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持続成長で世界一を目指す
~相互補完できるM&Aで新技術に対応~

エレコム株式会社
取締役社長 葉田 順治氏

エレコムは、パソコンラックの製造販売会社として、1986年の創業以来、PC周辺機器のリーディングカンパニーというポジションを経て、現在はAV(音響・映像)関連機器を含めた総合デジタル関連メーカーへと事業を拡大している。グローバル市場を視野に国内外でM&Aを実施。2006年にはジャスダック上場を果たした。世界ナンバー1を目指して、今なお成功の半途と考えている。

迅速な意思決定を生む組織風土

上場後2期目となる2008年3月の連結業績は、売上高522億10百万円(前年同期比8.7%増)、営業利益38億69百万円(同38.6%増)、経常利益29億55百万円(同52.9%増)、当期純利益15億80百万円(同65.3%増)。驚異的な伸びは、やはり上場したことが大きい。連続的に成長できる仕組みが回り始めていると見ている。

創業から今日までを振り返ると、成長戦略をもって経営してきたことはもちろんだが、市場の変化に応じながら必然的に成長してきたといった方が的を得ている。

昨日まで成功していたビジネスモデルが一夜にして崩壊する、そんな厳しい世界では、一つの事業で永続的に成長することは不可能に近い。これは前身の材木会社廃業や、創業時の柱だったパソコンラック事業の衰退から学んだことだ。「失敗からしか学べない」これが私の信条だ。常に、需要がゼロになるという恐怖感、絶対需要の崩壊という恐怖感が、これまでの成長を支えてきた。

OAファニチャーからPCサプライ、IOデバイスへと事業を拡大し、PC周辺機器事業のトップメーカーへと成長を遂げたのはそのためだ。次への成長ステップのため、AVデジタル領域にも踏み込んだ。しかし、日進月歩の勢いで技術開発が進むデジタル関連分野で成長を続けるためには、常に新技術に対応できるだけの開発力をもち得なければならない。当社のM&Aはその技術を得るためのものだ。

もちろん、我々が持ち得ない商品や販売ルートも魅力だ。自分たちにはないものを相互補完できるM&Aは、今後も積極的に進めたい。上場は、M&Aを加速することが目的でもあった。

SCMで総合力を高める

当社の強みは、デザイン力に象徴される「商品開発力」、ファブレスメーカーならではの「製品調達力」、家電量販店やパソコン専門店に特化した「営業力」と言われている。しかし、押しなべてすべての分野にそつがないというところが本当の強さだと思っている。弱い部分もたくさんある。弱いと気づいたら、プロの手を借りてでもすぐに着手する。完璧だと思った瞬間に、企業の成長はストップすると考えている。

開発力、調達力、販売力が持つそれぞれの力をつなげて、大きな総合力にしているのがSCM(サプライチェーンマネジメント)システムだ。資材の調達から在庫管理、製品の配送まで、いわゆる川上から川下までのすべてを総合的にシステム管理することで、低コスト、低リスクの物流・在庫管理を可能にしてきた。取扱いアイテムは5000を超える。従来の「多品種・少ロット生産」の名残りともいえるが、現在は「売れるものを売れるだけ売る」というSCMシステムの整備によって効率的に管理されている。海外市場はドイツを拠点に、東欧、ロシア、中近東、インドなど新興諸国への進出を目指し、10年以内には売上の70%を海外市場が占めることを目的としている。
 
ビジョンを持ってというよりは、走りながら考えてきたが、世界市場を視野に入れた今、これからはそういうわけにもいかない。まずは「ヨーロッパで一番」を目指す。社員も共鳴しているし、それが成ったら「世界で一番」を目指す。これからも徹底的に自分たちのコアを磨いていきたい。

※本稿はJMAC発行の『Business Insights』Vol.30 からの転載です。

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