お問い合わせ

第87回 「営業マネージャーのための営業数字(2) ~利益高をみる~」

  • 営業・マーケティングの知恵ぶくろ

笠井 和弥

今回は利益高を取り上げ、みるべきポイントを解説します。

利益とは何か

会社における利益は、大きく5つに分けられます。

1.粗利益(売上総利益)
 ・売上高 - 売上原価
 ・商品の売買によって、どれだけの儲けがあったかを示す
2.営業利益
 ・粗利益 - 営業経費
 ・会社独自の営業活動の結果を示す
3.経常利益
 ・営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用
 ・会社の収益の実態を示す
4.税引き前利益
 ・経常利益 + 特別利益 - 特別損失
 ・会社の収益にかかる税金を引く前の成果を示す
5.当期利益
 ・税引き前利益 - 法人税等充当額
 ・会社のすべての活動成果を示す

mk87_1.jpg

以上のことを図で示すと、上図のようになります。図からもわかるように、利益の源泉は、「①粗利益」にあります。このことは、製造業、販売会社、サービス業とも同じです。まず、この「粗利益」をどれだけ確保できるかが、儲けのバロメーターとなります。

利益をみるポイントとは

1.「売上総利益率」に着目せよ

 売上総利益率(粗利益率) = 売上総利益/売上高 × 100

 (例) <売上総利益>3,000千円/<売上高>10.000千円 × 100 = 30% ・・・ <売上総利益率>

売上高に対してどれだけの儲けがあったか、価値を生み出したかのバロメーターが、「売上総利益率」です。

mk87_2.jpg

売上総利益率が1%上がった、下がったということは、下図のような理由によるところが多いです。

2.「商品別売上比率」に着目せよ

 商品別売上比率 = 商品売上高/総売上高 × 100

mk87_4.jpg

売上全体に占める各商品の売上構成が、「商品別売上比率」です。「売上総利益率」の高い商品の売上比率が上がっていれば、全体の「売上総利益率」は増え、下がっていれば減ります。この関係をつかむことが重要です。

3.「商品別売上比率」に着目せよ

 売上総利益構成比 = 商品別売上構成比 × 商品別売上総利益率

mk87_5.jpg

上表からもわかるように、売上構成比の高い商品が、「売上総利益率」も高いとは限りません。より高い利益率を確保するためには、利益率の高い商品の売上高を増やし(C商品、B商品の売上を増やす)、低い商品の売上高を減らす(D商品の売上を減らす)ことができればよいのですが、通常は、利益率の高い商品は、売れ行きが遅い傾向にあります。したがって、一定額以上の「売上総利益」を確保するためには、売上高を拡大すると共に、商品別の売上構成を考える必要があります。この「売上総利益率」と「商品別売上構成」の関係は、販売計画上、一番重要です。

(シニア・コンサルタント 笠井 和弥)



オピニオンから探す

研究開発現場マネジメントの羅針盤 〜忘れがちな正論を語ってみる〜

  • 第30回 心理的安全性は待つものではなく、自ら獲得するもの

イノベーション人材開発のススメ

  • 第6回 イノベーション人材が育つ組織的条件とは
  • TCFDに基づく情報開示推進のポイント
  • オンラインサービスは新たなCXをもたらしたのか? オンラインサービス体験から見えた、メリットデメリット
  • 一人一人の「能率」を最大化させる、振り返りのマネジメント「YWT」のすすめ
  • 第5回(最終回) 全社員をデジタル人材に!
  • 第5回(最終回) 全社員をデジタル人材に!
  • 【業務マニュアル作成の手引き・後編】マニュアルが活用されるための環境づくり
  • 品質保証の「本質」を考える ~顧客がもつ、企業に対しての「当たり前」~

オピニオン一覧

コラムトップ