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コンサルタントの視点  「なぜなぜ分析スキルを様々な場面で応用する」

JQMQvol.16_201407.pdf

なぜなぜ分析は、品質トラブル発生時の根本原因追求のための最も一般的な手法である。

最近は世界各国において、Root Cause Analysis、Why Why Analysis として普及している。

  ・最低5回はなぜを繰り返さなければ、

       根本原因をなかなか見つけられない。

  ・原因は1つではないため、

       最低3つ以上の要因を挙げるべきである。

といったことが言われるが、根本原因を捉えた上での対策実施が目的であるため、必ずしも、なぜを5回繰り返すわけでない。

むしろ、問題の範囲が広すぎる場合、問題の層別により原因を特定しやすくしたり、2人以上で分析することにより、なぜのブレイクダウンの論理性を確保することの方が現実的である。

 私は、グローバル関連のテーマを支援する中で、なぜなぜ分析の活用やその精度向上のための事実情報の収集を勧めている。

ここでは、2つの事例を紹介する。

 一つ目は、海外工場との情報のやり取りが増加している購買部門の事例である。この購買部門は、最近、英語による海外工場とのコミュニケーションの増加に伴い、業務の手戻りが多く発生していた。担当者は、自身の英語力を強化しなければ問題を解決できないと半ば諦めていた。

しかし、業務の手戻りの要因についてなぜなぜ分析を実施したところ、日本側の意図の伝達不備、部品を含む製品全体に関する情報不足、海外工場スタッフの業務への理解不足といった仮説を導き出した。

その仮説をもとに、改善策として、拠点間業務依頼書における依頼背景の記載、海外工場スタッフへの業務教育の充実に取り組んだ結果、業務の手戻りの解消に大きく寄与した。

 二つ目は、海外工場のローカルスタッフの退職が多いという事例である。給料の低さやジョブ・ホッピングの意識の強さなどを理由に、退職は仕方がないと考えていた。

そこで、なぜなぜ分析を行い、入社時の教育資料や研修の不足、入社後のフォローアップの不足、食事への不満、当日通知の残業依頼、社内における友人作りの難しさなど、様々な仮説を検討した。

日本の人事スタッフが海外拠点において調査した結果、そうした仮説は正しいことがわかったため、必要な対策を講じるに至った。

なぜなぜ分析は、様々な場面で活用できるため、スキルを身につけた上で、問題解決力、課題解決力を全社的に強化し、業務や意思決定の速度を上げたいものである。

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コンサルタントプロフィール

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シニア・コンサルタント 野元 伸一郎

東京理科大学大学院修士課程経営工学専攻修了後、1993年にJMAC入社。一貫して研究・開発分野のコンサルティングを実施。設計品質向上をベースにした開発プロセス革新/コンカレントエンジニアリング、プロジェクトマネジメント、技術ロードマップ構築等を数多く推進している。2012/3に北陸先端科学技術大学院博士後期課程で知識科学博士号を取得。2016/3までJMAホールディングス ASEAN推進センター長を兼任し、AEC(ASEAN経済共同体)以降を見据えたASEANビジネスのあり方、各地域別に求められる製品品質・サービス品質について、研究、事業化を行っている。

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