経営層が見ている品質 「グローバル品質ガバナンスの必要性とQMSの在り方」
各企業において製造部門だけでなく、販売・開発機能のグローバル展開が加速する今日、品質保証部門に対する経営層からの期待が益々高まっている。
品質保証部門はこれまでに、国内における製品の品質保証から業務プロセス/システムの品質保証へと対象を拡大してきた。
最近ではグローバル・ビジネスに伴う製品・顧客への品質保証、グローバル拠点における業務プロセス/システムの品質保証にまで対象の拡大が求められている。
こうした状況において、QMSではグローバル・ビジネスにおけるバリュー・チェーン、サプライチェーンを確実に保証することが重要となる。本社の品質保証担当はグローバル・ビジネスの品質保証について語れるスキル、経験が求められることは言うまでもない。
また、各グローバル拠点に対し、品質保証という観点からガバナンスを行えなければならない。品質保証部門担当は今後、グローバル経験を積極的に積むためのキャリヤ・プランを考えた上で、実行していく必要がある。つまり、品質保証部門担当はグローバルを見据えた3現主義を実践する必要があると言える。
グローバルQMSにおいては、標準化するべき業務プロセス、拠点独自のプロセスの構築とそのマネジメント、市場の要求に対する製品品質、品質保証システムの設計が求められる。その実現のためには各グローバル拠点の在り方、各市場や顧客の要求を確実に把握することが重要である。
また、複数拠点のQMS統合・構築・マネジメントの実行にあたっては、ITの活用が必須である。業務プロセスの管理、ドキュメントのテンプレート、アウトプットの管理についてもITを活用した上で、各拠点において共有できる環境を構築する必要がある。
品質保証担当は、ITシステムの構築・活用も必須スキルとして保有することが望しい。
コンサルタントプロフィール
シニア・コンサルタント 野元 伸一郎
東京理科大学大学院修士課程経営工学専攻修了後、1993年にJMAC入社。一貫して研究・開発分野のコンサルティングを実施。設計品質向上をベースにした開発プロセス革新/コンカレントエンジニアリング、プロジェクトマネジメント、技術ロードマップ構築等を数多く推進している。2012/3に北陸先端科学技術大学院博士後期課程で知識科学博士号を取得。2016/3までJMAホールディングス ASEAN推進センター長を兼任し、AEC(ASEAN経済共同体)以降を見据えたASEANビジネスのあり方、各地域別に求められる製品品質・サービス品質について、研究、事業化を行っている。
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