第2回 カスタマーハラスメント対応において整備すべき3つの要素
マーケティング・営業

「クリニックミーティング」について、前々回、前回と、それぞれ「アプローチ段階」「アタック段階」をお話ししました。 今回は、最後の段階、「クロージング段階」です。
社員が営業活動をした翌日の朝。
社員: (少しうなだれて、元気がない。)
所長: どうした?元気がないな。今日は、GMエージェントの営業企画部に対する提案だったよな。うまくいかなかったのか?
社員: 実はそうなのです。急に営業本部長も感心があるということで、プレゼンに参加することになったのです。でも、時間が10分しかとれないということだったので、用意した資料で説明したのですが、営業本部長から、「まだかかるのか」「結論は何か」と言われて、10分たったところで席を立ち、出ていかれてしまったのです。所長と提案をつめて、いけると思っていたのに、こんな結果に終わってがっかりしました。
所長: それは大変だったな。でも、営業本部長の時間がなかったことが問題なのか。君の、提案の仕方に問題はなかったのか。ちょっと、その時説明した流れを話してくれないか?
社員: 提案書とカタログに基づいて、特にターゲット検索の使いやすさや個人情報保護の機能などを重点的に、名刺管理ソフトの説明をしました 。
所長: そこが問題だな。前回のミーティングで、経営者視点のメリットを考えたじゃないか。なぜそこから説明しなかったのだ。急に営業本部長が来て、気が動転していたのはわかる。でも、営業本部長の立場で考えれば、聞きたいことは、提案内容がどう経営に役に立ち、どのくらい費用がかかるのか、だけじゃないかな。過ぎたことを言っていても仕方がない。今後の対応をどうするか考えよう。
社員: 営業企画の南田部長に頼んで、もう一度営業本部長へのプレゼンのチャンスをもらいます。
所長: そうだな。私の方からも、部長にお願いしてみるよ。それで今度はいけそうか?
社員: はい。今度は決めてきます。
所長: 今度は、期待しているぞ。
所長: ところで、今月の目標に対して実績はどうなの?
社員: 700万円です。
所長: 目標は?
社員: 800万円です。
所長: そうか。それじゃ、この案件が決まると、だいぶ楽になるな。がんばれよ。
社員: はい。
「クロージング段階」は、部下の動きをしっかり把握することが重要です。うまく商談が進まなかったとき、その中身を掘り下げ、どこに要因があるのかを探ることです。そして、部下の心理状況に応じた対応をすることです。
まず理由を聞き、ダメでもおこらず、もう一度がんばってみようという気を起こさせることです。このケースの場合、見込ユーザーへの説明の仕方について、指導をしていますが、問題があった場合、その理由と今後の対策を、マネージャーとして自分なりに整理して臨んでいます。具体的事実に基づき判断し、説明する相手に応じて、説明内容や時間の使い方を意識させています。そして、次回訪問についての指導では、アポイントをとることの重要性を教えています。結果(売上実績など)は最後に確認し、結果に至るプロセスでどのような努力をしているか報告させます。
「クリニックミーティング」全体を通じ、3つのことに留意することが重要です。まず、部下の立場に自分をおいて指導することです。ミーティングが、部下にとって役立つものにすることです。部下の性格、スキルレベル、心理状態などをよく知ること、また、部下の問題点を素早く察知し、何を強化すべきかイメージアップすることです。部下に対してねぎらいを忘れないこと。そして、具体的事実をよく聞くことから始めます。
2つ目は、必ずツールに基づいたやりとりをしてください。口頭だけのやりとりは、クリニックミーティングではありません。顧客情報シートや訪問管理表など、会社として統一している帳票類を使いながら指導することです。その場でメモさせることが大切です。
3つ目は、教えるだけではなく、何がまずいのか、どうやるのかを考えさせ、やれるという自信を持たせることです。ミーティングで話した内容を確認し、いつ次の行動を起こすのかを明確にさせ、その結果の検討を約束しましょう。これは、ミーティングの節目ごとに行います。
「クリニックミーティング」は、営業競争力強化を図る上で、欠かせないマネジメントツールです。どうぞ効果的な進め方をみつけてください。
執筆:笠井 和弥
自立・自走できる組織へ
信頼と実績のJMACが、貴社の現状と課題をヒアリングし、解決策をご提案します。