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第15回 開発・技術マネジメント革新大会

  • R&D・技術戦略

日時・場所

2011年6月16日(木) 9:45~18:30
東京コンファレンスセンター品川 東京都港区港南1-9-36 アレア品川

革新大会 全体レポート

 今年の開発・技術マネジメント革新大会は6月16日(木)に東京コンファレンスセンター(品川)にて、約250名のお客様をお迎えし、大盛況の内に幕を閉じることができました。
 今年度の大会は、「技術が経営をドライブする~RD&Eが日本の元気を引っ張ろう!~」と題して、東日本大震災後の困難な時期を乗り越え、強い日本を取り戻すという思いを持ち、新たな時代の成長戦略を切り開くためにRD&E現場に求められる改革・改善への取り組みは何か、について講演と事例発表、ディスカッションをいたしました。

大会パンフレット(PDF)>

基本テーマ

 技術が経営をドライブする   ~RD&Eが日本の元気を引っ張ろう!~

2011年3月11日、東日本大震災が発生しました。そして、その被害の大きさに我々は震撼しました。
 「日本はどうなってしまうのだろうか・・・」誰もが強い不安にかられたのではないかと思います。しかし、震災直後から被災地をそして日本を応援するメッセージや支援が世界中で巻き起こり、日本がこれまで世界の中で果たしてきた貢献や役割の大きさに改めて気づかされました。
 多くの大切な人を失い、今なお不自由な生活の中で頑張っておられる被災地の方々を思うと、軽々しく「元気になろう」などと言えません。しかし、一歩一歩前に進むことで、困難な時期を乗り越え、強い日本を取り戻していくことができると我々は信じています。
 ~RD&Eが日本の元気を引っ張ろう!~ 今回はそのような思いを持って、研究・開発に携わる皆様と集い、「技術」を通して世界に貢献する日本の姿と、それを担うRD&E現場における取り組みについて議論したいと思います。

貴重講演

『技術経営の普及で企業・産業に活力を呼び込もう』
北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科・教授
先端領域社会人教育院・院長(兼務) 井川 康夫 氏

 複雑な社会構造化が進み、経済予測が難しくなる中、何が欲しいか顧客にもわからない時代において、これからの未来型技術経営とはどうあるべきか、どのように考えていけばよいか、その方向性を示唆いただきました。
 価値の高い分野の追求に向けて、主観的価値(カルチャー)、デザイン、ビジネスモデルの普及を考え、wickedな性格を持つイノベーション分野での技術的なブレークスル―を目指すことが重要です。
 そのためには、「現場判断」を重視していくこと、現場への自律性を与えるマネジメントを行っていくことが必要であるという提言をいただきました。 

特別講演

『「絶えざる革新」-成長をドライブするイノベーションウエーブ』
花王株式会社 取締役執行役員 研究開発部門副統括
ヒューマンヘルスケア研究センター センター長 澤田 道隆 氏

 花王様の継続的なイノベーションに基づく「企業の成長」と「社会への貢献」の両立に向けた取り組みをご紹介していただきました。
 その取り組みの1つである「消費者の変化に伴う価値の本質追求」の結果を商品開発に反映した事例をお話しいただきました。
 イノベーションの実現に関心のある受講者にとって非常に参考となる内容でした。 

A-Ⅰセッション 事業・技術戦略革新セッション①

『先行提案力強化に向けた技術ロードマップ構築活動』
帝国ピストンリング株式会社 
技術センター 技術企画室 主幹 山本 英継 氏

 自動車部品メーカーとして、エンジンの変化を捉えた先行提案力の強化とオンリーワン商品の継続的創出のための技術ロードマップ(TRM)構築活動というテーマで、ご講演いただきました。
  TRM構築活動の各ステップ毎の進め方の丁寧な解説と山本様の気づきは、TRM構築の上で参考となるものばかりでした。

 今現在も山本様が中心となり、TRMを更新し続けているだけでなく、EV開発への
積極的な参入に対するトップの決断を引き出すことにも、TRMの成果が活用された
そうです。
 ご講演後は、TRM構築時に社内抵抗にあわれた苦労話や、情報収集に実務者を参加させるといったTRM構築時の具体的な工夫等、積極的な質疑応答が行われま
した。

A-Ⅱセッション 事業・技術戦略革新セッション②

『中国市場開発 ~今こそ中国へ、巨大市場にいかにして挑むか~』
株式会社日本能率協会コンサルティング 経営戦略本部
本部長 富永 峰郎  コンサルタント 李 智

 巨大市場と化した中国市場の市場開発にいかにして挑むかを、これまでの中国、これからの中国、これまでの日系企業の取り組みと今後の課題を交え、紹介がありました。
 また、外部環境の変化として、中国の役割が、工場から市場へ、市場の要求も量から質へと大きく変化していることや、中国での市場調査のポイント、泥臭い実際の市場調査活動での重要点が紹介されました。

 中国進出に関する課題を抱えている参加者からも実際の具体的な取り組みや日系企業が取るべき施策について活発な意見交換が行われました。

B-Ⅰセッション プラットフォーム革新セッション①

『攻めと守りを両立する知識活用システムの構築』
小林製薬株式会社
中央研究所 研究管理・推進部 開発職能推進グループ
内田 春奈 氏


 新しいアイデアを試行錯誤し、「あったらいいな」の製品コンセプトを生み出す(攻め)ための、自発性・創造性に富む流動的な知識のるつぼ。
 そして、お客様への説明責任を果たす上で、製品の設計書やパフォーマンス・安全性等のデータを残し、いつでも取り出せるような状態を作る(守り)ための見やすい知識保管庫。  

 小林製薬の製品開発部門が必要としている2つのニーズを両立するために取り組んだ、基本構想作りから定着活動までのプロセスとそこから得た教訓を臨場感溢れる具体的事例を基に紹介していただきました。
 例えば、システムのありたい姿を描くフェイズでは「未来に誰がどのように仕事をしているか、ビデオのように細部まで想像し、とにかくリアルにサンプルを作る」こと。
 また改革推進では「強制より納得が人を動かす」ことなど、リーダーとして推進活動をされた内田さんならではの実感のこもった教訓を多くいただくことができました。
 会場からは、「改革を推進する上で推進反対である上司をうまく巻き込んでいくコツは?」というご質問や、プロジェクトマネジメントの観点からも非常に参考になったというご意見をいただきました。

B-Ⅱセッション プラットフォーム革新セッション②

『「全体と部分の最適化」を志向した人財開発部門の挑戦』
株式会社日立国際電気
人事総務本部 人財戦略部 主管 森 邦夫 氏

 経営という視点で見た全体最適と、ライン業務に入り込んでの製品開発の複雑な問題にメスを入れた、部分最適を同時に目指していく人財開発部門の取り組みについてご紹介していただきました。
 セッションは受講者との双方向の対話型で進められ、「決まらない仕様をどうマネジメントするか」や「メンバーの思いを統一させていくリーダーの重要性」、

「育成施策を有効にするために覚悟を持って取り組まれた技術人財マップ」など、
受講者皆様の関心が高いテーマについて示唆に富んだディスカッションがなされました。
 講演後も「人事部門がここまで深くライン業務に入り込んで問題解決を推進することに感銘を受けた」との受講者の声が多く聞かれるなど、大盛況のうちに終了いたしました。  

C-Ⅰセッション Next Doorセッション①

『未来産業想像カレッジ活動報告(ディスカッション)』

参加企業
味の素株式会社、キユーピー株式会社、マルサンアイ株式会社、株式会社明治 (50音順)
株式会社日本能率協会コンサルティング

 2010年10月より開催している未来産業想像カレッジのご紹介と参加企業の方々からの気づき発表およびパネラーと会場とのディスカッションが行われました。
 ”食のビジネスイノベーションを考える”ことをテーマに全8回のカレッジ参加企業の中から、食品業界メンバーの代表として、味の素株式会社 岩井様、キユーピー株式会社 藤村様、マルサンアイ株式会社 本多様、株式会社明治 武田様にご参加いただきました。

 パネラーの皆様からの気づきとしては、非日常・非業務・異業種で議論を重ねてきたことで、”食品”から”食の場”、”食の提供(サービス)”というように食を取り巻く環境を捉える事が出来た点、特にITやエレクトロニクスの技術との融合を考えられたというご意見をいただきました。
 食を新しい切り口や視野から捉えた時、食を通したつながりやパートナーシップ、特にサービスとの融合で新しい食を中心としたイノベーションが起こるのではないかとの期待についてもお話しいただきました。
 会場からのお声として、同業種同士のつながりやパートナーシップ、自分たちの常識から逸脱し、”予感”をすることの大切さや面白さ、健康と人口増加、そして食との関係性がありました。
 次のテーマとしての”住”についての予告もあり、活発なディスカッションの場となりました。

C-Ⅱセッション Next Doorセッション②

『集え!革新スタッフ(ディスカッション)』

参加企業
キユーピー株式会社、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社、
東京エレクトロン東北株式会社、ナブテスコ株式会社、松本機械工業株式会社

 革新スタッフ活動をされている各企業の方々から取り組み中の改善活動概要と役割、困り事についてご紹介いただきました。
 業種・業態のみならず、企業の成り立ちも多様な
パネラーの皆様へ会場からの質問も活発に出されていました。  

 現場の方々の想いを引き出すための工夫、現場の方々に動いてもらうための一手や革新スタッフ地震のモチベーションマネジメント等、具体的な事例やポイントを交えながらディスカッションが繰り広げられました。

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