組み、タイムの向上を目指しトレーニングに励んでいる。

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