積載率だけにこだわるべからず
物流のべからず集
物流機能を外部委託する場合(とくに初めての場合)、委託単価の設定は難しい課題である。委託単価を適正化するポイントは"継続的"な見える化と定期的な必要工数の算出である。
ねらい:委託単価の適正化
キーワード:業務委託、単価交渉
業務効率化の1つとして業務の外部委託(アウトソーシング)化は有効な手段です。
物流業務においてのアウトソーシングのねらいは、
①大きな負担となる自前資産を持たずに
②物流業務のプロ集団に
③効率的に(適正単価で)
業務を遂行してもらうことです。
しかし、実情を見てみると、①②については比較的クリアしているようですが、もっとも重要な③については、なかなか納得感を得られていないようです。
その原因は委託する業務に対する必要な工数(単価)が見えていないことが大きく影響します。
適正工数(単価)が算出できないのは業務の詳細がわからないだけでなく、物流業務では業務量(物量の増減(波動))が他のプロセスに依存し、予測しにくいことも大きな要因となっています。
これらの不明確な業務内容、必要工数をどう単価に織り交ぜるかについて委託業者との協議をするのですが、なかなか明確な回答を得られず最終的に妥協する形での単価が設定されてしまうという話をよく聞きます。
また、設定単価の見直し(とくに初期設定単価の見直し)の場合でも壁があります。とくに業務委託開始直後に起きがちですが、トラブル発生による想定外業務、ムダの発生に対して定量化、原因追究ができないことで過去、未来に対して有効的な交渉材料が提示できず、思うような結果(単価)が得られないということになります。
これらの経験が単価交渉に対して苦手意識を植え付けてしまいます。その結果、長期にわたり設定した単価を見直す気力とタイミングを失い、初期設定単価が固定化されたり、実態と連動しない単純値引きを受託業者に依頼したりする結果になっているようです。
妥当な委託単価を要求するためには、業務を外部委託しても業務内容はしっかり自社で把握することが必要です。そのためには以下のステップを着実に実施しましょう。
・委託する業務内容、量(波動含む)を明らかにする
・イレギュラー工数実態も面倒がらずに蓄積する(少なくともかかった人工くらいは)
・そして上記2点は一過性ではなく、継続的に管理する
図表にあるように、従事年数が長くなれば熟練度も上昇していきます。ステージごとに必要工数(コスト)は変動するので、何がどう変わったのかがわかるように継続的に情報を管理していきましょう。そうすれば弱腰にならず、かつロジカルに交渉に臨めます。
(文責:岡卓也 チーフ・コンサルタント)
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