経営層が見ている品質 「品質/質に対する経営者の関心事は」
品質/質に対する経営者の関心事は、
1.顧客に提供する製品やサービスの経営への貢献
2.顧客満足及びブランド向上への寄与
の2つに絞ることができる。
これらを両立できる目標、コンセプト、方針を打ち出す事が望ましい。その実現方向として、以下が挙げられる。(実際には優先順位や加重を決めて組合せ実施することになる)
①改善・改革モデル
品質リスク低減により品質問題の発生確率を低減し、クレーム・リコール等を抑え、コスト面において経営に貢献する。ブランドへの積極的寄与は難しいが、イメージの悪化を防ぐといった消極的寄与はできる。多くの日本製造業が得意とするモデルである。
②長期保証モデル
自社製品の優位性をアピールし、長期保証のサービスメニューを工夫する。保証期間内の故障率を一定のレベルに抑え込めれば、(または、安く製品交換できるなど安価な保証方法を確立できれば)、すぐにでも実現できる。さらに、サービスメニューが収益源に成り得るメリットもある。
③品質基準再設定モデル
ターゲット顧客や市場を睨み、品質基準の最適化や複線化などに取り組み、過剰品質から脱却(過剰品質でない場合は取引や購入意思決定を促せるレベルまで品質を向上させることになる)し、コスト面において経営に貢献する。実現に際してはブランドカテゴリーの確立、海外・国内向けの切り分け、子会社名による製品提供などが必要となる。
④革新的製品実現モデル
優れた製品・サービスを提供し、ブランドイメージの向上に貢献する。製造業であればもっとも実現したいであろうモデルである。製品の与えるインパクトの大きさにより、多少の故障などは目をつぶってもらえるといったメリットがある。
⑤ブランドマネジメントモデル
自社の付加価値、競争力の源泉をブランドに置き、ブランドを機軸に物事を考える。ブランド確立・ブランド価値向上を第一に製品・サービスに対する要求方向を明確にした上で、それらを提供する。
以上が代表的なモデルであるが、我々が接する日本企業の中では②、③を検討するケースが増えているように感じられる。欧米系の代表的な企業は④、⑤を実施しているところが目につく。このような議論を品質戦略という枠組みの中で真剣に検討する段階に来ているのではないだろうか?
コンサルタントプロフィール
シニア・コンサルタント 松田 将寿
早稲田大学大学院修士課程国際法専攻修了後、1994年にJMAC入社。
製造業を中心に24年の経験(生産領域コンサルティング12年、戦略領域コンサルティング12年)を持ち、国内外(外は現地企業・大学なども含む)、大企業~中小企業など幅広く支援を行っている。
品質カテゴリーに関しては、経営・事業戦略への組込み、経営体質作り(改善・改革の骨格)として捉えて支援している他、品質マネジメントシステム、品質保証・品質管理の側面から組織・機能連携、外注戦略、業務改革なども支援している。
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