お問い合わせ

人事制度(personnel system)

 会社の限られた資源(人件費等)の中で、会社内での従業員の処遇を決めるための枠組み。基本的な処遇を決めるしくみとして、等級制度(資格制度)、評価制度、給与・賞与制度がある(この3つの制度は人事制度の基本3制度と呼ばれる)。この他、基本3制度の前提となる従業員区分(身分区分)、配置異動のしくみ、教育・研修のしくみ、退職金制度等がこの領域に含まれる。これらのしくみを構築・運用することにより、会社として従業員への期待(行ってほしい仕事、担ってほしい役割、また身に付けてほしい能力など)を明示し、その期待をどの程度満たしているかを判断し、その程度に応じて処遇し、また期待を満たすことを促す育成を行う。

 人事制度は社内外の要因を考慮しながら決められる。自社の理念、従業員への期待、組織運営方針・マネジメントの考え方等に基づき組み立てられる一方で、他社との類似性(世間水準を考慮する意味)・特異性(人事管理上の競争優位性を確保する意味)、法令、働く人の価値観・生活観等を踏えながら検討される。

 会社の持続的成長のためには、会社業績を維持・向上させるための事業領域設定や業務プロセスの高度化とともに、その事業・業務から見て行うべきことを実践するための人的資源を現在の事業・組織運営のために適正化し、また将来のために高度化することが会社経営にとって重要なポイントとなる。日本では、雇用関係について長期的な視野を持って築く慣習があるため、その時々の業務実績・能力レベル等に沿って処遇するためのしくみだけでなく、先々を見据えた処遇の見通しを示す人事制度であることが求められている。

(文責:JMACコンサルタント 栗山 裕司)