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コンサルタントが見た「世界の品質」 『品質意識は緩くともプライドは立派なタイ』

コラム

2012.09.30

JQMQvol.9_20121017.pdf

 タイはバンコクの電気製品街で充電器を購入した。帰宅後、いざ使おうとしたところ、充電モードにならない。翌日、購入した店で交換を求めると、謝るでもなく即交換。今度は、その場で「試してくれ」と依頼し、問題のないことを確かめ、帰路についた。しばらくたったある日、同じモノが複数必要となり、今度は、高級デパートの家電製品コーナーに行った。こちらが「試してくれ」と言う前に、店員がおもむろにパッケージを開け、本体とつなぎコンセントに差し込み確認。「OKね」とニコッと笑顔でレジへ。店員の対応は様々だが、いずれにしても、売り場に並んでいる製品の動作確認をその場ですることが鉄則だと学んだ。NG品が高い確率で存在することを前提に、購入側の自己防衛が求められる。確かに工場でも、任せておくと受け取り全数検査はなかなか減らない。
つい最近訪問したタイのある企業での品質管理部門のマネージャー、スタッフとのひとコマ。「検査測定結果の記入シートも測定箇所のポンチ絵入りでわかりやすくていいですね」「あれ、これ10回の測定結果を記入するようになっていますが、2回目以降、数値が全て同じじゃないですか!?」。測定担当者たちは一度測定したら、あとは適当に記入しており、管理者の眼も"ざる"なのである。知りたくないが知らなくてはならない、タイではどこにでもある実態である。プレミアム品質製品を出せる企業がある一方で、その他の多くの企業が頭を悩ませている現状がここにある。
事務所で使おうとした文房具の調子が悪かった。「だからmade in Thailandは・・・」と、ついこぼしてしまった。すると、いつも笑みを絶やさないうちのスタッフがムッとして「これは made in China です」とピシャリ。いかにも一緒にしないでほしい、といった表情を浮かべている。確かにそうかもしれないが・・・。モノの品質に対して、作る側も買う側も許容度が広い、その一方でプライドは貴高い様だ。

(JMACタイ 社長 チーフ・コンサルタント 勝田 博明)

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