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第10回 開発・技術マネジメント革新大会

  • R&D・技術戦略

日時・場所

2006年6月15日 9:45~18:30
東京コンファレンスセンター品川 東京都港区港南1-9-36 アレア品川

革新大会 全体レポート

「第10回開発・技術マネジメント革新大会」は、6月15日(木)、東京コンファレンスセンター(東京品川)にて開催されました。
323名の皆様にご参加いただき、今年も盛況のうちに終了いたしました。 写真
8名のスピーカーからは、各テーマについての具体的な取り組み、活動内容を紹介いただきました。ご参加者からは「興味深い話が多く、すばらしい時間を過ごすことができた」、「身近に感じている問題を取り上げてくれて大変参考になった」、「内容が濃く現場に密着した内容だった」というお声を多数いただきました。

基本テーマ

「価値創造の現場からのR&D革新」

今回で記念すべき10回目の開催となる開発・技術マネジメント革新大会は、毎年300人以上の方々にご参加いただき、ご好評をいただいております。今年の大会では、基本テーマを「価値創造の現場からのR&D革新」とし、開発・技術マネジメントの各分野での先行事例をもとに、皆様とこれからの開発・技術マネジメントを研究・相互交流していきたいと考えております。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。

貴重講演

「これからのブレークスルーマネジメント」
日本精工株式会社 取締役代表執行役専務 町田 尚 氏

日本精工の町田様からは、ご自身の生々しい研究開発のご経験や、研究開発体制の再構築について、お話をいただきました。非常に熱く、またユーモアに富んだ語り口から、研究開発のブレークスルーのための示唆を、感動を伴って学ぶことができました。 
中でもブレークスルーを促進するものは、技術者個人の観点では「一つの課題への粘り強い取り組み」「まずは作ってみる姿勢」「一つの大きな成功までにはたくさんの失敗がある」であり、また技術者を支える研究開発体制の観点では「コアコンピタンスを重視すること」「技術者の役割が明確になる組織づくり」「技術者の声が聞こえる環境づくり」であると学びました。
一貫して、技術者一人ひとりがいきいきと仕事ができる、ということが日本精工様を初めとした、日本の研究開発を支えているのだと改めて気づかされました。今後のグローバル展開において、さらに海外との技術連携を強め、世界中でブレークスルーを起こしていかれるのではないかと予感させられました。

特別講演

レクサスブランドのイノベーション
トヨタ自動車株式会社 デザイン本部デザイン開発室
室長 長屋 明浩 氏

トヨタ自動車 デザイン開発室長の長屋様からは、レクサスのブランド構築について、レクサス車開発の経緯とコンセプト、現状の強みと弱み、そしてグローバルレクサス構築に向けた以下の具体的な取り組みについて、ご講演頂きました。

ブランドの原点:「高級の本質の追求」に戻り、掘り下げて、デザインと設計の哲学を構築する。それらをマーケティング部隊任せにせず、「モノづくり」の観点から具現化基準を作る

また商品以外の取り組みの例として、ミラノサローネ(デザイン展覧会)で日本の“技術”だけでなく“文化”まで持ち込む試みや、販売や店舗でのもてなし等もご紹介頂き、「ブランドづくりは、人づくり」という貴重なご提言を頂きました。本邦初公開の映像等もご紹介頂き、受講者の皆様も、まさに魅入り、聴き入っていました。

Aセッション

未来提案のための“ものさし”づくり
松下電器産業株式会社 システム創造研究所 戦略デザイン研究室
室長 渡邊和久 氏

未来提案活動を組織に定着させるための方法として、松下電器産業株式会社システム創造研究所での未来研究の活動内容とその考え方を紹介していただきました。未来研究の活動内容として、事業・商品の変化だけではなく横断的に社会的背景を踏まえての過去100年間の大トレンドの変遷分析やその活用事例などを紹介、また、未来のくらしをどのように考えて行けば良いのかとして、価値位置・トレンド潮流・商品分母という3つの”ものさし”とともに様々な未来の生活空間を紹介していただきました。楽しい未来像をふんだんに具体的に紹介していただき、ワクワクしながら聴けるご講演でした。

未来製品開発のためのアイデア・クリエーション
インタラクションデザインインスティチュートヨーロッパ教授
シモーナ マスキー 氏

The Institute of Interaction design Europe (IIDE) のシモーナ マスキー教授より、インタラクション・デザインによる未来製品に対するアイデア創造のアプローチについて講演が行われました。インタラクション・デザインとは、人と(技術の込められた)製品との相互作用(インタラクション)により生まれるデザインで 写真
あり、それはモノだけでなく、(人に与える)経験を未来製品のアイデアとしてデザインするものです。
そして、これを実現するために、インタラクション・デザインでは、テクノロジー、マーケット、デザインが一体となり、人とその社会的活動に焦点を当てて、未来製品のアイデア創造を行い、そこから生まれたアイデアを(モノだけではなく経験の)プロトタイプとして素早く顧客に提案することで、短期間でアイデアの質を高めます。また講演では、インタラクション・デザインにより創造された、アイデア事例の紹介も行われ、受講者からはIIDEの企業への具体的な貢献事例についての質問が出るなど活発な議論が交わされました。

Bセッション

NECグループにおける人材育成
NECラーニング株式会社 代表取締役 執行役員社長
内海 房子 氏

NECグループの人材育成の主な課題を上司と部下のコミュニケーションギャップととらえ、2WAY(双方向)コミュニケーションをベースとしたマネジメントやライフタイムキャリアサポートを取り入れた研修・教育体系を構築し、着実に成果を上げられていることを実際のデータ・事例を交えて紹介いただきました。 
質疑応答では、手法の具体的な内容や社風からリーダーシップに至るまでの幅広い議論が行われ、質疑応答の時間を大幅にオーバー。聴講者の関心の高さがわかるものでありました。また、ご質問された方からも自社の事例を紹介いただき、活発な議論が交わされ、終了後の交流会パーティーにおいても交流が持たれました。

変革人材を湧出するナレッジマネジメント革新
富士写真フイルム株式会社産業機器システム開発センター
主任研究員 栗栖 顕 氏/研究員 木村 郁奈 氏

富士写真フイルムでは、社会環境が大きく変化する中、技術者の意識・能力の変革、新維持業を創造することに重点を置いたナレッジマネジメント革新活動に取り組んでいます。活動は、単に情報共有を進めるだけではなく、新しい価値を創造する活動へ変化されています。本講演ではどのような取組みを行ってきたかについて、ボトムアップ型ならではの試行錯誤、成功点、失敗点、今後の課題と方向、さらには運営上のポイントなどを紹介いただきました。
聴講者からは、研究開発以外の部門への展開のしかた、思いはあるが日常業務で忙しい人をどう活動に巻き込むかについて興味を持っていただき、それらに関連した質疑応答が行われました。

Cセッション

Unique Value 創造集団づくり
サンウエーブ工業株式会社 開発企画部 部長 田口 哲 氏

サンウエーブ工業田口様の講演では、“誰も見たことのない新しい価値:Unique Value:の創造”をめざした企画・デザイン部門の革新活動についてお話をいただきました。“ありたい姿を描いて日常を変える”を革新のコンセプトとして、リーダー個人の強いWILL(意志、想い)からスタートし、価値創造集団をつくったお話です。 写真
革新活動の第1フェーズでは、『価値イノベーター』をありたい姿として、メンバーの自覚と行動を促し強い個の形成をめざした活動がおこなわれました。続く第2フェーズでは、『連続創造力』をありたい姿として、瞬間的成功に終わらせない連続的価値創造への仕掛けや組織づくりに向けた活動がおこなわれています。各フェーズでの様々なアクションプランや、グッドデザイン金賞をはじめ多くのデザイン賞も受賞した実際の商品開発事例も交えて紹介されましたが、「やってはならない仕事を明確にし時間を作る」「1ヶ月間出社しなくていいからアイデアをひねり出せ」といった施策には、会場から驚きの声があがり、質疑応答でも活発な意見が交わされました。

KIによる企業革新
クオリカ株式会社 代表取締役社長 藤宮 宏章 氏

クオリカの代表取締役社長藤宮様の講演では、KI(Knowledge Innovation)導入以前の会社で何が起こっていたかという状況と、その状況を打破し、自社を成長軌道へ乗せるという導入背景、および、3年前よりKIを「てきじゅく」という活動名で導入し得られた、変化と成果およびそのご苦労をおはなしいただきました。 
現在では「てきじゅく」の効果として「高度なプロジェクト管理」「組織のマネジメント力の向上」「個人のマインド(本音)を引出す」「人材育成」を実現し、その効果が会社の成長へと繋がるという素晴らしい成果を得られておられます。これらの生々しい事例を、具体的な数字や活動チームが作成したアウトプット資料をふんだんに使ってご説明いただきました。会場の皆様はイメージも沸きやすく、「うなずき」と時には「笑い」も見られ、皆様の共感を呼んだご講演でした。質疑応答では「導入初期にKI対象とするチームをどの様にして選ぶと効果的か」「全社が納得するKI推進スタッフとはどういった方なのか」といった多くの質問を頂きました。

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