第2回 技術シーズとマーケットニーズからのネタづくり
コラム
2015.04.06
1.事業化のゴール設定〜事業展開シナリオ〜
役員の中には、なんとなく新規事業をやろうという方々も多く見受けられます。まずは新規事業をやる意義(なぜそれやるのか?)を十分社内で納得のいくまで議論するのがスタートです。議論による目的・目標の設定が大切といつも感じています。
目的は新規事業の意義、どのように貢献したいのか、目標は何年後にどのくらいの売りを上げたいのか、などです。理想的には、仮説でもいいので図のように技術レベルと市場の発展を軸に商品をマッピングして事業展開をつくる必要があります。
コンサルティングの傾向として、素材・化学・食品などの川上から川下に出る形のパターンとさらにリーマンショック以降は、バイオ系に出る形の支援が多くなっています。またグローバルで100兆円市場といわれる、自動車、スマホ電材、水ビジネス、環境エネルギーもかなり多く支援しています。
2.ネタづくりの考え方
ネタづくりでは、図のように「技術シーズ」と「マーケットニーズ」の両面から考えるのが原則です。
■技術シーズの面
技術シーズ側で大切なのは技術の棚卸しです。大企業ではこれだけでのコンサルティングの依頼も多く見受けられます。技術というのは人に属することも多く、研究所などでは個人の棚卸しになる場合も多くあります。日本企業には再現性のないノウハウも多く、これも棚卸しの対象となり、ここが差別化の源泉になることも多くみられます。
技術の見方ですが、科学→メカニズム→顧客価値→発展性という方向で見ていく場合もあります。とくに技術の顧客価値が大切で、ここが事業のネタの本質的な部分になる場合も多いのです。企業の技術者は技術の物理的、化学的な見方はできますが、あらためて顧客価値を問われると答えられないケースも少なくないのです。コンサルタントの大切な役割は、技術者に本質的な質問を投げかけて顧客価値を気づいていただくことです。
■マーケットニーズの面
マーケットニーズ側は自社にとっての有望な領域(ドメイン)を見いだすのがもっとも大切です。成長産業といわれるのは、前述した100兆円事業、日本の課題である在宅・介護・医療やバイオ関連で、この分野のコンサルティング依頼も多い傾向にあります。
通常のコンサルティングでは、300〜500のネタを出して自社の可能性を検討します。このときにまた自社の強みに戻ります。どんなに魅力がある市場でも、自社の強みの源泉・差別化がないと事業として成り立たないのは周知のとおりです。
また、現状の技術+アルファの視点で、これからのその領域の強みを戦略的につくるというのも、1つのオプション案になります。そしてもっとも大切なことは、このテーマのアントレプレナー(熱意ある起業家)を創出できるかにかかっています。日本企業は役員をはじめサラリーマン風土が強い会社が多いので、ここをクリアできるかが最大の課題になります。
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