お問い合わせ

第18回 開発・技術マネジメント革新大会

  • R&D・技術戦略

日時・場所

2014年6月12日(木) 9:45~18:30
東京コンファレンスセンター品川 東京都港区港南1-9-36 アレア品川

革新大会 全体レポート

今年の「開発・技術マネジメント革新大会」は6月12日(木)に東京コンファレンスセンター・品川にて、約250名のお客様をお迎えし、大盛況の内に幕を閉じることができました。
今年の大会は、「グローバルR&Dマネジメントの新潮流を探る」を基本テーマとして開催致しましたが、参加者の方々からは、「非常に参考になった」「次回も是非参加したい」といった声が数多く聞かれました。
講演者と参加者、また参加者同士で、積極的な交流が図れた一日となりました。

大会パンフレット(PDF)>

基本テーマ

 グローバルR&Dマネジメントの新潮流を探る

今年で18回目の開催になります、開発・技術マネジメント革新大会ですが、 今年は、「グローバルR&Dマネジメントの新潮流を探る」を基本テーマとし、 グローバル市場で日本企業が勝ち残るためのR&Dマネジメントのあり方、 製品・技術革新・技術戦略、開発力強化、組織・人材革新等の事例をもとに、 ご参加の皆様とRD&Eマネジメントのあり方について、相互に交流することを目的としました。

貴重講演

グローバルR&Dの価値創出に向けた「連携」と「協創」
~日本の研究所が世界をリードする時代を目指して~
日本アイ・ビー・エム株式会社
執行役員 研究開発担当 久世 和資 氏

グローバルR&Dの価値創出に向けた「連携」と「協創」というテーマで、研究所の進化やイノベーション創出の取り組みなどについてご講演頂きました。
イノベーション創出の具体的な取り組み内容として、革新技術のトレンドを認識するためのGlobal Technology Outlook(GTO)、社会の視点からイノベーションを議論する

Global Innovation 、Outlook(GIO)、コミュニティの知識を利用してアイデアを生み出すInnovation Jamなどについて、ご紹介頂きました。
ご講演後の質疑応答でも活発な意見交換が行われ、参加者の方々の高い関心が伺えるご講演でした。  

特別講演

アジアのエクセレントR&Dへの挑戦
~環境変化・グローバル化の荒波を乗り越えて~
ハイアールアジアインターナショナル株式会社
取締役 チーフR&Dオフィサー 土屋 秀昭 氏

アジアのエクセレントR&Dの実現に向けた課題や取り組みについて、ご講演いただきました。  ハイアールグループのアジア地域統括本社のR&Dセンターとして、グローバルで業界をリードする技術/商品開発が求められている中で、「オープンイノベーションの推進」や「相互作用による商品価値が生み出す仕組みづくり」の取り組みについて、ご紹介いただきました。

また、日本と中国の異文化が共存する環境の中で、構造改革と意識改革の取り組みや今後の目指す方向性についてもお話いただきました。特に意識改革について、現場視点での泥臭い内容もお話いただき、会場の皆様も大変興味深く聴き入っており、質疑応答でも活発な意見交換が行われました。大変気づきの多い貴重なご講演でした。  

A-1セッション 製品・技術革新・技術戦略セッション

異なる事業分野の強み技術を融合した“ならでは価値”製品開発
株式会社ダイヘン
技術開発本部 企画部・通信技術開発部 部長 田中 良平 氏

最先端の新技術に着目しつつも、決して技術的な飛び地ではなく、「なるほど、これはダイヘンならではだよね」と顧客にビジネスパートナーとして納得感・信頼感を与える「ならでは開発」について実際の開発事例を交えてご講演いただきました。
長年蓄積してきた技術を活用し、最速でイノベーションを実現していくには

・自分たちの「技術の土壌」を常に考え続ける
・原理原則に立ち返り固定観念を打破して自社「ならでは価値」を発揮していく
・新しい技術的アプローチに共鳴する仲間を集め、シナジーを発揮する
この3点がポイントだと挙げられていました。
製造メーカー各社の開発部門が努力をしているけれども中々実現できていない、最先端技術による自社ならではの新製品・新事業開発の実現について解決の糸口となる大変貴重なお話でした。

A-2セッション 製品・技術革新・技術戦略セッション

大企業におけるイノベーションはどこから生まれるのか
~デンソーにおける新技術・新製品の取り組みから~
株式会社デンソー
技術開発センター 技術企画部 担当部長 沼澤 成男 氏

本セッションでは、大企業においてイノベーションを起こすためのポイントについて、自動車分野の事業拡大、世界初製品開発の事例を紐解きながら、組織マネジメントや技術開発の観点からご講演いただきました。
自動車分野の事業拡大においては、世界一・世界初の製品を生み出すための観点として、システム・車両視点での評価、顧客との密接な関係、開発方針の明確化、すり合わせ開発と技能などについてご紹介いただきました。

世界初製品の開発事例においては、高い志を持った技術者がイノベーションのきっかけをつくり、組織マネジメントで実現していくストーリーをお話いただき、事例の振り返りからイノベーションを起こすためのポイントについての考察をいただきました。
講演後の質疑応答では、イノベーションを起こすための仕組みや風土などについての活発な議論が行われ、多くの企業の方にとって気づきのあるご講演でした。

B-1セッション 開発力強化セッション

グローバル開発時代の大部屋開発の進化
~多拠点化、物理的スペース制限を取り払う大部屋~
KAP-IT(iObeya)
Senior Vice President STRATEGY Zal J. PEZHMAN 氏

多拠点でのグローバル開発が進む中、如何にコミュニケーションをとって開発を進めるかは重要な課題となっています。
ご講演では、日本で始まった「大部屋会議」「見える化開発」が、現在、リーンマネジメントの一環として、欧米企業の競争優位の確立のために広がり、これらの取り組みがグローバルな展開をみせるなか、多拠点開発による物理的な距離、時間の隔たりによるコミュニケーションの難しさや、会議室の物理的な制約や情報セキュリティの観点から、見える化にも課題が生じている、グローバルR&Dならではの現状をご説明いただきました。

そして、それらの課題を克服するためのソリューションとして「iObeya」をご紹介いただきました。「iObeya」は多拠点でのリアルタイム・コラボレーションを実現し、バーチャルに「大部屋」を再現することができます。ご講演の中では、実際に機器を利用した「iObeya」のデモンストレーションを実演いただき、グローバルR&Dにおける「見える化開発」の未来の姿を感じることができました。

質疑では、日本企業と欧米企業において「大部屋」を実施する際の文化の違いや、「iObeya」の日本への導入についての議論があり、参加者の皆様の高い関心が伝わってくるセッションとなりました。

B-2セッション 開発力強化セッション

南蛮渡来のKIで壁を乗り越え 世界に拡がる「和の力」
ヤマハ発動機株式会社
エンジンユニット コンポーネント統括部 ユニット技術部 ドライブトレイングループ
ドライブトレイン製技係 主査 皆川 聡 氏

Thai Yamaha MotorにおけるK活動の先行的な効率化成果を1つの契機に、開発現場の開発力の強化に取り組まれた事例をご紹介いただきました。
開発力強化を考える上で、 他部門や各国現地拠点との間に生じるカベや、1人1人の能力発揮の空回りは、非常に重要な問題です。 それら、カベや空回りを1つ1つ丁寧に「バラシ」ながら解決をしていったというお話でした。

簡単なようでも真面目に取り組むと難しい、課題「バラシ」という壁を「4コマバラシ」「プチバラシ」といった創意工夫をしながら乗り越えてゆき、「課題バラシは友達」と言えるまでに変わっていった姿は、同じような境遇にある企業様にとって今後の活動展開を考えるヒントになったのではないでしょうか。
団塊の世代が退職し、若手中心の組織になっていく企業も多いなか、力を結集し「和の力」で問題解決にあたらなければならない場面がますます増えてくると思います。

「和の力」を高めながら「1人1人が主役に」変わっていくという今回のヤマハ発動機様の活動事例は、製造メーカー各社が今後直面する将来の課題に対しても解決へ向けた貴重な示唆をいただきました。

C-1セッション 組織・人材革新セッション

若者たちが会社の未来を描く~「未来創造プロジェクト」への挑戦~
田辺三菱製薬株式会社
人事部 眞部 史朗 氏

現在、田辺三菱製薬様では「“ありがとう”があふれる会社へ」をスローガンに、現場力の強化に向けた社長直轄プロジェクトNVC(New Value Creation)に取り組まれています。今回は、そのプロジェクトの1つである、若手メンバーが2030年の会社のあるべき姿を考える未来創造プロジェクトの取り組みについてご紹介いただきました。

全社公募による“ガッツのあるメンバー”の募集、徹底的なチームビルド、議論内容の全社共有、外部刺激による「できる・できない」思考からの脱却など運営上の工夫とそこでの変化、又、そこから得られた気づき、課題は具体性にあふれる内容でした。

質疑応答も時間いっぱいまで続き、活気あふれる場となっていました。
この7月から第二期の活動も始まり、同じ活動を企画しようとされている企業との共同活動を希望されています。
ご興味のある企業の方は、是非、コンタクトをお取り下さい。

C-2セッション 組織・人材革新セッション

技術人財開発機能の強化に向けて
~Active & Direct 人財開発~
株式会社日立国際電気
人事総務本部 人財戦略部 主管 森 邦夫 氏

第15回 開発・技術マネジメント革新大会でご紹介いただいた人財育成施策を振り返りながら、人財開発機能の強化と人財開発部門の役割発揮の視点で、新しく取り入れた施策についてご講演いただきました。
ご講演のキーワードは『つなげる』です。財開発部門として、様々な問題や施策を考え、そして施策を実行するにあたり、『つなげる』というキーワードをもとに提起していただきました。
具体的に『つなげる』というキーワードをもとにした施策とは、プロジェクトリーダ育成施策、新規事業立案研修、コーチング活動、設計体質改革活動です。これらの施策を通じて、組織・人・技術を『つなげる』、改革活動とライン部門を『つなげる』、問題と対策を『つなげる』、他社と自社を『つなげる』等の重要性に触れられました。但し、『つなげる』ことはできても、そこに核となる考え方がないと、育成施策が機能しないという点は、森様自身を現場に『つなげる』ことで得られた思いかと存じます。

その核となる考え方、具体的には技術人財に求められる将来像を描くための核となる考え方として、ご講演の終盤でお話しいただいた『設計律』については、 感銘を受けたとの声が参加者からありました。

※「設計律」:1987年に、設計部門の膨張と業務の複雑化に対応するために、設計者の基本的な考え方及び行動の基準の統一を図ることを目的とし、設計業務の規範的事項の大綱について定めた社内規定

オピニオンから探す

研究開発現場マネジメントの羅針盤 〜忘れがちな正論を語ってみる〜

  • 第30回 心理的安全性は待つものではなく、自ら獲得するもの

イノベーション人材開発のススメ

  • 第6回 イノベーション人材が育つ組織的条件とは
  • TCFDに基づく情報開示推進のポイント
  • オンラインサービスは新たなCXをもたらしたのか? オンラインサービス体験から見えた、メリットデメリット
  • 一人一人の「能率」を最大化させる、振り返りのマネジメント「YWT」のすすめ
  • 第5回(最終回) 全社員をデジタル人材に!
  • 第5回(最終回) 全社員をデジタル人材に!
  • 【業務マニュアル作成の手引き・後編】マニュアルが活用されるための環境づくり
  • 品質保証の「本質」を考える ~顧客がもつ、企業に対しての「当たり前」~

オピニオン一覧

コラムトップ