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業務改革を同時実現する『基幹システム再構築』推進

第9回 プロジェクト推進時のよくある課題「Phase3 システム選定」

  • 業務改革・システム化

梅田 修二

 前回(第8回)のコラムでは、基幹システム再構築プロジェクトの『Phase2 RFP策定』推進時のよくある課題についての話をした。今回は、『Phase3 システム選定』推進時のよくある課題についての話をする。

 『Phase3 システム選定』は、策定した提案依頼書(RFP)をもとに、システムベンダーに提案依頼を行い、提案内容を評価し、システムベンダー・パッケージを選定するフェーズである。

推進上の課題①:システムベンダーの自社の現状理解が乏しい

 システムベンダーの提案が標準的なもので、自社の事業特性、目指すプロセス、課題などの理解が乏しい提案が出てきたという課題である。
そのような状態にならないために、自社の事業特性、目指すプロセス、課題を整理したRFP(提案依頼書)を策定することは大前提であるが、それ以外にも自社でやるべきことがある。

 それは、資料ベースでの理解には限界があるため、自社を理解してもらうための説明会・質問の機会を設けるといったことである。質問は質問票ベースでやりとりすることが多いが、それだけでなく対面で質問をすることができる場を設けることをおすすめする。提案ベンダーは複数あり、対面となると、事務局側に大きな負荷がかかってしまうので敬遠されがちである。ただし、自社のことを理解し、マッチした提案をもらうためにも、時間をかけた方が良いところである。

 また、ベンダーの理解度を高めるという場だけでなく、自社にとってもベンダーを理解し、自社との相性を確認する場にもなる。選定したベンダーとは、要件定義・開発フェーズといった導入前だけでなく、システム導入後も長い付き合いになる。それだけに、プレゼンテーション・デモンストレーションの場以外にも、ベンダーを理解する場は何回かあった方が良い。

推進上の課題②:ベンダー選定方法が分からない

システムベンダーから提案プレゼンやデモンストレーションを受けても、一長一短で自社に合うベンダーをどのように選べば良いか分からない。また、立場・部門によって選定したいベンダーが異なり、意見統一できないといった課題である。

 そのような状態にならないために、事前にベンダー選定方法・選定基準を決めておく必要がある。基本的には、客観的にベンダー評価するために、点数比較できるようにする。具体的には、「費用(コスト)」「要求仕様充足度(実現力)」「体制」など様々な視点から総合的に評価するために、評価項目と各評価項目の点数付けの評価基準を設定しておき、その合計点でベンダー選定すると良い。その際、重視すべき評価項目の点数については2倍、3倍、5倍にするなど重み付けすると良い。

評価基準の例

次回は、『Phase4 要件定義』におけるプロジェクト推進時のよくある課題についての発信を予定している。

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