コンサルタントの視点 「品質情報をナレッジとして活用する」
コラム
2016.06.01
製造拠点の新興国シフト、国内市場の縮小に伴い、日本のモノづくりは日を追うごとに複雑化してきています。 このような中、日本企業にとってのモノづくりの根幹とも言える「品質」を担保、向上させるためには、社内に蓄積されている品質情報を設計段階でどのようにして有効活用するのか?という視点が重要となります。
近年、製造工場のグローバル拠点へのシフト、ODM/EMSの活用、グローバル購買等、様々なステークホルダーを巻き込んだモノづくりが求められています。また、開発期間短縮と同時並行開発に伴い、品質情報が社内の各商品開発プロジェクトはもちろん、様々なステークホルダー展開せねばならない情報が伝わらない、開発設計の手順、ノウハウをドキュメントにすることも後回しにされてしまっていることも、品質トラブル多発につながっていると思われます。
このような状況をふまえると、企業内・間における開発設計ノウハウ・品質情報のナレッジ展開、開発設計部門内、商品プロジェクト間はもちろん、品質保証部門の保有する市場品質情報、海外拠点との情報連携等、多岐に亘る組織機能間、連携すべき情報内容等の高度化が必須になっています。これらの課題を解決するには、情報展開をふまえた組織設計、ミッション展開、組織に属するメンバーのスキルアップ、情報のIT化が必須になることは言うまでもありません。
このような状況下においても、品質革新に積極的に取り組んでいる企業は、
- 製品・サービス保証と品質保証システムの両輪革新
- グローバルで品質保証するための顧客研究と顧客情報の徹底(自動)収集
- 形骸化しつつあるISO9001を活かすための業務プロセス標準化活動との連動(グローバル拠点間)
- 開発設計者の品質教育とフロントローディング/V字・W字活動は当たり前化
- 市場レベルに合わせた品質目標設定と保守サービス体制の連動
といった活動に取り組んでいます。 しかし、これらを組織的に進めていくのは大変です。
- 品質データ分析スキルの醸成と品質データ活用者の活用スキル、意識向上教育
- 品質データをできる限り簡素に、自動化を意識して取得する~集計、層別は自動化、価値があるのは考察
- 最終的には、仕組み、ツール化
- 成果を測り、フィードバックを継続的にかけ続ける
- ナレッジマネジメントは開発全プロセスにて意識する
という地道な活動も改めて必要になると考えます。
関連セミナー 株式会社図研プリサイト様主催:品質保証と開発・設計に贈る品質情報活用術セミナー(2016年7月1日・東京)
コンサルタントプロフィール
シニア・コンサルタント 野元 伸一郎
東京理科大学大学院修士課程経営工学専攻修了後、1993年にJMAC入社。一貫して研究・開発分野のコンサルティングを実施。設計品質向上をベースにした開発プロセス革新/コンカレントエンジニアリング、プロジェクトマネジメント、技術ロードマップ構築等を数多く推進している。2012/3に北陸先端科学技術大学院博士後期課程で知識科学博士号を取得。2016/3までJMAホールディングス ASEAN推進センター長を兼任し、AEC(ASEAN経済共同体)以降を見据えたASEANビジネスのあり方、各地域別に求められる製品品質・サービス品質について、研究、事業化を行っている。
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