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人材育成×HRテクノロジー

構成

HRテクノロジーとは

HRテクノロジーの定義

人事施策に関する意思決定は、これまでは経験則や直観に頼りがちでした。たとえば、採用、配置、教育投資、人事評価などです。これらの意思決定にあたっては、判断の根拠となる材料が乏しく、施策を実施した後の効果を検証する方法もありませんでした。つまり、"PDCA"が機能しないため、人事施策に関する意思決定を高度化させるという発想そのものが出にくいというのが人事業務の実態でした。

経験則や直観に依存してきた人事の意思決定場面の例

しかし近年は、経験則や直観ではなく「科学的アプローチ」による意思決定を行う企業が増えてきました。たとえば、毎年繰り返されている教育プログラムの効果をデータに基づいて検証を試みる企業、ジョブローテーションの有用性をデータで示し、現場からの納得感を得ようとする企業などです。2021年現在、まだ試行錯誤の段階ですが、このような「HRテクノロジー」の導入・活用に多くの企業が取り組んでいます。これまで経験則や直観で判断することが当然と思われてきた人事施策に、大きな変化のうねりが生まれています。

HRテクノロジーについてJMACでは、

データ解析や人工知能などのテクノロジーを用いることで、従来の人事業務・施策に「判断根拠」「効果検証」といた価値を付加し、「人事の課題解決の高度化」を実現するための"手段"

と定義しています。

ここで大事な点は、HRテクノロジーとはあくまでも"手段"であって、目的ではないということです。
人事担当者の中には、「HRテクノロジーの導入・活用=タレントマネジメントシステムの導入」とイメージする人もいます。しかし、システムの導入で何を実現したいのかが明確でなく、実際に人事の意思決定が高度化されなければ、単に人事データがシステム上に移管されただけのことです。
HRテクノロジーの目的である「"人"に関する判断に客観的視点を取り入れ、経営の意思決定を高度化する」を見失わないことが重要です。HRテクノロジーの導入・活用に取り組む意義は、「自社が真に解決したい人事課題とは何か」という本質的な問いに向き合う契機になること、と言えます。

HRテクノロジーとは何か

HRテクノロジーは魔法の杖ではない

HRテクノロジーは人事部門がより経営に貢献するための道具(手法)です。
では、この"道具"にはどれほどの性能があるのでしょうか。あらゆる人事課題を瞬時に解決に導く正解を与えてくれるのでしょうか。

ある企業の人事担当の方から次のような質問を受けました。
「次世代を担う幹部候補が誰なのか、当社の人事データを渡せばAIが導いてくれますか?」

残念ながら答えは「NO」です。
世の中には、HRテクノロジーが人事のあらゆる課題を簡単に解決してくれるかのような情報も流布しています。このような誤った認識を持ってしまうのもやむを得ないかもしれません。

HRテクノロジーは、人事部門の課題解決を高度化するための強力な道具であることは間違いありませんが、かといって魔法の杖のように人事課題を解決してくれたり、正解を教えてくれたりするわけではありません。

次の図は、一般的な課題解決プロセスを示しています。人事業務における課題解決も多くはこのようなプロセスが当てはまります。

「経験則・直観」と「科学的アプローチ」のバランス

HRテクノロジーが力を発揮してくれるプロセスは、図の赤い部分です。
「②現状」でHRテクノロジーによってデータが可視化され、従来では見えなかった問題の抽出を助けてくれます。「④要因の考察」ではデータ間の関係性など、従来の経験則に基づく考察が及ばない事実を示してくれるかもしれません。
しかし、課題解決プロセスにおいてHRテクノロジーの力を借りられるのはここまでです。現状の考察を踏まえ、人事部門として優先的に何に取り組むべきか(=「⑤課題設定」)を意思決定し、課題解決のための「⑥実行」をするのはあくまでも人事部門なのです。

もちろん、HRテクノロジーは有用ではない、ということを言いたいのではありません。むしろ、経験則や直観が100%だった従来の意思決定に対し、たとえ10%でも20%でも科学的アプローチの要素が加わることは、革新的な変化だと言えます。
HRテクノロジーによって、判断根拠や検証結果を得られるようになりますが、それを使うのは人事部門です。当然、人事担当者にもHRテクノロジーを使うためのスキルアップ(スキルチェンジ)が求められます。つまり、人事の課題解決力の高度化は、HRテクノロジー+人事部門スタッフのスキル向上によって成し得るのです。

意思決定に経験則や直観も大事

HRテクノロジーの有用性は、「従来の経験則や直観に依存してきた人事の意思決定に対し、科学的アプローチをもたらすことが可能となる」という文脈で語られることがあります。
しかし、これは「経験則や直観で意思決定することはよくないので、HRテクノロジーを用いた科学的アプローチに置き換えるべき」という意味ではありません。

むしろ、経験則や直観は人事の意思決定には必須です。なぜならば、その会社にとっての「経験則」や「直観」は、その会社がどのような人材を大切にして登用や育成を行ってきたかという、人材に対して伝承されてきた価値観(暗黙知)だからです。

「経験則や直観による意思決定」か「科学的アプローチによる意思決定」のどちらか一方に依存するのではなく、相互のメリットを補完し合うバランス型の意思決定のスタイルを目指すべきです。
つまり、「経験則や直観による意思決定」は、意思決定者(経営者や人事担当役員)の人材の登用・育成に関する暗黙知に基づきますが、客観的な裏付けを示しにくいため、時に「ブラックボックス」「好き嫌い」という印象を社員に与えます。

しかし、意思決定者が判断する材料としてHRテクノロジーによる客観的なデータが示され、それに基づき最終的に経営が意思決定するというプロセスであれば、納得感は得られやすいのではないでしょうか。

また、経験則や直観による意思決定は、どうしても従来からの延長線、つまり従来からの成功パターンにあてはまらない選択肢を除外する傾向があります。一方、HRテクノロジーによる科学的アプローチは、一見違和感のある選択肢を提示することがあります。その選択肢を採用するかどうかはまさに経営判断ですが、変化が激しい現代において新たな視点を気づかせてくれることは、一つの価値と言えるでしょう。

「経験則・直観」と「科学的アプローチ」のバランス

JMACのHRテクノロジー・ソリューション

HRテクノロジーを活用した人材マネジメント革新構想の策定支援

こんなことに困っていませんか?

  • 自社には人事・人材育成に関するデータが蓄積されているが、ほとんど活用できていない
  • HRテクノロジーの有用性はわかっているが、どこから手をつけたらよいかわからない
  • 社内でHRテクノロジーの取り組みを開始したが、現在の取り組みで成果につながるのか不安

JMACの支援

【5サイクルモデル】
JMACはHRテクノロジーを着実に実践するための方法として「5サイクルモデル」を推奨しています。「5サイクルモデル」のスタートは、「人事課題の設定」です。まずはHRテクノロジーで何を解決したいのか、経験豊富なコンサルタントと意見を交換しながら整理し、認識を共有します。

HRテクノロジーを活用した課題解決の5サイクル

【人事関連データの可視化】
次に、現在保有している人事関連データを可視化し、「今保有するデータを使ってできる取り組みとは何か」を提案します。HRテクノロジーの導入のコツは「小さなことから始めること(スモールステップ)」です。

【プロセス改革への提言】
上記の活動を受けて、

  1. スモールステップで取り組んだテーマの課題解決をさらに高度化するためには、どのようなデータを収集すればよいのか
  2. 1を収集し、蓄積するためには実務的にどのような工夫が必要なのか
  3. 2を実現していくためには、現状の人事業務そのものやプロセスをどのように改革していけばよいのか

を提言します。

データアナリティクス実行支援

こんなことに困っていませんか?

  • 現在保有している人事・人材育成に関するデータを分析してみたい
  • 人事・人材育成に関するデータの集計や可視化はできているが、そこから何が読み取れるのか、さらに分析を深めためるためにはどうすればよいのかがわからない
  • タレントマネジメントシステムの分析だけではしっくりこない。他のデータとも組み合わせて分析したい

JMACの支援

【5サイクルモデルで課題の整理】
HRテクノロジーを実践するための「5サイクルモデル」に基づき、まずはHRテクノロジーで何を解決したいのかについて、経験豊富なコンサルタントが貴社との意見交換を通じて整理し、認識を共有します。

【仮説の立案】
「解決したい人事課題」と「現在保有しているデータ」から、データアナリティクスの活用方向性の仮説を立案します。

HRテクノロジーを活用した課題解決の5サイクル

【ワークショップで分析】
JMACのデータサイエンティストとHRを専門とするコンサルタントが一次分析を行います。その分析結果に基づき、お客様と数回のワークショップを実施します。ワークショップでは主に「データアナリティクス実施前の要因仮説に対し、分析からはどのような結果が読み取れるか」「データアナリティクス実施前の要因仮説にはなかったが、新たに示された結果から何らかの示唆は得られるか」について議論します。

【分析結果から提言】
「解決したい人事課題」に対して、今後どのようなアクションが必要か、データアナリティクス結果を踏まえて提言致します。

サーベイ(各種診断・アンケート実施後)の現場展開・変革活動支援

こんなことに困っていませんか?

  • 社で実施した教育研修後のアンケートや働き方改革に関するアンケートなどの結果を「何となく聞いているだけ」で、うまく活用できていない
  • 従業員満足度調査やエンゲージメントサーベイなどを外部に委託しているが、その結果をうまく活用できていない

JMACの支援

【問題の洗い出し】
現在実施しているサーベイの種類と活用度合いをヒアリングし、問題点を洗い出します。

【具体的にアクションプランを整理】
サーベイ関連の各施策の目的、実施後の想定アクションプランを整理します。「アンケート結果を参考にして次の施策に活かす」といった曖昧なレベルではなく、「どのような成果を導きたいのか」「そのために何を把握できればアクションに活かせるのか」といった具体的なレベルで言語化していきます。

【アンケート企画へのアドバイス】
自社でアンケートを企画する場合は、目的変数設問、説明変数設問を適切に設定する必要があります。各種サーベイ項目の設計実績を持つJMACのコンサルタントがアドバイスします。

【結果が出る前に仮説を整理】
外部にサーベイを委託する場合であっても、結果が出てから対応を考えるのではなく、サーベイの実施前から結果および想定されるアクションの仮説を立てておきます。JMACのコンサルタントがファシリテートし、仮説を整理します。

【結果のフィードバック】
サーベイ結果を経営層にどのように報告すべきか、サーベイ結果を現場にどのようにフィードバックすべきかについて提言します。

エンゲージメントサーベイを起点にした組織開発

人事部門スタッフ向けのHRテクノロジー実践スキル向上プログラム

こんなことに困っていませんか?

  • HRテクノロジーの有用性は理解しているが、人事部門スタッフのデータアナリティクススキルが不十分
  • 社内のDX担当者と連携してHRテクノロジーを活用していきたいが、人事部門スタッフとデータサイエンティストで専門性の格差が大きく議論がかみ合わない

JMACの支援

【スキル向上プログラムの提案】
人事部門スタッフのデータアナリティクススキルの現状を確認したうえで、お客さまに最適な「HRテクノロジー実践スキル向上プログラム」を提案します。単なる知識のインプットではなく、HRテクノロジーを実際に実務で活用できることに主眼を置いたプログラムです。

■人事部門スタッフ対象「HRテクノロジー実践スキル向上プログラム」
1.【Day 1】統計・AIの基礎
2.【Day 2】自社のデータを使った分析の実践
3.【Day 3】分析結果の考察とアクション策定