1. トップ
  2. コラム
  3. 第3回 【積載効率の向上】【荷待ち時間の短縮】両立が難しい2つの課題を同時に達成した方法とは?

第3回 【積載効率の向上】【荷待ち時間の短縮】両立が難しい2つの課題を同時に達成した方法とは?

コラム

2026.08.07

【事例で解説】物流効率化の実践アプローチ

横展開が可能な事例

  • 拠点間での定期的な輸送と地域への配送を組み合わせている企業
  • 形状や大きさが不揃いな製品を扱っている企業
  • 特定の拠点に作業や待ち時間が集中している企業

本事例から読み解く物流改善の3つの考え方

 国の新しい物流の指針である荷主向け判断基準では、「トラックドライバーに対して、積載率を向上させるための適切な作業時間を与えること」と「トラックドライバーを長時間拘束しないこと」が求められている。本事例では、一見するとトレードオフに見える2つの課題を以下3つの考え方を適用することで解決した。

考え方1:仕分け・荷寄を実施するタイミングを見直す

 積載効率が上がらない原因として、早い段階で最終配送先などの細かい粒度で仕分け・荷寄せを行ってしまうことが挙げられる。細かい粒度の仕分け・荷寄せでは一区切り当たりの荷物が少なくなるためパレット積載率が低くなりやすい。結果として、トラックの積載率も下がる。

本事例では、出荷デポでの事前の仕分けを廃止した。そして、到着デポで最終配送先への仕分けを行うこととした。結果、改善対象とした輸送区間の積載率向上を達成した。

考え方2:荷姿で分類を行い、積み方を変える

 荷姿は多種多様であるため、すべてを同じ箱やパレットに収めようとすると問題が起きやすい。そのため、荷姿で分類を行い、積み方を変えることが重要である。本事例では、長尺の部品への対応を変え、ボックスパレットに積む対象から外した。長尺の部品がなくなったことでボックスパレット上部が平らになり、上下に二段に重ねることが可能になった。結果として、トラック荷台の高さ方向の空間を使い切ることができるようになり、積載率の向上を達成した。

考え方3:全体の作業量を維持したまま部門間の負荷を再配分する 

 作業の再分配を行うと、ある部門の作業時間が減る代わりに別の部門の作業が増加するということが起こる。本事例では、出荷デポで行われていた仕分け・荷寄せ作業を、到着デポで行うこととした。出荷デポでは積荷の出庫を待ってから仕分け・荷寄せ作業をする必要があったが、到着デポでは一括で届いた部品を仕分け・荷寄せすることができた。結果、投入人員は増加したが、投入する作業時間は以前と変わらない水準を維持できた。

本事例の目的:時間制約が厳しい部品輸送における効率化

 本事例の企業は、関東地区にある中央デポから他の地区にある複数のデポへと部品を輸送している。他の地区のデポに到着した部品は、さらにそこから各地域の販売店へと配送される。中央デポは、出荷する当日の朝に他の地区のデポから注文を受け取る。注文を受けた部品は、その日の夜間に大型トラックを用いて輸送される。翌朝、積み荷は他の地区のデポで小型トラックに積み替えられ、各販売店へと配送される。輸送される品物は、単なる在庫の補充だけではなく、顧客からの修理依頼に紐づいている急ぎの品物であるため、午前9時を遅らせることは許されない。この時間制約の中で輸送の効率を高めることが、本事例の目的であった。

問題点:なぜ20%の空きがあるのに積めないのか?

 現状把握のための調査で、平均の積載効率は80%であることが判明した。荷台にはまだ20%の空き空間があるにもかかわらず、これ以上荷物を積むことができない状態であった。積載率を上げることのできない原因は中央のデポで実施している作業の手順に潜んでいた。
 中央のデポでは、最終配送先である販売店へ配送する経路ごとに部品の仕分けを行っていた。そのため、注文量が少ない場合でも、経路が別であれば違うボックスパレットを使用しなければならない。結果、積載率の低いボックスパレットが大量に作られてしまい、荷台の床面積を無駄に占有してしまうという問題を起こしていた。

 さらに、補修部品の荷姿の性質上の問題があった。補修部品の中には、細長い形状の品物が存在した。これらの長い部品を経路別にボックスパレットへ積むと、上部から部品が大きくはみ出してしまうため、荷物の上部が平らでなくなってしまう。その結果、上に別のボックスパレットを乗せる二段積みが不可能になっていた。

 床面積は空隙の多いボックスパレットで埋まる、高さ方向の空間は長い部品のせいで活用できない、これが積載効率80%の原因となっていた。

改善前の業務フローと荷姿イメージ

改善前の業務フローと荷姿イメージ

 積載効率の悪化と同時にトラックドライバーの長時間の拘束も深刻な問題となっていた。中央デポの出庫作業は、午後1時ごろから開始されていた。注文内容に従って順番に部品を持ち出すため、作業は断続的にならざるを得ない。トラックドライバーは午後2時ごろにデポへ到着する。しかし、すべての部品が揃っているわけではないため、出庫を待ち、出てきたものから順番に配送経路ごとのボックスパレットへ仕分けを行う。そして、トラックへ積み込んでいく。この待ち時間と作業の繰り返しが午後8時ごろまで続き、やっと出発することが出来ていた。6時間以上もデポに拘束されることが常態化しており、労働環境の観点からも法的な指針の観点からも、即座の是正が必要な状態であった。

改善前のタイミングチャート

改善前の業務フローと荷姿イメージ

改善のポイント:物流フローの再構築と二段積み徹底による積載率アップ

 積載効率の向上とトラックドライバーの拘束時間削減を同時に達成する。そのために、本事例の企業では既存の作業の流れを根本から組み替えた。具体的には、以下の手順で作業の場所と方法を変更した。

ポイント1 :仕分けを発地から着地に変更し、パレット充填率を向上する。

 現在発地である中央デポで行なっている配送便別仕分けを、着地である他地区のデポで行う方式とした。中央デポからは現状でも輸送ルート別に出庫が行なわれているので、中央デポではこれを仕分けずに直接トラックに積み込む。ただし、積載効率をさらに上げる為に、パレットの充填方法に工夫を加え、出来る限りパレットにものを一杯に詰めた状態で出庫する。ドライバーは出発時間の1時間前くらいに入構し、積込みを行う。

これによって中央デポでのドライバーの拘束時間を大幅に削減することが出来る。夜間輸送をしたあと、着地である他地区デポにて配送便別の仕分けを行う。

具体的な方法としては、配送ルート分のパレットを必要枚数着デポの仕分け場に並べ(トラック到着前に事前作業を行なって並べておく)、出荷指示書に従い種まき方式での仕分けを行う。配送便の出発時間である7時までに仕分け・積込みを完了させ、配送便が出発する。

ポイント2 :パレット充填率の向上と、二段積みの徹底をする。

 前記のデポからの出庫時に、出来る限りパレット内の充填率を上げるように積み付ける。重量物は底・軽量物は上部に積み付けるといった工夫に加え、長尺ものについてはパレットには一切入れず、荷台に別に積み込む方法を取ることで、パレットの充填率を向上させる。

また、この事例ではパレットの二段積みを徹底した。荷台の高さに対して通常のボックスパレットではそのまま2段積むことができないため、高さ半分サイズのボックスパレットを利用して二段積みを行う。パレット充填率と二段積みの実施に関しては、デポの出庫担当者と協力の上、基本的な積み付け方法や積み付けの組み合わせなどを標準化し、一定水準以上の積載効率を確保できるようにする。

改善後の業務フローと荷姿イメージ

改善後の業務フローと荷姿イメージ

改善後のタイミングチャート

改善後の業務フローと荷姿イメージ

効果:積載率92%達成とドライバー拘束時間の大幅な削減

 一連の施策を導入したことにより、2つの成果が得られた。

 積載効率については、対策前の平均80%から、92%にまで改善した。これは、出荷デポでの事前仕分けの廃止による空間充填、イレギュラーな長尺部品の除外、そしてハーフサイズのボックスパレットによる二段積みの徹底という、アプローチが相乗効果を発揮した結果である。輸送量に対する車両台数を減少させることを達成し、荷主向け判断基準が掲げる「輸送能力の最大化」という指針を高い水準で具現化した事例といえる。

 あわせて、トラックドライバーの荷待ち時間も大幅に改善することができた。中央デポにおける断続的な荷待ちが発生しなくなったことで、6時間を超える拘束時間が1時間程度へと減少した。作業工程を後続デポへと移管し、荷姿に応じた標準化を進めたことが、積載ロスと待機時間の同時解消に繋がった。

実施上の留意点

 以下の2つの留意の元、改革を実行することが重要である。

到着拠点における作業方法の設計と事前の検証

 仕分けの場所を変更しても、最終的な届け先への納品時刻を遅らせることは許されない。そのため、到着拠点における作業手順を綿密に組み立て、時間内に作業が完了するかを事前に検証することが必要である。今回の事例では、届いた荷物を配送ルートごとに並べた容器へ直接割り振っていく、種まき仕分けと呼ばれる方法を試験的に実施し、午前7時の配送便出発に確実に間に合うことを確認したうえで本運用へ移行した。

到着拠点における作業要員の柔軟性確保と配置

 作業の場所が変わることで、到着拠点側の負荷は一時的に増加する。この課題に対して、この会社では既存の従業員の勤務時間をずらす時差勤務の導入により、早朝の仕分け作業を支援する体制を整えた。さらに、取扱う物量が多い日には臨時の応援要員を確保する仕組みを構築した。到着拠点での補助要員は一時的に増えたものの、物流網全体で投入した総作業時間は以前と変わらない水準に収まっている。

まとめ

 本事例は、中央デポで行っていた経路別の仕分け作業を到着デポへと移行するのと同時にデポの運用規則を標準化した。これにより、積載効率の向上とトラックドライバーの拘束時間削減を両立させることができた。デポ間の役割分担を再定義することで、全体の作業時間を増やすことなく積載効率向上と荷役の待ち時間短縮に貢献できるこの手法は、国の指針が要請する物流の効率化に対する実効性の高い具体的な解決策となると考える。

  

本コラムはJMACの支援事例をもとにコンサルタントが執筆したものです。

横山 陽平

dXコンサルティング事業本部
コンサルタント

入社以降、事業戦略のアップデートや消費者調査に基づくブランドポートフォリオ再編などのテーマから物流拠点の生産性向上や現場実務と財務情報の同期化を図る在庫管理プロセスの再構築などのテーマに取り組んでいる。

まずはお気軽にご相談ください。

自立・自走できる組織へ

信頼と実績のJMACが、貴社の現状と課題をヒアリングし、解決策をご提案します。

関連する経営のヒント

Management Hint

関連するコンサルティング・サービス

Consulting Service

関連する事例

Case

コラムトップへ