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トータル人事制度/トータル人事管理制度(Total Human Resource Management System)

 人事制度は、賃金制度(給与制度、賞与制度、退職金制度等)、等級制度、役職制度、評価制度、人材育成制度、人事異動制度など、従業員の処遇全般を決定する仕組み全般を指すが、トータル人事制度(トータル人事管理制度)という言葉を使ったときは、処遇を決定する制度を会社全体のマネジメントに生かしていく制度としていくべきだとの強い思いを込めた概念となる。つまり、処遇を決定する人事制度を会社全体のマネジメントのコアシステムとして組み立て直そうという、人事制度改革を導く概念である。

 会社は様々な事業活動を展開しているが、競争優位を実現したいという理由で、従業員の事業遂行活動に変革を求めることがある。その際、事業遂行活動の変革内容を分かりやすく説明し、訴えるという直接行動に加え、その変革を実行して実績を上げた従業員にインセンティブを与えることを通じて、事業遂行活動の変革を一層促進・普及することも行われる。このインセンティブの仕組みとなりえる手段が、人事制度全体の中に多数含まれているので、それをうまく使って、事業遂行活動変革を促進していこうというのである。

 例えば、お客様満足行動の内容を変えて競争優位に立とうとした場合、必要となるお客様満足行動を人事評価表に書き込み、評価としてクローズアップし、賞与額の評価格差に反映したり、月例給与の昇給額格差に反映したりし、またそういうお客様満足行動ができる人を昇格させたりするような仕組みを意図的に作り出す必要がある。また必要とするお客様満足行動のレベルを評価したら、それを本人にフィードバックし、一層のレベルアップを訴える仕組みも必要になる。そのような変革促進マネジメントの中核として、人事制度全体を組み立て直すことが、トータル人事制度/トータル人事管理制度という概念である。

 また会社は競争優位を実現するために、総額人件費のコントロールを行う必要がある。事業遂行活動の変革へのインセンティブをトータルに仕組みながらも、望ましい総額人件費の水準を実現するためにも、トータル人事制度/トータル人事管理制度の改革が求められるといえる。

(文責:高原 暢恭 シニア・コンサルタント)