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個別改善(focused improvement)

 TPMの中の主要な活動の1つで、生産性向上やロス削減など具体的な成果を出すための改善活動である。活動サークルによる日常的な改善活動がある一方で、それとは別にプロジェクトチームを編成して進めていくのが個別改善である。改善すべきテーマがあっても、日常の改善活動ではなかなか手をつけられない、専門的な技術が必要となる、ある程度の投資額が必要になるなどで、そのテーマを「個別」に扱うことから個別改善と呼ばれている。改善の対象を明確にして目標を達成するためのプロジェクト活動と認識してよい。そのため、活動の始まりと終わり、成果物の定義などは明確にしておくべきである。

 進め方はQCストーリーをベースにして設定してもよいが、おおむね個別改善の標準的な進め方は以下のように整理できる。

個別改善の進め方

① 対象設備・ラインの選定

  • ネックライン、工程・設備でロスの多いもの

② プロジェクトチームの編成

  • 所管部門の管理者がリーダーとなる
  • 技術、生技、設計、生産などのスタッフを加える

③ 現状把握(ロスの把握・問題点の把握)

  • 現状を把握し、問題点を明確にする
  • データを分析する。不足している場合にはデータをとる

④ テーマの選定と目標の設定

  • 現状の調査結果をもとに改善テーマを選定する
  • 全体最適に寄与する挑戦的な目標および期間を設定する

⑤ 改善計画の立案

  • 実施の手順、スケジュールを作成する

⑥ 解析および対策の立案・事前評価

  • あらゆる技法を活用して要因を解析する
  • 改善案で目標が達成できるかどうかを評価する

⑦ 改善の実施

  • 対策立案に基づいて対策を実施する
  • 必要な場合は予算処置を行う

⑧ 効果の確認

  • 改善実施後、ロス別に効果の確認をする
  • 目標に達しない場合は、前に戻って見直すことも検討する

⑨ 歯止め・水平展開

  • 技術的な対策を打つ
  • 標準化、再発防止のための教育などを行う
  • 他のライン、工程、設備へ適用する(他部署へのフィードバック)

 とくにTPMはロスに着目してさまざまな指標が設定されるので、TPMにおける個別改善ではロスの把握、ロスの分類と定量化は欠かせない。プロジェクトチームの編成に当っては、あらかじめ講習会や研修に参加するなどして、メンバー間でロスを見る目、ロス削減へのモチベーションを共有化しておくとよい。

(文責:和泉高雄)