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コンサルタントの視点 「品質への感性は?」

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 コンサルティングにおいて、最近感じることは「品質への感性」が昔に比べ落ちていることである。弊社顧客の品質問題を分析すると意外に簡単に発見できそうなリスク・異常に気づいていないことが多い。例えば、開発設計分野では量産においてバラつきそうな成型品の寸法を事前に発見・確認しない、製造現場においては、工程のなかで製品外観に油ニジミ(微量)があったにもかかわらず、気にもとめず流す(後に鋳物の湯境でリーク不具合)など、初歩的とも思える類が多く見られる。

 こうした事実を分析していくと、なぜそのリスク・異常に気づかないのか?といった「感性」にも近いと言えるような人の側面に行きつく。なぜ、その「感性」は落ちているのか?という問いに対し、大きく2つの原因があると考える。

 1つ目は、想定する力が不十分であること。例えば、製品設計にあたっては顧客による正常使用とイレギュラー使用のいずれのモードも想定したり、工程におけるバラツキの部位・レベルを想定する。これらの事例に共通することは、「それ以外にはないのか」といった網羅的な思考である。特に過去の不具合情報等を把握した上で、こうした思考の追求により、感性のレベルアップが可能となる。

 2つ目は、良いレベルの理解力、言い換えると業務や製品の「あるべき姿」を自ら設定すること。良品条件・良品状態・良品を生み出す業務を徹底的に把握した上で、「そのギャップは何か?」を常に発見する、考えることが重要である。品質問題の発見とレベル向上はあるべき姿とのギャップを感じることから出発する。

 上記のような「感性」と、あたり前だが「論理」が、品質のレベルアップと問題解決には大切であると改めて思う。

コンサルタントプロフィール

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チーフ・コンサルタント 石田 秀夫

大手自動車メーカーの生産技術部門の実務を経て、JMACに入社。ものづくり領域(開発・設計~生産技術~生産)のシームレスな改革・改善活動のコンサルティングに長年従事。生産技術リードでものづくりを変え、日本製造業の強みである「造り込み品質」や「ものづくり」の力を引き出し、企業を段違いな競争力にするコンサルティングを推進中である。近年は日本版インダストリー4.0/IoT化によるQCDダントツ化デザインや生産戦略/生産技術戦略、ものづくりグランドデザインを主要テーマにしている。

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