【開催レポート】R&Dサミット2025 (組織活性化分科会 第3回)
R&D・技術戦略

コラム
2018.06.27
日本能率協会コンサルティング(JMAC)は2018年6月7日(木)、「第22回 開発・技術マネジメント革新大会」を東京コンファレンスセンター・品川で開催しました。約250名のお客様をお迎えし、大盛況の内に幕を閉じることができました。
今年の大会は、「進化しつづけるRD&Eマネジメント 〜変わらないスピリットと絶えまないイノベーションへの挑戦〜」を基本コンセプトとし、"創業精神"、"R&Dの信念"といったマネジメントの価値観や基軸を大切にしつつ、イノベーションに果敢に挑戦していらっしゃる方々にご講演いただきました。
参加者の方々からは、「視野が広がり、勉強になった」「よい刺激になった」といった声を数多くいただきました。
講演者と参加者、また参加者同士の積極的な交流を通して、多くの気づきと学びが得られた一日となりました。
「新事業への挑戦と研究者・技術者への期待」と題して、酒巻様がApple スティーブ・ジョブス氏との仕事や、キヤノン電子における人工衛星・新事業開発へ取組みの実体験に基づいた貴重なご知見から、新事業に取り組む際の経営陣と研究者・技術者のマインドや、成功のためのポイントについて、ご講演をいただきました。
成功するかどうかは分からない新事業の挑戦においては、「自分はできる」と思い込まず、人脈を構築してオピニオンリーダーの人たちの意見をいつも聞くこと。そして、失敗を恐れずに、「どのみちできない事はできないのだから、やってみよう」という、「問題が起きたときに、ワクワクする気持ち」が大切だというお話は、参加者のみなさんの多くの共感を呼んでいました。
また、技術者の独創性は「常に相手の立場になってものを考える習慣」から生まれるという熱いメッセージをいただきました。
「世界をワクワクさせる体験を!」と題して、京都大学発のベンチャー企業・GLMにおける、「電気自動車をつくる」という壮大な挑戦の事例をもとに、様々な困難をいかに乗り越えてきたかについて、ご講演をいただきました。
創業当初は、自動車の技術も、人脈もほとんど持たないなかで、自社の工房で、「つくって」「試乗して」「設計する」という「トライ&エラー」のサイクルを泥臭く繰り返すことで、徐々に賛同者を集め、事業モデルを形にしていくプロセスを、生々しい実体験を交えてご紹介いただきました。
これまでに多くの困難に直面した際には、「失敗を恐れない強み」で、たとえ既に動き出している計画であっても、柔軟に計画を変更することで、むしろ困難を飛躍の契機に変えてきたことが、振り返ればポイントであったというお話は、参加者のみなさまを勇気付け、共感を呼んでいました。
未来予測に基づいた新規事業企画のアプローチの方法や、活動のポイントについてご紹介しました。
いくつかアプローチがありますが、いかに骨太な社会課題を捉えて企画を着想するかがすべてのアプローチに共通する鍵になります。
そのための活動のポイントとして、
①将来の社会課題を洞察するための変化の兆しの情報を充実させること、
②理想的な社会の実現につながる高い開発目標を設定すること、
③夢・意欲を育むために、技術者自身が企画活動を行うこと、
といった点について講演しました。
同社で取り組まれてきた、新事業アイデアの創出活動についてご紹介いただきました。
既存事業の市場が飽和を迎えつつある中、事業成長につながる研究開発テーマの創出が必要となっている同社では、研究者が起業家マインドを持って新事業のアイデアを考える未来Create活動に取り組んでおられます。
社外有望技術起点のビジネス提案、社会課題であるSDGsを起点としたビジネス提案など、これまでに取り組んでこられた5つのアプローチについて、それぞれの長所・短所・特徴や運用上の課題などを交えてお話いただきました。
質疑応答の時間では、アイデア創出活動に悩みを抱える企業の方からのご質問もあり、有意義な意見交換がなされました。
イノベーションを巡る国内企業の状況と、イノベーションを実現するためのJMACの取組みについてご紹介しました。
研究開発部門を梃子にイノベーションを実現した日本企業がある一方で、目標とする水準に達していない企業も多くみられます。なぜそのような状況に陥ってしまうのか、イノベーションを阻害する要因として、「能力のある従業員の不足」、「良いアイデアの不足」、「目先の売上・利益の追求」、「技術力やノウハウの限界」という4つが挙げられます。
4つの要因に対するJMACの取組みをご紹介するとともに、イノベーションの実現に向け、企業の皆様に考えていただきたい点について、講演しました。
ACAT社の取り組む技術商業化プログラムの内容と考え方についてご講演をいただきました。
ACAT社は、イノベーションのジレンマに対抗する手段として、ベンチャーを活用した技術商業化のアクセラレーションプログラムを提供しています。考え方の中心にある技術開発レベル(TRL)の捉え方や、技術商業化アセスメント、Business Development Planといった具体的な支援手法についてお話をいただきました。
また、大企業におけるコーポレートベンチャーの活動のあり方とともに、ベンチャーとのネットワーキング・情報収集だけではなく、スピンアウトした数など、明確なKPIを設定することが大切とのメッセージをいただきました。
普段の技術開発業務ではなかなか触れることができないベンチャー投資に関連する話題をご提供いただき、参加者の皆様には大いに刺激になったことと思います。
安部様には田島ルーフィングにおける6年間に渡る開発力強化活動について、事例をもとに取組みの成功/失敗の要因や変革リーダーとしての視座や立ち振舞についてご講演いただきました。
開発メンバー自らが目指したいと思えるビジョンを描き、現在地を正しく認識することが改革の第一歩であり、QCD目標・自己/組織成長目標達成に向けて開発メンバー全員参加の活動にすることが大事であるとお話いただきました。そして活動を続けるために、リーダーを中心として小さな変化を積み重ね、フェーズによって活動の様態を変えていくことも必要です。且つ変革リーダーはその小さな変化や成果を見える化・共有・自慢し、前向きな取組みであることを全員で認識することが大事であると伝えていただきました。
また、聴講された参加者とのディスカッションを通して開発における悩みを共有し、変革に向けたヒントを持ち帰っていただき、非常に有意義な交流を図りました。
大きく事業内容を変革していくポイントを長期に渡る事例をもとに、紹介していただきました。
既存事業から新事業へ全社戦略としてシフトしていく際、組織や人事、制度などハード面の変革活動が目立ちがちになりますが、変革の風土を作り浸透させていく、継続させるといったソフト面での取組みが重要であると講演いただきました。
事業ポートフォリオ変革を始めとする、各種変革活動を実現するには、"突破力""構想力""共感力"の3つが必要であり、足りない部分を補ってくれる仲間を作り、たくさんのアイデア、ちょっとした機会(チャンス)を逃さない視点を養い、継続的に活動していくことが重要であると語っていただきました。
創業事業である写真フィルムやカメラ市場の激変を乗り越え、新しい事業を生み出していくために課題提起型デジタルカンパニーへトランスフォームしていった事例を語っていただきました。
課題提起型企業への変革の実現には"個人の努力ではなく組織として取り組む"や"自社に適した型(視点)をつくる"、"ステージゲートのタイミングで技術と事業の両面から議論を行う"ということなどを重要なポイントとして紹介していただきました。
また、技術を事業につなげていくリーダーを育てていくには、研修という仕組みだけではなくしかけも重要である、と今後の課題についても語っていただきました。
「技術を繋ぐ、未来に備える」というR&Dビジョンのもと、 実施されている取組みについて日本と海外の違いも踏まえ、語っていただきました。
R&Dビジョンを実現させるための取組みとして、 社内ベンチャー制度や成長機会の場づくりなど具体的な事例を交え、講演いただきました。
また、事例紹介の中では"反対派がいたとしても、 認めてくれるグループリーダーがいれば提案が進んでいく"など社風も交え興味深いお話をしていただきました。
自立・自走できる組織へ
信頼と実績のJMACが、貴社の現状と課題をヒアリングし、解決策をご提案します。